日帰りでできる程度の手術だが、これから予定のある人の参考にでもなればと自分の体験を書いてみます。
15分程度の手術時間ということで、例えば運動中にけがをして救急外来の処置室で何針か縫ってもらう…
そんなイメージに近いのかなと思ったが、やはり手術は、手術…それなりの準備や手順があった。
まず術日に先立って血液検査、心電図検査、胸のX線写真、検尿。
掌を1、2センチ切るだけといっても身体にはそれなりのストレスがかかる。
それに耐え得る体調なのか、何か深刻な疾病を抱えていないかということで血液検査、検尿はわかる。
心臓の動きが危うければ手術のショックでどうこうということも無きにしも非ず。
心電図はその為だろう。
胸の検査は何のためなんだろうか。
肺炎になりかかっていたりしたら、同じく手術のショックでの呼吸困難とかそのあたりだろうか?
血液検査の中にはB型、C型肝炎の項目もあった。
血を観る手術だからこれらが陽性だと施術者側に危険が及ぶ。
でも新型コロナの検査は見当たらないようだが…
それにしても検査項目が結構多い。
手術の後に毎年受けている人間ドックの検診日が来て、受けたばかりなのだが
術前検査でこれだけ調べていれば人間ドックの検査は要らなかったのでは?とつい思った。
9時からの予定でほぼ時間通りに外来から手術室へ案内される。
外来と手術室のある棟は別棟でエレベーターに乗って上がったり下りたり結構着くまで時間がかかる。
検査や手術というとき一番私を悩ますのが最近一段と進行した感の頻尿への対策だ。
15分程度の手術ということで迷ったが、やはり心臓の検査入院のとき使った体外式(コンドーム式)カテーテルをつけて臨んだ。
「そうして良かった!」と思ったのは、着替えや術前準備などで結局拘束時間はかれこれ1時間になったから。
実際には手術中は緊張で尿意を感じるどころではなかったが、
備えがあればやはり安心感が違う…減らせるストレスは少しでも減らしておきたい。
手術は術衣に着替えて受ける。
上半身は全部脱いでガウン型の術衣に着替える。
ズボンはそのままで良いと言われほっとする。
立てないからズボンの履き替えは手間取るし下にカテーテルに繋がった尿バッグをつけているから厄介なのだ。
掌を切るだけだが無影灯というあのレンズを寄せ集めたような照明の下の手術台に仰向けに寝かされる。
切る右手は二の腕からから指先までピンセットで挟んだヨード綿で医師や看護師が丹念にこれでもかという程消毒する。
点滴をつながれる左手は細くて血管も見つけにくく針が刺しにくくて何度か試み皮下出血。
ふと、点滴や注射でいつもなかなか針が入らずに痛々しく見守っていた母のケースを思い出す。
心電図計を装着、自動で測定を繰り返す血圧計を装着、指にパルスオキシメーターを挟まれる。
身体の上にシートをかぶせている模様。
顔の周りにもフレームを立ててシートをかぶせている。
「手術中の部位が見えないようにするためです」
と看護師。
ぱっくり切られた自分の手など見たくもないが、ついチラ見してショックを受け血の気が引く人もいるのだろう。
消毒が終わると右手は掌を上にして真横に伸ばされ台に固定される。
腕の付け根あたりに巻かれたバンドが自動でぎゅーっと腕を締め付け始める。止血のためだ。
母が93歳くらいのときに手根管症候群の手術をした。
やはり止血の為の圧迫をするのだが、これがかなり辛いという情報があった。
が、本人からは別にそんな訴えはなかった。
自分も今回経験した圧迫だが、それほど辛いというわけでもない。
ところでそろそろ切られるんだろうが麻酔はまだ?
「(執刀する)先生はいつもはもっと早いんですが…何かお考えがあるんでしょう」
看護婦にそっと聞くとそう言うが、おいおい…まさか忘れていていきなりズバリ、じゃないよね!?
俎上の鯉とされてもなお疑い深く悪あがきする私。
「じゃ麻酔を打ちます」 (ほっ…)
ぷつりと打たれた麻酔注射は少し痛かった。
3回打ったステロイド注射もそうだったが、腱か腱鞘あたりに打つからだろうか。
その代わり即効。
口に含んで効くまでしばらく待つ胃カメラのときの麻酔シロップとは違う。
「これ、分かりますか?」
掌をつつかれているのは分かるが、痛みなどの感覚はもう無い。
つつーっと、微かに引っかかれている感覚。いま皮膚を切開しているところだろう。
やがて「ブツッ」と引っ張るような、痛みと言うほどでもない鈍痛。
腱鞘を切り開いたな…
「mokogawaさん、もう”カクン”はないでしょう?」
私にグー・パーをさせてみて医師が言う。麻酔が効いているから痛くはない。
「じゃ、縫い合わせて終わりにします」
確かに切って縫うまで体感、15分前後くらいだった。
縫っているのはほとんど分からず。
後で見ると相撲取りが貼るような伸縮性のある包帯がしっかりと巻かれていた。
包帯の下の中指の付け根が圧しつけたウズラの玉子のように盛り上がっている。
保護用のパッドかと思ったが、圧迫止血のためパッドだった。
手術が終わって着替えのとき少し血が垂れたが続けて流れることもなく、
血液サラサラの薬を飲んでいるわりには術後の出血は問題にはならなかった。
以上、ありふれた手術の一部始終でした。
これくらいだったらまたしたい…とは決して思わないが。
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