夕陽の王国に捧げるタペストリー〈全十幕~第十幕~〉 | 佐藤 美月☆庄内多季物語工房 ~心のエネルギー補給スペースへようこそ~

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お月様あしあとお月様あしあとお月様あしあとお月様あしあとお月様あしあとお月様あしあとお月様あしあとお月様


『香澄、最後まで、読んでくれただろうか。

破滅的な物語だと思っただろうが、そういった形式にしてあるのも、ちゃんと意味があってのことだ。

時として、真実というものは、剥き出しで語った時に、胸に突き刺さることがある。

そのせいで、上手く消化出来ないという場合が、起こり得ると思うんだ。

その場合、物語というオブラートにそっとくるんで、匂わせることでしか、伝えられないこともあるんだ。

それがこの世の中に、物語が溢れている一つの理由なんじゃないかと思う。

物語という形式を借りて、少しずつ胸に落とし込んで行くことで、いつの日か、すとんと腑に落ちる時も、あるんだろうと思う。

今回書き送った物語を読んだ時に、香澄が何を感じるのも自由だが、破滅の道を選ぶ時には、周りの人々の手引きではなく、意外と自分自身だったりすることを、感じ取ってもらえたらと思う。

それが香澄からの質問の答えでもあるんだが、人生を劇的に変えるためには、どうすれば良いのかも、感じ取ってもらえただろうか。

物語のエピソードを引用すれば、シルフィーは、選択しなれた選択肢しか選ばなかった。

だから人生を変えられずに、破滅の道を突き進むことになったんだ。

人生を劇的に変えるためには、それまで選んだことのない選択肢を選ぶことだ。

それが、未知の世界へと続く選択肢であってもだ。

結局、人生を劇的に変えるということは、未知の世界へと、飛び込んで行くということだ。

そこを感じ取ってもらえたら、今回書き送った物語の役割は、果たせたことになるだろう。

また逢える時を、楽しみにしているよ。

          門脇剛(たける)

香澄は、テーブルに散らばっていた便箋を全て掻き集めると、胸に当てるようにして抱き締めた。

人生の岐路に立った時、叔父はいつも、迷っている香澄の背中を押すような物語を、書き送ってくれる。

叔父が手紙で語る通り、いつもと同じ選択を繰り返していたら、人生は変えられない。

それまでに選んだことのない選択肢を選んだ時に初めて、人生が変わっていくのだ。

叔父はそのことを、物語という形式を借りて、少しずつ胸に染み込む形で、伝えてくれているのだった。


        
      ~~~ 完 ~~~


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義理チョコ佐藤美月は、小説家・エッセイストとして、活動しております。執筆依頼は、こちらから承っております。→執筆依頼フォーム