MLB(メジャーリーグ)コラム「Gotta be Clutch」 -5ページ目

2008年タイトル展望(ナリーグMVP、サイヤング賞、新人王編)

アリーグに続いてナリーグのMVP、サイヤング賞、新人王展望です。

<ナリーグMVP>
wright
ナリーグは各地区で混戦が予想されるため、必然的に候補も多くなってくる。
しかし大本命はデビッド・ライト(メッツ)だ。
実力は既に折り紙つきで、3割30本塁打100打点はほぼ確実に残してくれるだろう。
打撃だけではなく30盗塁も出来る足に、ゴールドグラブの守備。
総合力ではA-RODに次いでメジャー屈指のサードと言える。
さらに注目度の高いニューヨークでプレーしているのもプラス要素。
そのプレッシャーに負けることなく、チームをプレーオフに導けば、
ニューヨークの若大将ライトがMVPを獲得するに違いない。

対抗はライトの同地区ライバル、チェイス・アトリー(フィリーズ)と
中地区の優勝候補カブスのデレク・リー
現在主砲ライアン・ハワードが不調なフィリーズ打線の中心はアトリーだ。
今年も開幕から絶好調で、ケガさえなければライト並みの成績を望めるだろう。
昨年MVPのロリンズが出塁し、アトリーが打点を稼げれば、アピールも十分。
ライトのメッツとアトリーのフィリーズ、東地区を制したほうがMVPレースも制する可能性は高い。
カブスのリーは調子も良く、2005年に見せた打棒が復活している。
ライトやアトリー以上の長打力と守備力を兼ね備えており、そこを十分にアピールできるか。

他の候補としては東地区の大穴ブレーブスのチッパー・ジョーンズ
中地区カブスのライバルからプリンス・フィルダー(ブリュワーズ)とランス・バークマン(アストロズ)。
ライバルは多いが、チームがプレーオフに出場できれば彼らにチャンスが回ってくる。
また圧倒的な成績を残せばという条件付きだが、アルバート・プーホルス(カージナルス)の目も捨てきれない。
カブスやブリュワーズと比べればチーム力は劣るが、チームが勢いでワイルドカードでも勝ち取れば、
打撃成績に右に出るものはいないので、プーホルスが2度目のMVPということもあり得る。
大激戦の西地区は圧倒的な選手1人ではなく、チーム力で勝ち上がるチームが多いため、
MVPの候補選出からは外した。

<ナリーグサイヤング賞>
ここは現役バリバリの元サイヤング賞投手のぶつかり合いだ。
近年で最もハイレベルな争いとなるだろう。
santana3
本命はアリーグからやってきた現役最高左腕ヨハン・サンタナ(メッツ)。
今のところアリーグからナリーグへの適応には成功したようなので、
このまま行けばサンタナが3度目のサイヤング賞に輝く可能性は高い。
勝利数もチームが強いだけに伸びるだろうし、
奪三振数や防御率などは心配するだけ無駄だろう。
例年の傾向から言って、オールスター明けから更に調子を上げてくることも
十分考えられる。
唯一の心配点はニューヨークという大都市のプレッシャーだ。
優勝争いの時期にプレッシャーに耐え抜くことさえ出来れば結果は付いて来る。

対抗は2006年のサイヤング賞ブランドン・ウェッブ(ダイヤモンドバックス)と
昨年のサイヤング賞ジェイク・ピービー(パドレス)だ。
今季絶好調で現時点でメジャートップの6勝を挙げているウェッブは
この調子をシーズン終盤まで続けられれば、サンタナ越えも十分射程圏内。
ここ数年の安定感は驚異的で、防御率ではサンタナを上回る可能性さえあり、
あとはサンタナ有利の奪三振数でどれだけ差を縮められるかだ。
一方昨年投手三冠のピービーは2人に比べて少々出遅れた。
しかし爆発力はあり、投手有利のホーム球場も味方してくれるだろう。
防御率や奪三振でサンタナを上回れば2年連続もありえない話ではない。
しかし27日のダイヤモンドバックス戦でウェッブに投げ負けたように、直接対決で負けが込んでくると厳しいが。
実力はサンタナレベルのピービー、ぜひ巻き返しを期待したい。

この3人以外に候補を挙げるとすれば、
ジョン・スモルツ(ブレーブス)、ベン・シーツ(ブリュワーズ)、ロイ・オズワルト(アストロズ)、ブラッド・ペニー(ドジャース)辺り。
しかし上の3人が揃って不調ということは考えにくく、彼らはキャリアハイの成績を残さなければ可能性は薄い。

<ナリーグ新人王>
候補がはっきりしているアリーグと違い、
ナリーグでは多くの超有望株はまだメジャーデビューさえしていないので、評価が難しい。
昨年までなら絶対的候補だったジャスティン・アップトン(ダイヤモンドバックス)は
昨年新人王規定打席数に達してしまったため、候補にさえ入らない。
soto
その中で本命と言えるのがジオバニー・ソト(カブス)だ。
昨年メジャーデビューしたソトはわずか18試合だが、打率.389、3本塁打を記録し、
3AリーグMVPの実力を遺憾なく発揮した。
優勝候補カブスの正捕手として1年間を過ごせれば、アピールポイントも高い。
今季も好調なように打撃は心配なさそうだ。あとは平均以上の守備を見せれば確定か。

そんなソトの対抗となり得るのは、まだデビューすらしていない金の卵たち。
メジャー最高の有望株と言われているジェイ・ブルース(レッズ)と、
将来期待の5ツールプレーヤー、コルビー・ラスマス(カージナルス)だ。
2人とも6月あたりまでにメジャー昇格出来れば、ポテンシャルはソト以上だけに面白い。
ブルースはケン・グリフィーと比較されるまでの打撃センスで、
昨年3Aの50試合で打率.305、11本塁打を記録した。
守備や走塁面も平均以上で、5年後にはオールスターの常連となっているだろう。
一方のラスマスは、ブルースと同年代同期入団のいわばライバル。
既に守備面ではゴールドグラブ級と言われており、打撃もまだまだ荒いが才能は抜群。
カージナルスは外野陣が手薄なだけにブルースより早く昇格するかもしれない。
アルバート・プーホルスという最高の先生がいるだけに、打撃も完全開花する可能性がある。

そして日本人として忘れてはいけないのが、福留孝介(カブス)。
海外経験は豊富だし、開幕から好調を維持いるので、期待通りの成績を残せそうだ。
あとはヤンキース松井が新人王を逃した時のように、
日本でのプロ経験がある福留に投票されるかどうかに懸かっている。
その他にもジョニー・クエト(レッズ)、フランクリン・モラレス(ロッキーズ)、キャメロン・メイビン(マーリンズ)のように、今にでも開花しそうな有望株が揃っているのが今年のナリーグと言えよう。