前の座席に座る人で… @ 新国立劇場 | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

先日新国立劇場で観た『オテロ』は、私にとって、『イル・トロヴァトーレ』とともにストーリーが好きになれない作品の代表格ですが(ともにヴェルディ)、習慣としてチケット発売初日にポチッと買ってしまった。ヴェントレとカリニャーニへの期待は大きかったものの、作品そのものにはあまり期待していなかったので、あまりよく見えなくてもいいやと思い、安易な考えで安い席にしたのですが、これが失敗でした。

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真ん前にデカめのおっさんが座っていてがっかりガーン おっさんのせいで(さらにその前も男性)で、舞台の前方はほぼ見えない。私が読者になっている方の記事によると、オテロが客席から登場し、松明もあったらしいですが、全く分からなかった。これなら、一番端っこのZ席の方がまだマシな最悪の席。しかもこのおっさんは、その前の男性が邪魔なのか、常に左右に頭を動かす最低な輩。注意しようかとも思いましたが、自分の判断であえて安い席を選んだのだから自業自得なので諦めようと思ったのと、まぁ『オテロ』だし… ここは大人の対応で、「今日は listening only seat だ」と自分に言い聞かせて、音楽と歌に集中することにしました。「悟りの境地」ですシラー
 
しかし、奇跡が流れ星 … なんと、真ん前のおっさんが後半の第3幕から消えていましたグッド! もしかしたら、その前の人が邪魔で席替えしたのかもね。邪魔者がいなくなってせいせいしたかと思えば、指揮者登場とともに、その左隣の女が勝手に座席移動して私の真ん前にパンチ!むっメラメラ 怒ってやろうかと思いましたが、背が低いために私の視界を遮らないので無視しましたけど… 私の少し前の列だけで、4人程が休憩後に勝手に移動したので呆れましたむっ
 
というわけで、休憩後の第3幕からは視界が開けてとても楽しめた。新国立劇場の上の階は、真ん前の席にだれが座るかでこんなにも視界が変わるのですね。

1年前に亡くなった佐々木忠次さんの著作『オペラ・チケットの値段』を6年前に読んだのですが、なぜ新国立劇場のチケットが高いのか、なぜ海外のオペラハウスが新国立劇場を使わないのか、国立なのに専任オケやバレエ団がない、合唱団等に年金もないなどとひたすら批判している本です。佐々木氏は客席数を増やすよう提案したものの、他の人の意見が採用されて、1814席しかないのが元凶だと。
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ちなみに、海外オペラハウスがよく使う東京文化会館は約2300席、NHKホールは3400席、オーチャードは2150席。ウィーン国立歌劇場は1709席ですが、他に立ち見席が567席。ミラノ・スカラ座は2030席。バイエルン国立歌劇場は2101席(立ち見席約300を含む)。METは3800席に立ち見席が195。

新国立劇場の3階席と4階席の2列目以降は、角度の関係で舞台が見えにくいという構造的な欠陥を抱えているのは悪名高く、「後ろの方に配慮して、身を乗り出さないでください」という注意が頻繁に行われます。佐々木氏の主張の是非にはコメントしませんが、見えにくいという事実や時々客席でトラブルがあるという話も聞きます。

今回まさにその洗礼を受けたわけですガーン