「ネオン・デーモン」 2017③ | Mの映画カフェ♪

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THE NEON DEMON
2016 フランス・アメリカ・デンマーク
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン
主演 エル・ファニング、ジェナ・マローン、アビー・リー、ベラ・ヒースコート、キアヌ・リーブス他

美容院の帰り道、ヒルズで上映している事に気がついてダッシュ。席があって良かった~混んでました。

NWR監督といえばどうしても「ドライヴ」と比較されてしまい、気の毒ですが
案外気にせず自分の好きな作品を撮っているのかも。

「ドライヴ」は主人公が感情を抑えている事に呼応するごとく、
抑えた表現が光りましたが

他の作品では抑えていません。全開です

そしてNWRといえばライアン・ゴズリングですが残念、今回は出ていません

今回はエル・ファニング!

モデルを目指してLAに上京(!)したばかりの16才のジェシー
ピュアな美しさでモデル事務所の目にとまり、フォトグラファー、デザイナーにも認められてゆく
ジェシーを目にかけるメイクアップアーチスト、モデルの先輩との駆け引き、醜い争い…

エル・ファンの私としては小さな顔やすらりとした手足や透明感の生かされたモデル役、納得ですが
絶世の美女とは思わないので違和感を覚える人も、いるかも。

ちょっとドライヴのキャリー・マリガンを思い出しましたよ。監督、未完成というか無垢な美しさというか、好きなんでしょうね。

特筆すべきはこの映画の緊張感。最初から最後まで決して途切れることはありません

ポップコーンのカサカサ音はおろかコーラの氷の音さえ許されない雰囲気です。
幻惑される音楽も、また静寂も映画の一部。
ずーっと息を詰めて画面を凝視する観客たち…何かの修行でしょうか…

それでも前半はまだ観やすいけれど、終盤やっぱりグロい(お約束)

私としてはこういう風に話に決着をつける必要、あるのかなと思ってしまう

結論を出さずに曖昧にしてくれた方が、人間の心の汚さ、醜さがより際立ったように思えるからです。

ホラーな展開は「マルホランド・ドライブ」を引き合いに出す方が多く、私はコレ観ていないのですが、リンチ的な感じはありますね。

ホラーな部分を悪趣味と思う人がいるからカンヌでブーイングになるのでは。
なんとなく惜しい気もしますが、監督は満足なんでしょうね…

外見の美しさとうらはらな、内面の醜さ
美への狂気じみた執着心

誰でも、自分が異性からみてどのくらい魅力があるのか
試してみたくなる時期がある。
動物の本能ですよね。
そう思うと、女性同士の足の引っ張り合いも、仕方のない事なのかも

最後にクレジットされる名前は監督の奥さんらしいけれど…
この作品を捧げられるのって、どうなの⁉

(1月21日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ)