MLB(メジャーリーグ)コラム「Gotta be Clutch」 -10ページ目

2008年タイトル展望(アリーグ野手編)

メジャーリーグの2008年シーズンが始まって約1ヶ月。
各チームも約25試合を消化したところ。
まだまだ勢いに乗っている意外な選手もいれば、
かなりの実力者がスランプから脱出できないでいたりと千差万別。
今回は現時点までの結果を踏まえた上で、今シーズンのタイトル展望を行いたいと思います。
まずはアリーグの野手から。

<首位打者>
このタイトルは野手の主要部門においては最も予想が難しいのではないだろうか。
例年3割以上の打率を残す安定した打者はもちろんのこと、
いつもは3割を越えない打率の選手が大爆発したり、若手が勢いに乗って奪取することが多い。
最近で言えば2005年のデレク・リー(カブス)や
2006年のフレディ・サンチェス(パイレーツ)やジョー・マウアー(ツインズ)がそれに当たる。

今年のアリーグの中で本命に押せそうなのはミゲル・カブレラ(タイガース)だ。
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現役メジャーリーガーの中でも誰もが認める天才打者で、
昨年までの通算打率は.313で、最近3年間に限ると.326となる。
これまで所属していたナリーグでは、
怪物打者バリー・ボンズ、アルバート・プーホルス(カージナルス)らに
タイトルを阻まれてきたが、ナリーグの弱小球団からアリーグの強豪に移籍でやる気もアップ。
スランプも少ない安定した広角打法で、念願の個人タイトルへ視界は良好だ。
唯一の懸念は体重の増加と、アリーグのほうがハイレベルだと言われていることくらいか。

対抗はイチロー(マリナーズ)とマニー・ラミレス(レッドソックス)だ。
両者共に首位打者経験があり、安定感も抜群だ。
イチローはチームがプレーオフを狙えることがモチベーション面で大きい。
衰えも見えず、あとはいつも通りやればメジャー記録となる8年連続200安打、
そして3度目の首位打者も見えてくる。
一方ラミレスは昨年スランプと怪我で、良い成績を残せなかった。
しかし元々はカブレラ並の才能を持った打者、打撃面では文句の付けようが無い。
まだまだマニーは健在であるというところを見せて欲しい。

大穴としてはカブレラの同僚カルロス・ギーエンアレックス・ゴードン(ロイヤルズ)
好打者ギーエンは消耗の激しいショートから
比較的打撃に集中できるファーストにコンバートしたことが打撃面でも吉と出ると予想。
メジャー2年目のゴードンは大穴中の大穴。
しかし素質は非常に高く、元首位打者のジョージ・ブレットと比較されるほど。
ヒルマン監督の下で自由かつ責任を持ってプレーできれば、3割を超えてくる可能性も。

<本塁打王>
本命は間違いなくアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)だ。
arod
2001年以降7年間で5度の本塁打王という経歴が示すように、実力は圧倒的。
A-RODが爆発し始めれば、ついて行ける選手は皆無。
今年はまだ目を引くほど数が伸びていないものの、第2子が生まれ、やる気も出たはずだ。

リーグ内で長打力でA-RODに対抗できるのはデビット・オルティーズ(レッドソックス)とジム・トーミー(ホワイトソックス)。
両者本塁打王経験者で、単純なパワーだけならロドリゲスにも勝るとも劣らない。
しかしシーズン前なら自信を持って対抗に押せただろうが、
いざ蓋を開けてみると、2人とも低打率のスランプ状態。
特にオルティーズはひどく、スタート失敗の感がいなめない。
オールスターくらいまでには持ち直してくるだろうが、上手くいって40本が精一杯か。

他にも長打力のあるマニー・ラミレスミゲル・カブレラジャスティン・モーノー(ツインズ)辺りも
本塁打王レースを賑わせてくれることだろう。しかし彼らは30本台止まりだと見る。

<打点王>
選手1人だけが打っても数字が伸びる打率や本塁打と違い、
打点はどれだけチームメイトが得点チャンスを作れるかが大きなポイントとなる。
打点王を獲るには前のバッターも優秀である必要があるのだ。

現時点で最有力候補なのは、ミゲル・カブレラだろう。
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生来のパワーはあるものの、
本塁打はそれほど伸びないカブレラだが(年平均30本前後)、
打点では大きな味方が付いている。
大補強でリーグ最強となったタイガース打線だ。
前を打つのは昨年20-20-20-20(本塁打・二塁打・三塁打・盗塁)を
達成したカーティス・グランダーソンと
アリーグ3位の打率を残したプラシド・ポランコで、
チャンスもかなり多くなるだろう。
そして後ろにも首位打者のマグリオ・オルドニエスなどが控えているため、
勝負を避けられることも無い。
こうなれば弱小マーリンズ時代でさえ4年連続110打点を記録した打棒が爆発する。

対抗は不調にも関わらず現時点でリーグ4位の打点を上げている”ミスター・クラッチ”デビット・オルティーズ
2005年-2006年に2年連続打点王に輝いた勝負強さの塊だ。
今年はジャコビー・エルズバリーとダスティン・ペドロイアという若くて勢いのあるチャンスメーカー達が
オルティーズに打点のチャンスを多く提供するだろう。

そして昨年の打点王のアレックス・ロドリゲスや、
トリー・ハンターという援護役を得たブラディミール・ゲレーロ(エンゼルス)も可能性は十分。
また現在絶好調のジョシュ・ハミルトン(レンジャーズ)やラウル・イバニエス(マリナーズ)辺りも
1年を通して好調を維持できれば、優秀なチャンスメーカー(マイケル・ヤング、イチロー)がいるだけに面白い。

<盗塁王>
本命は過去5年で4度の盗塁王に輝いているカール・クロフォード(レイズ)。
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足の速さ、盗塁技術共に文句無しでメジャートップクラスで、若さもある
監督からグリーンライト(好きな時に盗塁できる権利)を得ていることもかなりのプラス要素だ。
現時点でもリーグ2位の8盗塁を決めており、本命とみて間違いない。

対抗は現時点でリーグ1位の10盗塁を決めているカルロス・ゴメス(ツインズ)と、
昨年クロフォードとタイトルを分け合ったブライアン・ロバーツ(オリオールズ)だ。
ヨハン・サンタナのトレード要因としてツインズに移籍してきたゴメスは、
メッツ時代からかなりの有望株。足の速さもピカイチ。
現在は勢いに乗ってトップを走っているが、メジャー1年目だけに
疲れや打撃スランプで盗塁ペースが減ってくる可能性もある。
ロバーツは盗塁技術が高く、打撃も安定していて、出塁率も高いだけに数は伸ばせる。
しかしオリオールズは現在チーム再建中であり、ロバーツもシーズン途中に放出される可能性がある。
リーグが変われば盗塁数もリセットされるだけに、そこが唯一心配の種だろう。

あとジャコビー・エルズバリー(レッドソックス)やショーン・フィギンス(エンゼルス)らも十分盗塁王を狙える。
しかし彼らの場合はチームがプレーオフ常連ということで、
大事な時期にはベンチから盗塁ストップのサインが出されるかもしれない。


写真:
AP Photo/Duane Burleson
Fox sports