MLB(メジャーリーグ)コラム「Gotta be Clutch」 -9ページ目

2008年タイトル展望(アリーグ投手編)

現役最高投手ヨハン・サンタナがナリーグに去った今、
アリーグの投手タイトル争いはかなり熾烈となったと言ってもいいだろう。
そんなアリーグの2008年投手タイトル展望です。

<最多勝>
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例年20勝前後が目安となるこのタイトルレースは、
チームの強さ(勝利数)にも大きく左右される。
その中で本命は王建民(ヤンキース)。
2年連続19勝を挙げており、チーム力のあるヤンキース所属と言うことも大きい。
またハードシンカーで打たせて取るピッチングのため、投球数も抑えられ、
長いイニングを投げられることも、勝利投手となるには重要な要素だ。
昨年のプレーオフでは打ち込まれたが、今季もシーズン初めから安定しており、
ヤンキースでは98年のデービッド・コーン以来の最多勝投手が出る可能性は高い。

対抗になるのがレッドソックスのジョシュ・ベケット松坂大輔だ。
スタートで出遅れたベケットだが、昨年20勝でタイトルを獲得したように実力は文句無し。
まだ1位と2勝しか離されていないため、巻き返しは十分期待できる。
ベケットとは対照的に開幕からローテーションを守り続け、
5登板4勝(リーグ1位タイ)を挙げている松坂にも最多勝の可能性はある。
メジャーリーグにも適応した今季、昨年以上のピッチングが期待できるのではないか。
そして何よりレッドソックスは優れたブルペン陣が勝利投手の権利を守るため、チーム力はヤンキースよりも上。

他には開幕から絶好調のクリフ・リー(インディアンズ)や
実力のあるロイ・ハラディ(ブルージェイズ)、ファウスト・カーモナ(インディアンズ)辺りも絡んでくるだろう。
一方シーズン前なら有力候補に入っていた昨年サイ・ヤング賞のCC・サバシア(インディアンズ)や
ジャスティン・バーランダー(タイガース)は出遅れてしまった。どこまで巻き返せるか。

<最優秀防御率>
チームの力に左右される最多勝と違い、その投手の実力そのものが大きく反映するこのタイトル。
さらに2004年のジェイク・ピービー(パドレス)のように規定投球回数をギリギリクリアして
いきなりトップに躍り出る選手がいるのもこのタイトルの特徴だ。

2008年の本命はフェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)だ。
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まだ22歳の若さだが、素質は誰もが認めるところ。
今年も現時点で防御率1.67(リーグ3位)と、好調を維持している。
ここ2年は期待されながらも、四球などで自滅し、
もったいない点を献上することが多かった。
しかし今年は城島とのコンビも3年目で、成長を見せてくれるはず。
マウンド上でイライラしなければ、これだけの可能性はある。

ヘルナンデスが自滅し始めた場合に候補に躍り出るのは
経験もある各チームの実力派投手達だ。
その筆頭がロイ・ハラディファウスト・カーモナ
両者実力のわりに知名度は低いが、打者を押さえ込む能力はかなり高いだけに
タイトルを獲っても全然おかしくないだろう。

大穴として注目したいのはジェームズ・シールズ(レイズ)とザック・グレインキー(ロイヤルズ)だ。
シールズは昨年開花し、WHIP(1イニングに出すランナーの平均数)がリーグ3位という優秀な成績を残した。
ランナーを出すことが少なければ、必然的に失点も減る。サンタナ並みと言われるチェンジアップも武器だ。
対するグレインキーは今年開花が期待される「グレッグ・マダックス2世」。
元々素質があったものの、昨年は精神的な問題でシーズンを棒に振った。
しかしケガではないので、自信さえ取り戻せばマダックスのように防御率レースの常連となり得る投手だ。

<最多奪三振>
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このタイトルはかなりの接戦が予想される。
その中での最有力候補は松坂大輔
メジャーのマウンドへの適応に苦労した昨年でもリーグ6位の201奪三振。
さらに今年も現時点で28個でリーグ4位。
しかし上位陣の投球回数と比較すると、奪三振率は松坂のほうが上だ。
ということはこのままシーズンを無事に過ごせば、
松坂が野茂以来となる日本人の奪三振王になる可能性は高い。

対抗は共にケガで出遅れた昨年の1位と3位(2位はヨハン・サンタナ)、
スコット・キャズミアー(レイズ)とエリック・ベダード(マリナーズ)だ。
2人ともケガさえなければ、今頃ハイレベルなトップ争いを繰り広げていただろう。
キレの良い変化球と速球で三振の山を築く両左腕は共に完全復帰が近い。
既にトップとは30個近く離れてしまっているが、それを物ともしない爆発力もある。
残りのシーズンをケガ無しで送れば大本命の2人。
今シーズンはキャズミアーとベダードが松坂を追いかける。

隠れた候補はハビアー・バスケス(ホワイトソックス)とフェリックス・ヘルナンデス
安定感があり、三振もコンスタントに奪えるバスケスは、タフさが売り。
2006年から2年続けてリーグ4位の奪三振数を記録しているため、タイトルを獲ってもおかしくない。
現在リーグ1位の31奪三振を記録しているヘルナンデスは、元々奪三振率はそれほど高くない。
しかし160キロの速球、ハンマーのようなカーブ、キレの良いチェンジアップと優秀な球種が揃っているのが武器。
球団側が投球回数規制を緩めさえすれば、ヘルナンデスにも勝機はある。

<最多セーブ>
今年の本命は2005-2006年のセーブ王、フランシスコ・ロドリゲス(エンゼルス)だ。
昨年史上最年少で100セーブを達成した若き守護神”K-ROD”は
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今年も現時点でリーグ1位の10セーブと絶好調。
このペースだと50セーブにも手が届く。
現時点では死角も見当たらず、
チームが強豪なだけにセーブ機会にも恵まれており、独走する可能性もある。

ロドリゲスに待ったをかけるのは、ジョナサン・パベルボン(レッドソックス)と
ジョー・ネイサン(ツインズ)となりそう。
2人ともマウンドでの威圧感ではロドリゲスを上回る絶対的守護神だ。
球威、コントロール共に安定しており、今シーズンも好調。
唯一不安があるとすれば、セーブ機会が少なくなることだ。
パベルボンは球団から連投ルール(ある程度投げれば必ず休ませる)を決められており、
ネイサンはサンタナ(メッツ)やハンター(エンゼルス)が抜けたチーム力自体の低下がネックになる。

チーム力や実績などを考えると、マリアーノ・リベラ(ヤンキース)や
ボビー・ジェンクス(ホワイトソックス)らも候補に入ってくるが、
ロドリゲスやパベルボンが相手だと少々厳しい感が否めない。