Manon @ ウィーン国立歌劇場(June 5) | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

チェスキークルムロフへの1泊2日旅行の後、ウィーン国立歌劇場でマスネの『マノン Manon』を観ました。ウィーンに戻る車が夕方の渋滞に巻き込まれたのと、ホテルのレセプションの長蛇の列のために間に合わないかと焦りましたが、シャワーもささっと浴びることができたし、なんとか間に合った。
 
2019年6月5日(水)19:00 - 22:15 1 intermission
Jules Massenet "Manon" マノン 全5幕
Libretto | Henri Meilhac and Philippe Gille
  
フローレス人気かマチャイゼ人気か両方か、正規ルートでチケットの予約を入れるが全然割り当てられず。今回思ったのが、ウィーン国立歌劇場のチケット販売方式は実に不可解。無理なら無理と早く知らせてほしい。しびれを切らせて3月に某チケット代理店経由でチケットを入手しようとすると、プレミアムと手数料で定価の3倍弱ガーン 『影のない女』が最優先なので、こちらはケチってGalerie Halbmitteの席を確保してもらった。視界はそんなに悪くないし、結構いいのかなと思った…

しかし、2日(日)に観た『影のない女』の時の平土間席と比べて客層が最低。演奏中にしゃべる人多数、写真/動画を撮る輩、でかいクシャミ、飴玉の袋を2分くらいかけてゆ〜っくり、ゆ〜っくり、ビリビリと音を立てながら開ける隣のバアさん(←さすがに注意した)、鼻をすする真後ろの若い韓国人女性、前かがみに身を乗り出して視界を妨げる真ん前のオッさん(=前半にいなかったから、立ち見席から流れてきたと思われる不届き者)、立ち見席の客の足音がバンバンうるさい、暑いからと紙でパタパタ扇ぐ婦人。しかも、その紙は数分後に勢いあまって前の席に飛んで行っていたなどなど。隣のジイさんは、第2幕が終わって第3幕に続けて入ったところで、奥さんに時計を指差しながら「なんでまだ続くのか」って聞いていた。5幕6場もので休憩が1回しかないんだから(第3幕第1場までで休憩)当たり前だろ。子どもじゃないんだから、おとなしく聴いとけムキー 我慢の限界がきたので、両隣のジイさんバアさんには、「し〜っ」というジェスチャーで注意したほか、前列のオッさんにも第3幕と第4幕の間の舞台転換の間に肩を叩いて、「真っ直ぐ座れ!」と注意した。斜め後ろのおじさんも別の人々(紙で扇いでいた婦人を含む)に数回注意していたので、幕間の時に、そのおじさんと「オケと歌手は最高なのに観客は最低ですね」と話した。
 
マチャイゼMachaidzeとフローレスFlórezという今をときめく2人の共演。生で聴くのは2人とも初めてだけど、実に素晴らしい。人気があるのは当然かなと思った。第1幕最後の二重唱「2人で暮らそう」も第3幕最後の場面も非常に素晴らしかった。

 
マノンの第1幕「私はまだ呆然としていて」、第2幕「さよなら、私達の小さなテーブル」は気持ちがグッとこもった表現力、弱音でも上の階まで明瞭に聞こえてくる声質、軽やかにすっと伸び上がる高音、オケを突き抜けてくる強さとそれでも割れない美しい声、舞台映えする容姿(オペラグラスがロストバゲッジ中で行方不明のスーツケースの中ガーンなのが残念で仕方ない。それにしても、チケットをスーツケースに入れずに機内持ち込みにした自分を褒めたい合格。第3幕第1場の「私が街を歩くと」とガヴォット「優しい愛に従いましょう」も実に素晴らしかったし、第2場の誘惑のアリアも…修道士になるはずのデ・グリューも、そりゃ誘惑されてしまいますね。ハマり役だった。

来年1〜2月に新国立劇場で『ラ・ボエーム』のミミを歌うのが楽しみ。

世の中の女性たちをトリコにするFlórezのデ・グリュー。第2幕「夢の歌」(目をつぶったら向こうの方に)と第3幕第2場の最大の見せ場「消え去れ優しい面影よ」は圧巻。すごいなぁ…というしかない。こりゃ、人気が出るよ。見た目もいいんだけど、声が艶やかでスカッとオケを越えて客席に飛んでくる。

第2幕の手紙の場面

デ・グリュー最大の聴かせどころ第3幕第2場「消え去れ優しい面影よ」が実に素晴らしかった! ものすごい拍手。

12月にフローレスの来日公演がある。招聘元のキャッチコピーは「100年に1人のテノール」。いまどきこんな陳腐な誇大広告キャッチコピーを見ただけでチケットを買う人がいるのかなと思うけれど、100年の1人かどうかはさておき、とても素晴らしいテノールでした。

日本でもおなじみのエレート。また来日してほしい。

ギョーはMichael Laurenz

フランス物の作品に指揮がFrédéric Chaslinという贅沢。ウィーン国立歌劇場って、弦の音がなんでこんなにも美しいのだろう。まさに伝統の音。楽器そのものが日本のオケと全然違うんだろう。豊潤でビロードのようだ。オーボエやクラリネットの音もとても温かくて優しい。フランス物の音楽をこうして聴いてみると、とても活きているなって思う。というわけで、音楽も歌も最高だった。

   
幕間にテラスに出てみた。20時40分でもまだ夕焼け。


 
Conductor | Frédéric Chaslin
Director | Andrei Serban
Set and Costume design | Peter Pabst
 
Manon Lescaut マノン・レスコー | Nino Machaidze
Chevalier des Grieux デ・グリュー | Juan Diego Flórez

Graf des Grieux デ・グリュー伯爵 | Dan Paul Dumitrescu
Lescaut レスコー | Adrian Eröd

Guillot de Morfontaine ギヨー |  Michael Laurenz
Monsieur de Brétigny ド・ブレティニ | Clemens Unterreiner

Poussette ブセット | Ileana Tonca
Javotte ジャヴォット | Svetlina Stoyanova
Rosbtte ロゼット | Zoryana Kushpler
  
Trailerは、ネトレプコ。

 
チェスキークルムロフから帰ってきた直後に『マノン』を観てかなり疲れたので、23時から食べに行く元気なく…公演後の夕食はバーガーキングガーン 一番カロリーが低そうなのを選んだ。← 苦しい言い訳ガーン