一つ前の書き込みで述べたように、選挙権のある国では、自然にベーシックインカムが始まり、「ユートピア」への道を突き進むだろう。
 では選挙権の無い国ではどうなるのだろうか。
 その好例が中国であろう。
 中国に選挙は無いのである。
 かつてのソ連にさえ選挙は、制限付きではあったが行われていたのに、中国には無いのである。
 中国という国は、「共産党の、共産党による、共産党のための」国家なのである。
 そこでは共産党員以外の国民は、共産党に仕えるための「労働者」でしかない。
 労働者としての有用性がある限りはそれなりに大事にされる。
 それなりにだが。
 選挙のある国では、「労働者」は同時に「有権者」でもある。
 「労働者」から労働が奪われても、選挙権は残る。
 しかし中国で労働者から労働が奪われたら何も残らない。
 戦って共産党を倒そうにも、兵士もAI化、すなわちロボット化していたら勝ち目は無い。
 つまり、共産党員は限りなく豊かになり、非共産党員は限りなく貧しくなるというディストピアである。
 それを防ぐには、社会がAI化する前に共産党を倒すか、あるいは外国勢力による力尽くの解放しか無いだろうな。
 中国に選挙制度が平和的に導入される可能性は限りなく低いと思われる。
 さてどうなるかな。
 「BI無きAI社会(2)」で述べたような未来が予想されることになるわけだが、実際にはそうはならないだろう。
 少なくとも、日本や欧米先進国においては。
 何故ならそれら諸国の「労働者」は「選挙権」を持っているからだ。
 この選挙権によってベーシックインカムを推進しようとする政党が政権を握ることになるだろう。
 かくして「労働者」は選挙権に救われベーシックインカムの恩恵を受けることになるだろう。
 またベーシックインカムは、「労働者」のみならず資本家にとっても福音となるだろう。
 何故なら「労働者」は「消費者」でもあるからだ。
 「労働者」はベーシックインカムで得たお金で、生活費、ひいては遊興費に充てることで経済は回転し、GDPは上昇し、資本家にとっても大きな利益となるからである。
 そうなると、経済は好循環になるわけである。
 BIがもし無かったとしてみよう。
 どうなるだろうか。
 失業率はAIの発達に従ってどんどん高くなるだろう。
 2030年代から肉体労働はロボットに置き換わるようになっていくだろう。
 また頭脳労働と言われる物も、AIに置き換わっていくだろう。
 例えば通訳や翻訳という仕事は早い時点でAIに置き換わるだろう。
 さらにAIが人間の知能を越える、所謂シンギュラリティという事態になると予想される2045年以後は、経営者や弁護士、教師といった頭脳労働者もAIに置き換わるだろう。
 この時代に生き残るのは株主という資本家だけである。
 そういう状況に反発する「労働者」は、ロボットの警察によって逮捕されるだろう。
 ロボットに人間が勝てるわけが無い。
 かくして、一部の資本家だけが我が世の春を謳歌し、大多数の「労働者」は刑務所に収監されるというディストピアが21世紀中に訪れることになるだろう。
 これを考えるとやっぱり地獄だねえ。
 ベーシックインカムの無い人工知能社会。
 汎用型AIを搭載した汎用型ロボットによって人間が出来る仕事の多く(主に肉体労働)は取って代わられるだろう。
 いや、汎用型が出来る以前の特化型AIの時代でも、セルフドライビングカーが出来れば運転手の大量失業を招くだろう。
 この段階でベーシックインカムを導入しなければ手遅れになるのでは無いか。
 しかし今、日本の政治家の何人の頭に「ベーシックインカム」という言葉があるのやら。
 安倍首相や麻生副首相の頭にはあるのだろうか。
 安倍首相の任期中に少なくとも公的な勉強会のような物を始める必要があるのではないだろうか。
 それとも私が知らないだけでもうあるのだろうか?
 どうなのだろう。
 人工知能AIとベーシックインカムBI。
 本来何も関係は無いはずだけど、よく似た言葉だ。
 AIとBI。
 偶然だとは思うけれど。
 新書「人工知能と経済の未来」でもBIなきAIはディストピア。AIはBIがあって初めてユートピアとなり得ると書いてあった。
 まあ私としてはBIがあってもユートピアになるかはちょっと疑問だけど、少なくともBIが無い場合に想定される地獄のような世界(失業地獄になると想定出来る)よりははるかにましだということは間違いない。
 現代人の感覚で言えば間違いなくユートピアだろうしね。
 しかし「人工知能と経済の未来」によると汎用AIが出てくるのは2030年頃だという。
 わずか12年後だ。
 私も妻もおそらく生きているだろう。
 突然の事故や病気でも無い限りは。
 人間の世界はこの急激な変化に対応出来るのだろうか。
 今日からオリンピックだねえ。
 しかし、なんか盛り上がらないなあ。
 日本の中でも、世界中でも、また自分の中でもね。
 まあ場所が韓国じゃあどうしようも無いか。
 選手の方々にはすまないと思うけどね。
 選手の方々に望むのは、無事で帰ってきてくださいということかなあ。
 心身共にね。
 なんか1日目から早速嫌がらせされたみたいだけどね。
 そこが世界で一番タチの悪い国だということ、特に日本人にとっては、ということをしっかり肝に銘じておいてほしいのだけど、不安だねえ。
 2月7日のWBSでSpace X社の新型ロケットの打ち上げが放映された。
 美しいロケットだと思った。
 そしてボーイング社も火星一番乗りに名乗りを上げたようだ。
 私はスペースコロニー主義者だから火星開発が盛り上がるのは痛し痒しな部分もあるが、宇宙開発が盛り上がっていると思えば純粋に嬉しい。
 火星を開発出来る技術力があれば、小惑星の開発はさらに容易だしね。
 火星一番乗りは2024年の予定だったか。
 頑張って欲しいものだ。
 2月6日午後(日本時間7日未明)、米民間宇宙企業スペースXはフロリダ州にあるケネディ宇宙センターから新開発の大型ロケット「ファルコンヘビー」を打ち上げたのだが、そのペイロードが凄い。
 63.8トン。
 2位のプロトンM/23トンの3倍近い。
 打ち上げ時の推力は2267トン。
 27基のマーリンエンジンを搭載している。
 今回の打ち上げ目的は、地球から火星に向かうホーマン軌道に乗るかどうか確認することだそう。
 何というか、イーロン・マスクは着々と夢に向かって歩を進めているなあ。
 それはそれで凄いと思う。
 いやあ、面白かった!
 一晩で読み上げてしまった。
 AIとそれが近未来の経済にもたらす影響、ひいては社会全体にもたらす影響について実に的確に論じた本だった。
 著者は経済学者だが、理系の知識も豊富。
 また哲学関係もかなりの博識のようだった。
 実に面白い本だった。
 新書「人工知能と経済の未来」を購入した。
 まだよく読んでいないが、目次を読む限りでも面白そうである。
 しかし、奥付を読むと発売は2016年7月とのこと。
 つまり一年半も前の本だということだ。
 しかし2017年12月5日付で16刷となっている。
 なかなか売れている。
 しかもロングセラーである。
 ベーシックインカムについても大きくページを割いている。
 これから読むがなかなか良さそうである。