新型コロナウィルスの第7波が押し寄せてきて、全国的に感染者数が増加しており(3月12日・13日の広上淳一指揮の京都市交響楽団(藤村実穂子)のように児童合唱団が断念したことによって演目が変更された事例もあり)、中止の発表がないかと毎日心配していましたが、無事開催されました。
【指揮】クリスティアン・アルミンク Christian Arming 【独唱】藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)
【管弦楽】広島交響楽団 【合唱】エリザベト音楽大学合唱団 / ひろしまオペラルネッサンス合唱団 / 東京混声合唱団 / NHK広島児童合唱団
広島文化学園HBGホール。ネーミングセンスがDAIGO
アルミンクの指示だろう。冒頭のホルンのユニゾンからかなりゆったりしたテンポほんの少しホルン乱れるがこれは仕方ないだろう。第1楽章が35分もかかったので驚く(M.Jansons指揮RCOとかバーンスタイン並み)けど、しっかりとした構成になっていてダルさはない。結構ウルウルきた。ホルンが中盤から素晴らしいし、木管も素敵
個人的には第1楽章が一番感動した。素晴らしい
アルミンクはここでたっぷり2分程休憩。
第2楽章はとても楽しい音楽だけど、アルミンクはその楽しさを全面に出していた。指揮している姿はとても楽しそう。
第3楽章前に合唱団入場。女声合唱、児童合唱それぞれ40名程か…3月の広上淳一指揮の京都市交響楽団(独唱は藤村実穂子さん)がコロナの影響で児童合唱団が準備できないために早々に第3番を断念して曲目を変更した(3番→1番)苦い思い出があるだけに、コロナに感染しないで練習をしてきてここに立っているのかと思うだけで泣けてくる舞台袖から吹いたポストホルンが抑制の効いた素晴らしい音。チラッとしか見えなかったけど、演奏後に戻ってきたトランペット奏者の手にはおそらくフリューゲルホルンか。
第4楽章で藤村実穂子さんが濃いブルーのドレスで入場、指揮者とコンマスの間に立つ。演奏が始まったところで、私からさほど離れていないところ1階12列(?)10番辺りの爺さんの携帯から「蛍の光」が20秒程鳴る…隣の奥さんが止めようと鞄の中をゴソゴソ探す…ホント最悪藤村さんの歌が始まる直前でなんとか止まったけど…大迷惑。それにしても、藤村実穂子さんの歌が素晴らしい
さすが世界の藤村、すごすぎて涙も出ない。
第5楽章の合唱もとてもよかった。第4〜第6楽章をアタッカで繋いで一体感を持たせるのが好きなんだけど、アルミンクもやってくれた。第5楽章の残り15秒程のところで合唱団を座って歌わせる(藤村さんだけ第6楽章冒頭で静かに着席)のはナイスなアイデア。第6楽章の感動的な入りのところで、合唱団が座る雑音や余計な動きがないと演奏に集中できるのがいい。
第6楽章も非常にゆっくり。フルートとオーボエが全楽章を通じてめちゃ巧い。金管も総じて好調だったけど、第6楽章の一番肝心なところ(終盤の全休止、フルート・ピッコロの後のTpとTbのコラール)でTpに若干のミスが出たけど、100分演奏してきてあれだけのゆっくりした流れで吹くのは相当難しいだろうし、やむなしでしょう。細かい音の違いとか音響とかミスとか気にする人はいるけど、そんなことで100分以上のこの演奏の価値が損なわれることはない。結局最終楽章も25分以上かかり、なんと107分実演を何度も聴いてきたけど、おそらく自分の経験上最長の演奏。指揮、演奏、ソロ、合唱団とすべてに大満足。
後日書きますが、靴がびしょ濡れのため不快感MAXということもあり、やや集中力が欠如していたのは不運でしかない アルミンクのタクトが上にあるのに拍手を始めた人々は勘弁してほしい…招待客とかなのだろうか。先述の「蛍の光」爺さん、1階12列19番の40代くらいの男のスマートウォッチがたまにブルブル鳴る、隣のオヤジが演奏中パラパラとパンフレットを見ている、最後拍手が早いなど、客の質がイマイチだったのは残念。
時計があったので見ていたらこんな感じだった。メモを取ったわけではないので間違っているかもしれないけど。
1st mov. 1850 1925 35min
2nd mov. 1927 1936 9min
3rd mov. 1938 1955 17min
4th mov. 1957 2006 9min
5th mov. 2006 2010 4min
6th mov. 2010 2037 27min
直前に原爆ドームを前にして思うところがあり、泣けた。広島平和記念公園を歩き、「安らかにお眠り下さい 過ちは繰返しませぬから」と書かれた慰霊碑を前にした。記念式典の前夜にその場所のすぐ近くで聴いたマーラーの3番。無事開催されてよかった。聴きに来て本当によかった。核のない世界はもはや幻想でしかないけれど、絶対に使わせない、使う必要のない世界になってほしい。それももはや幻想でしかないのか…