冬が苦手な理由はいろいろあって…

 まず寒いのに弱い。極端に弱い
 衣類が重い。重ね着をするから着脱に恐ろしく時間がかかる
 それに冬季は乾燥のせいか背中から腹から腕から…めったやたら痒くなる

 …等々だが体質なのか手荒れもひどい。

 指の節々がひび割れて曲げると更に裂けて血が滲んだり
 風呂上がりなどは油分を取られ指の腹もガサガサ。

 衣類を持つとマジックテープか?というほど生地に引っかかる。

 クリームを塗らないと…

 ずっと以前尿素20%配合とやらで効きそうなケラチナミンコーワを買っていたが
 蓋をとってみると固くなっていてクリームというより蝋に近い。(汗)

 何かないか…あった。

 まだ十分残っているスキンケアクリームのチューブ。

 まだ使えるか? 使用期限は記載がない。
 少し絞りだしてみるも柔らかくて変色もない。

 使用期限がないものは未開栓なら3年間は品質が保証されるものらしいが、
 チューブにうっすらとマーカーで名前を書いた痕…これは

 母がデイやショートに行くとき持たせていたクリームだ。
 
 高齢者の多くに見られるように手足の肌がタマネギの薄皮よりも薄くなって
 ちょっと掴んだだけで何度も、簡単に皮膚剥離を起こしていた。

 肌を保護するクリームは必須のアイテムだった。

 確かこのクリームは最後の年のしかも終盤に買った覚えがある。
 

 そうだとしても、はや開栓後3年以上は経っているが、
 ちょっと手に塗り擦り込んでみる。
 べたべたするクリームは後の日常作業に困るがこれは乳液のようにさらっと手になじむ。


 おや…?

 顔の前に手をやると微かな香り…

 最近はコスメや洗剤等も無香料や微香のものが多いようだが
 この匂いは香料のそれとは違う
 例えば鉱油の匂いのほのかな漂いというか。


 なんだかすごく昔の、遠い懐かしい世界に誘われるような不思議さ。

 ようやく高度成長期が始まろうかというころの
 まだ安っぽかった化粧品はこんな匂いがしていただろうか。



 幼い子供の頃の私を連れて外出をするとき母は暫し鏡台の前で化粧をしていた。
 長い時間では無かったが待ちきれない私は「まだ? まだ?」といつも母を急かしていた気がする。

 ふいに子供のころのあの頃に
 トリップさせられるような微かな不思議な香り…

 両手を合わせてそれを包み込むようにして、
 もう一度ゆっくりと吸い込んでみる。

 ・・・・・・・


 単に古くなって変質しているだけかもしれないが。(汗)