みつまめの「このレコード聴いてみた」
「BURNING JAPAN LIVE」
GLENN HUGHES
古今東西あまり関係なく、みつまめのお気に入りレコードを披露している 「このレコ!」、今回はこのシンガーのアルバムです。
GLENN HUGHES(1994)
Vo:グレン・ヒューズ
G:トーマス・ラーソン
G:エリック・ボイエフェルト
Key:ミック・ミカエリ
B:ジョン・レヴィン
Dr:イアン・ホーグランド
1951年スコットランド・グラスゴー出身のグレン・ヒューズ。
有名になったのは1973年、DEEP PURPLEに加入してから。ベース兼シンガーとしてデヴィッド・カヴァーデイルと第3期パープルでは二枚看板でした。
1976年の解散後はソロシンガーになり、1982年にパット・スロールとプロジェクトを組んだり、1986年にはブラック・サバスに加入するなどしましたが、アルコール&ドラッグの問題を抱えて、80年代は本人の記憶がほとんどない状態だったとか。ヨーロッパの各国で入国拒否されたといいますから相当な悪名です。
1990年代に入ってようやく脱ドラッグのプログラムを経て社会復帰。出直しのアルバム 「FROM NOW ON...」 を発売し、パープル時代以来19年ぶりの来日公演が実現。1994年5月のクラブチッタ川崎でシューティングされたのが本作 「BURNING JAPAN LIVE」 です。ちなみに当日の前座はFORTUNE(過去エントリー)。
グレン・ヒューズといえば、とにかくその声量・声域・技巧がハードロック界トップクラスの名シンガー。ソウルフルな味があり、だからこそあちこちのバンド/プロジェクトからお呼ばれするわけで、ドラッグによってその歌が損なわれなかったのは喜ばしい奇跡です。
とはいえ、残念ながら文字どおりの ‟名声” に比して、持ち歌の知名度が低い。全15曲76分のこのライブ盤のうち、有名なのは冒頭の 『BURN』 くらいでしょう。
当時の新作 「FROM NOW ON...」 収録曲を中心に、HUGHES/THRALLのアルバムから3曲、ディープ・パープル時代の 「STORMBRINGER」 から2曲、「COME TASTE THE BAND」 から3曲演奏されています。
パープルの曲はカヴァーデイルがメインシンガーだし、リッチー・ブラックモアが脱退してトミー・ボーリンが入った 「COME TASTE THE BAND」 の曲の需要がどれだけあるかは不明なところ。まぁ、ヒューズ以外にこのアルバムの曲を歌う人はいないでしょうからレアな演奏ではあります。
バンドはみなスウェーデンのミュージシャンで、とくにジョン・レヴィン、ミック・ミカエリ、イアン・ホーグランドの3人は、当時解散していた元EUROPEのメンバー。来日をプロモートしたゼロ・コーポレーションのコーディネートだったそうですから、当時の日本のレコード業界の影響力がわかりますね。
曲の馴染みがないといっても、ヒューズの自在な歌唱は見事なもので、セットも飽きさせないようよく練られており、なかなか楽しめるライブ盤です。ブルージーで広い音域をこれでもかと聴かせるあたり、いささか過剰な自己顕示欲を感じますが(笑)。
なお、ヒューズは以後ずっとクリーンで順調にソロワークを重ね、2010年に組んだ <BLACK COUNTRY COMMUNION> で成功すると、2019年から <THE DEAD DAISIES> に加入するなど、近年ますます精力的です。
それでは最後に 「BURNING JAPAN LIVE」 から、シメの『STORMBRINGER(邦題:嵐の使者)』 をご紹介。