2015年9月26日 18時半の回
さいたま芸術劇場にて
原作 村上春樹
脚本 フランク・ギャラティ
演出 蜷川幸雄
主演 宮沢りえ、古畑新之、藤木直人 他
うーん、良かった。
面白かった。
村上春樹さんの作品を映画や舞台にするのって、多分すごく難しいことですよね
映画「ノルウェーの森」を観た後は、別に映画にしなくても…ねぇ。なんて思ったんだけれど
この舞台は、素晴らしい。
まず
ガラス(アクリル?)に入ったセットが縦横無尽に動き回る斬新な仕掛けが、美しい!小説の行間を表現しているかのよう。
GoogleのCMにでていた男の子、古畑新之くんの少年ぽさや
宮沢りえさんの美しさ
藤木直人さんの透明感
ナカタさんや猫たち(着ぐるみ!)も、すごく愛おしいのです。
村上春樹さんの小説の妙なユーモアもちゃんと生かされている。
実は私、出版されてすぐ読んだ時は、やっぱり初期の作品の方がいいなーなんて感想だった。
でも今回の舞台で、小説の良さを再発見したような
残酷で生きづらい世界でさまよう少年、カフカ
疲れ果て、諦め、逃げ出そうとする大人たちを責めることはできないが
生きようとする若い人たちの選択には淡い希望があります。
暴力(しかも理不尽な)に惹かれ社会性をおびた(ように思える)村上春樹さんにあまり魅力を感じていなかったのだけれど
この舞台のラストでは、やはり変わっていない部分が
自身の内に逃げ込むのか
現実に戻って一歩踏み出そうとするのか
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」では戻らず、「国境の南、太陽の西」では戻ることを選ぶ主人公たちは
きっと作者自身なんですよね。
三度目のアンコールはスタンディング・オベーション
胸が熱くなりました。
もう一回観たいかも