2008年タイトル展望(ナリーグ投手編)
アリーグからヨハン・サンタナが移籍してきたことによって、
ナリーグ投手のタイトル争いはかなりハイレベルなものになりそうだ。
<最多勝>
好投手が揃うリーグ内でも、やはり有利なのは強豪チームに所属していること。
また完投能力があるかないかでもかなり違いが出てくるだろう。
最多勝レースの大本命はやはりヨハン・サンタナ(メッツ)だ。
サイヤング賞2回の実績を見れば、実力に文句の付けようが無い。
また強豪ニューヨーク・メッツに移籍したことも非常に大きいだろう。
リーグ屈指の力を誇るメッツ打線と、厚みのあるブルペンがサンタナを支える。
DH制が無く、打線に投手が加わるナリーグだけに、
DHがあるアリーグで打者をねじ伏せてきたサンタナにはプラス要素も多い。
今年もスタートダッシュはまずまずで、例年通りオールスターまでには100%になるだろう。
対抗は現在リーグトップの5勝を挙げているブランドン・ウェッブ(ダイヤモンドバックス)と名門のエース、ブラッド・ペニー(ドジャース)。
ここ数年優秀な成績を残している両者は完投能力にも長ける。
2006年には揃って最多勝を獲得したという実績もあり、チームも強い。
しかし問題は2人ともナリーグ西地区に所属していると言うことだ。
この地区には優秀な投手が非常に多く、エース対決になると勝ち星を食い合う恐れがある。
これは昨年の投手三冠王ジェイク・ピービー(パドレス)にも同じことが言える。
実力ならサンタナ並みのピービーだが、ウェッブやペニー、さらにジェフ・フランシス(ロッキーズ)との対戦が
多くなる上、パドレスは打線が弱く、本命には挙げられない。
西地区のエースたちが勝ち星を食い合えば、中地区のエース、ロイ・オズワルト(アストロズ)や
カルロス・ザンブラーノ(カブス)辺りにもチャンスが広がってくる。
<最優秀防御率>
ここで本命に挙げるのはブランドン・ウェッブ。
2006年のサイヤング賞投手は、
昨年も3連続完封を成し遂げるなど、安定感は文句なし。
前述の通り、勝利数では不利な状況かもしれないが、
防御率なら可能性は十分だ。
対抗は元投手三冠王のヨハン・サンタナとジェイク・ピービー。
2人とも好調なときは手が付けられない。
実力だけならウェッブ以上と言ってもいいが、
サンタナは昨年不調気味だったので対抗止まり。
ピービーは投手有利の球場が味方に付くが、
時折不安定なピッチングを見せるときもあり、本命には押せない。
大穴はジョン・スモルツ(ブレーブス)とティム・リンスカム(ジャイアンツ)を推す。
40歳を超えても衰えを見せないスモルツは、まだまだ球威は十分。
失点出来ないクローザーという役割も務めた豊富な経験が生きるかもしれない。
リンスカムは弱小ジャイアンツ期待の有望株。
躍動感のあるフォームから投げ込む速球は既にメジャートップクラス。
チームは弱くとも、投手自身の実力が反映されるこのタイトルなら可能性はある。
<最多奪三振>
ここはヨハン・サンタナとジェイク・ピービーの一騎打ち。
球のキレ、球威共にトップレベルで、打者を追い込む術も身に着けている。
しかしより完投能力の高く、投球回数を稼げるヨハン・サンタナが本命か。
ナリーグの打者はサンタナとの対戦回数が少なく、
ほとんど初対戦の打者があのパラシュートチェンジを捕らえるのは至難の業だ。
対抗に落ち着いたピービーだが、昨年の投手三冠が示すように
勢いを含めた能力値はサンタナに勝るとも劣らない。
打者を幻惑できる変形フォームから投げ込まれるキレのいい速球とスライダーのコンビネーションは三振の山を築くだろう。
しかしこの2人だけでなく、他にも多くの候補がいるのがこのレース。
豊富な投球回数で三振数を稼ぐカルロス・ザンブラーノとアーロン・ハラング(レッズ)。
タフさには定評ある2人はシーズン220投球回以上は見込める。
そのため奪三振率は高くなくても、三振数自体は増えるだろう。
このタフネス2人がサンタナやピービーを大きく上回る投球回数を記録すれば、
大本命の2人に迫る可能性はある。
そして球威のあるジョン・スモルツも上位の三振数が伸びなければ、
面白い存在になってくるだろう。
注目はジャイアンツの若き2人、ティム・リンスカムとジョナサン・サンチェスだ。
現時点で1位のハラングに1個差と迫る2人は、球威があり、勢いに乗っている若手だ。
大学時代に奪三振の地区記録を作ったリンスカムは、
野茂を彷彿とさせるトルネード投法から、160キロの速球を見せる。
一方サンチェスも大学時代に4度のノーヒッターを達成した奪三振マシンで、
この2人が若さと勢いでサンタナやピービーを脅かすことも十分考えられる。
不安は2人とも初めてのフルシーズンとなるだけに、終盤息切れを起こす可能性もある。
<最多セーブ>
本命は過去2年の不調から復活を期すブラッド・リッジ(フィリーズ)。
シーズン開始前は不安もあったものの、いざ蓋を開けてみれば絶好調。
現在リーグ4位タイで、1位にわずか2個差の6セーブを記録。
チームも優勝候補だけにセーブ機会も多くなるはずだ。
過去数年不安定なシーズンを過ごしたが、実力はあるので、
その反発でものすごいシーズンを送っても不思議ではないだろう。
対抗はリッジと同地区に属するビリー・ワグナー(メッツ)と
現在セーブ数トップのジェイソン・イズリングハウゼン(カージナルス)。
ワグナーは現役3位のセーブ数を記録している快速左腕。
チームも強いので、そろそろ初のセーブ王になってもいい頃か。
イズリングハウゼンは知名度は低いが、実績のあるクローザーで、
今季も序盤からセーブ数を稼いでいる。
カージナルスが開幕から絶好調なのも影響しているので、
チームが調子を落としてくれば、セーブ機会も減ってくるかもしれない。
大穴はブランドン・ライオン(ダイヤモンドバックス)と、トレバー・ホフマン(パドレス)だ。
両者強豪ひしめく西地区に属しているが、圧倒的な打力で勝ち抜くチームではないだけに、
1-2点差というセーブのつく場面で回ってくることはリッジやワグナーより多いだろう。
問題があるとすれば、ライオンはクローザーとしてフルシーズンを経験するのは初めてだということ。
歴代セーブ王ホフマンは年齢からくる衰えか。
この他にも斉藤隆(ドジャース)やエリック・ガニエ(ブリュワーズ)らにも可能性はある。
写真:(AP Photo/Lenny Ignelzi)
ナリーグ投手のタイトル争いはかなりハイレベルなものになりそうだ。
<最多勝>
好投手が揃うリーグ内でも、やはり有利なのは強豪チームに所属していること。
また完投能力があるかないかでもかなり違いが出てくるだろう。
最多勝レースの大本命はやはりヨハン・サンタナ(メッツ)だ。
サイヤング賞2回の実績を見れば、実力に文句の付けようが無い。
また強豪ニューヨーク・メッツに移籍したことも非常に大きいだろう。
リーグ屈指の力を誇るメッツ打線と、厚みのあるブルペンがサンタナを支える。
DH制が無く、打線に投手が加わるナリーグだけに、
DHがあるアリーグで打者をねじ伏せてきたサンタナにはプラス要素も多い。
今年もスタートダッシュはまずまずで、例年通りオールスターまでには100%になるだろう。
対抗は現在リーグトップの5勝を挙げているブランドン・ウェッブ(ダイヤモンドバックス)と名門のエース、ブラッド・ペニー(ドジャース)。
ここ数年優秀な成績を残している両者は完投能力にも長ける。
2006年には揃って最多勝を獲得したという実績もあり、チームも強い。
しかし問題は2人ともナリーグ西地区に所属していると言うことだ。
この地区には優秀な投手が非常に多く、エース対決になると勝ち星を食い合う恐れがある。
これは昨年の投手三冠王ジェイク・ピービー(パドレス)にも同じことが言える。
実力ならサンタナ並みのピービーだが、ウェッブやペニー、さらにジェフ・フランシス(ロッキーズ)との対戦が
多くなる上、パドレスは打線が弱く、本命には挙げられない。
西地区のエースたちが勝ち星を食い合えば、中地区のエース、ロイ・オズワルト(アストロズ)や
カルロス・ザンブラーノ(カブス)辺りにもチャンスが広がってくる。
<最優秀防御率>
ここで本命に挙げるのはブランドン・ウェッブ。
2006年のサイヤング賞投手は、
昨年も3連続完封を成し遂げるなど、安定感は文句なし。
前述の通り、勝利数では不利な状況かもしれないが、
防御率なら可能性は十分だ。
対抗は元投手三冠王のヨハン・サンタナとジェイク・ピービー。
2人とも好調なときは手が付けられない。
実力だけならウェッブ以上と言ってもいいが、
サンタナは昨年不調気味だったので対抗止まり。
ピービーは投手有利の球場が味方に付くが、
時折不安定なピッチングを見せるときもあり、本命には押せない。
大穴はジョン・スモルツ(ブレーブス)とティム・リンスカム(ジャイアンツ)を推す。
40歳を超えても衰えを見せないスモルツは、まだまだ球威は十分。
失点出来ないクローザーという役割も務めた豊富な経験が生きるかもしれない。
リンスカムは弱小ジャイアンツ期待の有望株。
躍動感のあるフォームから投げ込む速球は既にメジャートップクラス。
チームは弱くとも、投手自身の実力が反映されるこのタイトルなら可能性はある。
<最多奪三振>
ここはヨハン・サンタナとジェイク・ピービーの一騎打ち。
球のキレ、球威共にトップレベルで、打者を追い込む術も身に着けている。
しかしより完投能力の高く、投球回数を稼げるヨハン・サンタナが本命か。
ナリーグの打者はサンタナとの対戦回数が少なく、
ほとんど初対戦の打者があのパラシュートチェンジを捕らえるのは至難の業だ。
対抗に落ち着いたピービーだが、昨年の投手三冠が示すように
勢いを含めた能力値はサンタナに勝るとも劣らない。
打者を幻惑できる変形フォームから投げ込まれるキレのいい速球とスライダーのコンビネーションは三振の山を築くだろう。
しかしこの2人だけでなく、他にも多くの候補がいるのがこのレース。
豊富な投球回数で三振数を稼ぐカルロス・ザンブラーノとアーロン・ハラング(レッズ)。
タフさには定評ある2人はシーズン220投球回以上は見込める。
そのため奪三振率は高くなくても、三振数自体は増えるだろう。
このタフネス2人がサンタナやピービーを大きく上回る投球回数を記録すれば、
大本命の2人に迫る可能性はある。
そして球威のあるジョン・スモルツも上位の三振数が伸びなければ、
面白い存在になってくるだろう。
注目はジャイアンツの若き2人、ティム・リンスカムとジョナサン・サンチェスだ。
現時点で1位のハラングに1個差と迫る2人は、球威があり、勢いに乗っている若手だ。
大学時代に奪三振の地区記録を作ったリンスカムは、
野茂を彷彿とさせるトルネード投法から、160キロの速球を見せる。
一方サンチェスも大学時代に4度のノーヒッターを達成した奪三振マシンで、
この2人が若さと勢いでサンタナやピービーを脅かすことも十分考えられる。
不安は2人とも初めてのフルシーズンとなるだけに、終盤息切れを起こす可能性もある。
<最多セーブ>
本命は過去2年の不調から復活を期すブラッド・リッジ(フィリーズ)。
シーズン開始前は不安もあったものの、いざ蓋を開けてみれば絶好調。
現在リーグ4位タイで、1位にわずか2個差の6セーブを記録。
チームも優勝候補だけにセーブ機会も多くなるはずだ。
過去数年不安定なシーズンを過ごしたが、実力はあるので、
その反発でものすごいシーズンを送っても不思議ではないだろう。
対抗はリッジと同地区に属するビリー・ワグナー(メッツ)と
現在セーブ数トップのジェイソン・イズリングハウゼン(カージナルス)。
ワグナーは現役3位のセーブ数を記録している快速左腕。
チームも強いので、そろそろ初のセーブ王になってもいい頃か。
イズリングハウゼンは知名度は低いが、実績のあるクローザーで、
今季も序盤からセーブ数を稼いでいる。
カージナルスが開幕から絶好調なのも影響しているので、
チームが調子を落としてくれば、セーブ機会も減ってくるかもしれない。
大穴はブランドン・ライオン(ダイヤモンドバックス)と、トレバー・ホフマン(パドレス)だ。
両者強豪ひしめく西地区に属しているが、圧倒的な打力で勝ち抜くチームではないだけに、
1-2点差というセーブのつく場面で回ってくることはリッジやワグナーより多いだろう。
問題があるとすれば、ライオンはクローザーとしてフルシーズンを経験するのは初めてだということ。
歴代セーブ王ホフマンは年齢からくる衰えか。
この他にも斉藤隆(ドジャース)やエリック・ガニエ(ブリュワーズ)らにも可能性はある。
写真:(AP Photo/Lenny Ignelzi)



