みつまめの「このレコード聴いてみたビックリマーク

「SEVENTH STAR」

BLACK SABBATH

featuring TONY IOMMI

 

 

 古今東西あまり関係なく、みつまめお気に入りのレコードを披露している 「このレコ!」、今回はこのバンドのアルバムです。

 

 

BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI

(1986)

 

Vo:グレン・ヒューズ

G:トニー・アイオミ

Key:ジェフ・ニコルズ

B:デイヴ・スピッツ

Dr:エリック・シンガー

 

 

 

 

イギリス

 

 元ディープ・パープルのイアン・ギランをシンガーに迎え、1983年8月に 「BORN AGAIN」 を出したブラック・サバスは、アルバムに伴うツアーを終えると予定どおりギラン脱退。1984年4月にパープル再結成の運びとなります(→「PERFECT STRANGERS」)。

 

 サバスの方は、元KISSのマーク・セント・ジョンが組んでいた 《WHITE TIGER》 というグラムロックバンドのシンガー、デイヴ・ドナートをスカウトします。本邦 「BURRN!」 誌の1984年9月創刊号はそのニュースがトップだったとか。

 

 しかしダラダラとリハーサルしてる間にメンバーは倦み、ギーザー・バトラーもビル・ワードも辞め、サバスは解散してしまいました。

 

 1985年7月、かのチャリティイベント 《LIVE AID》 にはオジー・オズボーン含むオリジナルメンバーで演奏。しかしここでめんどくさい交渉事が山積したため、バンド再編の不可能なことを改めて痛感、トニー・アイオミはかねて計画のソロアルバム制作に取り掛かります。

 

 メンバーは 《WHITE LION》 のデイヴ・スピッツ、リタ・フォードのバックバンドだったエリック・シンガー(現KISS)、そしてシンガーにはかの ‟ボイス・オブ・ロック” グレン・ヒューズを迎えました。

 

 当初はロブ・ハルフォードなどいろんな名シンガーを呼んでオムニバス作品にする予定もありましたが、ギャラの問題グレンの歌唱が素晴らしかったため、彼が全曲で歌入れして完成させます。

 

 

 

 

 「SEVENTH STAR」 は1986年1月に発売。この段階でマネージメントのドン・アーデン(オジー夫人シャロンの実父)がアイオミのソロじゃなく、ブラック・サバス名義にすることを強要してきたため、《BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI》 となったと言われます。

 

 じっさいには、サバス名義にするのは認めねぇ、とバンドにいなかったギーザー・バトラーが訴訟を起こすと息巻いたので、「ドンの圧力」 をエクスキューズにした模様です。ヒューズの証言では、「トニーはそのアイディアに熱狂していた」 とのこと。ここにおいて、名実ともに サバス=アイオミ となったわけです。

 

 アルバムは全英27位、全米78位。ロック界は華やかなMTV時代ですから、大ベテランバンドとしてはこんなものでしょう。

 しかし、ヒューズとしてはアイオミのソロ作で歌ったつもりが、あれよあれよと 「サバスの新シンガー」 にされてしまったうえ、ライブではオジー、ディオ時代の曲を演奏することに当惑します。ベーシストでもある彼は、楽器を持たずにフロントマンを演じることにも不慣れでした。

 

 しかも80年代のヒューズは、彼自身記憶がないというほどドラック&アルコールに支配されていた黒歴史。3月21日から始まった全米ツアーでは楽屋裏でトラブルを連発し、29日にはクビになっていました。バンドはレイ・ギランというシンガーを探しだし、そのツアーをしのぐことになります。ヒューズがクリーンになるのは90年代に入ってからです(→「BERNING JAPAN LIVE」)。

 

 とはいえ、アルバムとしての 「SEVENTH STAR」 はまことに素晴らしい。ヒューズというなんでも上手く歌えるソウルフルなシンガーを得て、アイオミのリフとメロディーは今までのサバスにない多様さがあります。

 

 冒頭 『IN FOR THE KILL』 や 『TURN TO STONE』、『DANGER ZONE』 は疾走感があるし、表題曲 『SEVENTH STAR』、『ANGRY HEART』、『IN MEMORY』 はスケール大きくどっしり聴かせる。この時点でのアイオミの枯れぬ才能に驚かされます。全9曲35分と短いのと、やたらエコーが効いてるのは80年代のレコードだなという感じ。

 

 それでは最後に 「SEVENTH STAR」 から、美旋律のバラード 『NO STARNGE TO LOVE』 をご紹介ヘッドフォン