彫刻家 杉 英行さん 第3回 ~作りたいものを作っていけばいい~
みなさま こんにちは。
彫刻工房くさか 日下育子です。
今日は素敵な作家をご紹介いたします。
彫刻家の杉 英行さんです。
前回登場の岡村 光哲さんからのリレーでご登場頂きます。
彫刻家 岡村 光哲さん 第1回
、 第2回
、 第3回
、 第4回
、 第5回
、 第6回
杉 英行さん
第1回 ~ 木は一番馴染みます ~
第2回 ~再生する力(生命力)を伝えたい ~
第3回の今日は、制作や素材についての思いということで
制作の技術面や、いくつかの作品に出てくる木の組み方、
具象、抽象ということについての杉さんの想いをお聴かせ頂きました。
どうぞお楽しみ頂ければ幸いです。
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方舟‐Ⅵ
木・アクリル絵の具69x69x70cm
2013年
RESURRECTION
160x160x45cm
2000年
FRAGILE-蜻蛉Ⅱ
木・鉄 120x60x100cm
2010年
飛ぶ
木 170x48x108cm
2011年
さすらい人
木
2012年
日下
前回、制作テーマの面から「方舟Ⅵ」についてお話をお聞かせ頂きました。
今日は少し技術的な面からお伺いしてみたいのですが、
それと木の肌の半球の屋根になっている所も、とても魅力的だなと思いました。
寄木で、すごく堅そうな気がするんですが。
杉 英行さん
堅くはないんですけど。
日下
あっ、そうなんですか。
凄くピシッとした、完璧な面というか、それが堅さを感じさせるのでしょうか。
杉 英行さん
木工技術ですね。
日下
あれはどのように作られるのでしょうか。
杉 英行さん
あれは図面を書いて。
木の幅を決めて、くっつけ合わせる角度を割りだして
その角度のように、一個ずつ切って削って、それを貼り合わせていくんですよ。
だから木工的な技術がないと綺麗にいかないんですね。
日下
そうですか~。(感動!)
素晴らしいですね。
最後に表面を、ああいうひずみのない完璧な凸面にしていくには、
どう仕上げていかれるんでしょうか。
杉 英行さん
仕上げはグラインダーとかサンダ―です。
石と同じです。
日下
そうですか。素晴らしい技術ですね。
『木という素材の生命力、あたたかさ、手触り、香り、全てがいとおしい。
自分にとって大好きな、とても親しみやすい素材である。』
とお書きになっていて、本当に大好きでいらっしゃるんだなと感じます。
杉 英行さん
そうですね。
日下
バイクの旅で見つけられた素材など、
いろんな種類の木を幅広くお使いだと思います。
木の種類ごとに活かし方で心がけていらっしゃることなど
ありますでしょうか。
杉 英行さん
木の種類によって堅さとか違うので、
自然に何か感覚的にやっているんでしょうけど、特に意識はしていません。
日下
そうでいらっしゃるんですか。
私の眼が行ったところで、
いくつかの作品に共通して出てくる木の組み方があります。
「resurrection_5」 の下の土台のところ、
「飛ぶ」の台座、「方舟Ⅵ」 にもでてくるものです。
下の部分を寄せて筒状に作って上に蓋をかぶせるかたちが
何回か共通して出てきて独特だと思いました。
杉 英行さん
そうですね。
あれは、鉄を使ってジョイントにしているのも有ります。
『resurrection』の桶みたいな部分では、鉄も使っていますけど
上の方は、裏でロープで締め込んでいるんです。
一番新しい作品で画像を見ると、「方舟Ⅵ」とかは
溝を切ってロープが締めてあるのがわかります。
日下
あ、そうですね。
これはご自身で考えられた手法なんですか。
杉 英行さん
そうですね。
日下
このやり方は、複数の作品で見られるので、
こだわりをもっていらしゃるのかと感じるのですが。
杉 英行さん
特にこだわりはないんですけど。
何かロープと組み合わせるのが好きなんですよね。
「2人ーきずな又はしがらみ」という作品もロープでつながっているんですけど。
日下
はい、どういう順番でロープを通したらこういう風になるのか、
一生懸命考えていました。(ワクワク)
杉 英行さん
それを考えるのが面白いんです。(ワクワク)
日下
これは途中で切ったり結んだりというのは、どうするのでしょうか。
この「2人ーきずな又はしがらみ」という作品は、
きっちりとしていて、凄く綺麗ですが、どうでしょうか。
杉 英行さん
これは何本か使っていますし。色も塗っているんですね。
最近のは途中で切っています。
日下
そうですか。
「ーきずな又はしがらみ」って内容も面白いですね。。
わたしは結婚して3年目なんですが、自分も体験していることだと思うと、
とても興味深い作品だと思います。(笑)
杉 英行さん
(笑)年数が経たないと。
日下
ああ~、そうですか~。(笑)
Tさん
木 17×23×48
2009年
Kさん
石膏 15x26x44cm
2011年
杉 英行さん
彫刻の具象作品のことですが少しいいでしょうか。
一言だけ。
日下
はい。お願いします。
杉 英行さん
最近、2年間位の事なんですけど。
二十年間位、抽象的な作品を作ってきて
自由美術展とかでいきなり具象の作品を出したら一部の人がやっぱり
「どうしたの?」って、「どういう心境の変化?」とかって言われたんですよ。(笑)
日下
「飛ぶ」という作品でしょうか。
杉 英行さん
「FRAGILE-蜻蛉Ⅱ」という作品ですが。
日下
人物の作品ですね。
杉 英行さん
でも自分の中ではもともと人物が好きなんですよね。
クロッキーとかやったりしてきたんで。
日下
はい。
杉 英行さん
具象の方が表現しやすいもの、抽象の方が表現しやすいものがあるんですよ。
そういうこともあるので、具象、抽象なんてこだわらずに
作りたいものを作っていけばいいなと想うんです。
そう想ってやっています。
また人物を作っていく可能性もあるし。
そういう具象だとか、抽象だとかいうこだわりは捨てましょう(笑)
これだけ一言。
日下
はい、ありがとうございます。
飛ぶ 2
木 45x14x33cm
2011年
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今回、岡村 光哲さんからのご紹介で、初めて杉 英行さんのお話をお聴かせ頂きました。
杉 英行さんは「再生」をテーマにした作品制作をされています。
このテーマについての手記で杉 英行さんは
「例えば、どんなひどい状況下でも、矛盾と混沌の中からいつか必ず再生する力
(生命力)が生まれてくる事を、感じとってもらえるような表現をし、伝えたいと思います。」
と書かれてあり、杉 英行さんの作品制作の常に根底にあるものだと感じました。
さて、杉 英行さんは横浜市緑区の築100年の農家住宅にお住まいだそうです。
もともとは茅葺屋根で、今はその上にトタンをかぶせた屋根だそうですが、
ご自身も手伝って萱の葺き替えをされたこともあったそうです。
冬の暖房は薪ストーブで、薪はご自身で割られるそうです。
そのような自然に近いライフスタイルも、澄んだ豊かな感性を保ち続けていらっしゃる
秘訣なのかも知れないと私は感じました。
みなさまもぜひ、杉 英行さんの彫刻作品をご覧になって見てはいかがでしょうか。・
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◆杉 英行さんの手記 「木材入手顛末記」
◆杉 英行さんが登場するWEBページ
◇ 自由美術協会公式ウェブサイト
◇ 杉 英行さんの紹介ページ
◆ 杉 英行さんが出品されるグループ展
第10回 彫刻7人展
2014年1月13日(祝日・月)~1月19日(日)←現在開催中です!
11:00~18:00 (最終日は17:00)
万国橋ギャラリー
〒231-0003 横浜市中区北仲通4-49 萬国貿易ビル1F
電話/FAX 045-201-8103
交通 ■地下鉄 みなとみらい線 馬車道駅下車、6番出口徒歩1分
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/横浜第2合同庁舎向い側
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