2023年ISU世界ジュニア選手権(カルガリー大会):3月3日の模様②アイスダンスRDと記者会見 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

無事にオークビルに戻ってきました。

 

3月4日の土曜日、全ての競技が終わってから私も例の「レッドアイ」便でトロントに戻ることにしていたんですが、結果から言うと

 

「どこが夜行便やねん」

 

という感じで、零時過ぎに出るはずがどんどん出発時間が延びて、ようやく離陸したのは午前4時頃でした。

 

そして早朝に着くはずが帰宅は11時半。

 

まあでも吹雪で欠航にならなかったし、ロスバゲがなかっただけマシ?と、最近は空の旅に対する期待のハードルがめちゃくちゃ低くなっている気がします。

 

あと2週間足らずで埼玉ワールドに向かうカナダの選手たちやりくりゅうも、トラブルなしに到着できますように。

 

 

さて、ではちょっと遅れを取ってしまいましたので試合のレポートを続けたいと思います。

 

アイスダンスのRDは30組が参加して、なかなか盛況でした。カナダは昨年2位と3位を獲っていたので、最大の3枠が使えました。しかも昨年3位だったバシンスカ&ボーモントが今年も出ていて、JGPFで優勝した勢いを保てるかどうか、が注目されていました。

 

また、日本の木田&森田組も私は初めて見る機会だったので、すごく楽しみでした。キャシー・リード先生が見守る中、キレのあるRD演技を見せていたのですが、残念ながら森田選手に転倒があり、パーソナルベストを大きく下回るスコアとなってしまいました。

 

でもすごいなあ、と思ったのは、転倒の後すぐに立ち上がって次の難しいツイズルに全く遅れなく入っていたところ。しかもレベル4が獲れていたんですよね。そしてパフォーマンスも最後までしっかりと保って、集中していました。

 

終わると一瞬、木田選手が大きな瞳を見開いて、呆然とした表情を見せましたが、ミックスゾーンに現れる頃にはまた笑顔に戻っていました。

 

キャシー先生も「大丈夫、明日があるよ!」と励まします。コーチからのこういう温かい言葉って嬉しいですよね。

 

アイスダンスは選手たちが演技中ずっとキャラクターに成りきって、表情を作らないといけないだけに、本当に過酷な競技だと思います。ミスをしても決して引きずらず、狼狽を感じさせてはいけないし、プログラムの最初から最後まで詰め込まれた難しい技を一つでも取りこぼさないよう、すぐにまた演技に戻らないといけないのですから。

 

首位に立ったのはチェコのムラスコバ&ムラゼクの兄妹チームでした。彼らはJGPシリーズで2大会を制すなどファイナルでは優勝候補でしたが、RDとFDの両方で二人ともが転倒するなど思いがけないミスが響いて3位となったのでした。

 

なのでここではその雪辱を晴らすというプレッシャーもあったのですが、それをものともせず、素晴らしくパワフルなRDを見せました。

 

 

 

 

ムラズコワはまだ16才ですが、氷上ではたいそう落ち着いていてもっと年上に見えます。ドレスの裾を効果的に使ったリフトがとても印象的ですよね。何よりもこのチームはスピードが他のチームとは段違いにあります。

 

2位には韓国のリム&クアン組、彼らはもともとカナダ在住なのでカナダのチームとして試合に出ていたのですが、昨シーズンから韓国を代表するようになったとのことです。

 

 

 

 

現在はかの有名なモントリオールのアカデミーでトレーニングを受けてており、コーチのマリーフランス・デュブルイユさんが得意とする「女性を最大限にパワーアップさせる術」にしっかりとハマって、どんどん魅力的なチームになっています。

 

3位にはイギリスのベッカー&ヘルナンデス組。私はこのチームをほとんど見たことがなかったのですが、もうシニアでもおかしくない、という感じの成熟度。

 

 

 

 

イギリスはアイスダンスの伝統があるので彼らの台頭には驚きませんが、カナダのバシンスカ&ボーモントを僅差で抜いたのはちょっとした出来事でした。

 

 

 

 

 

ところで、大会中の記者会見は2階の会見場で行われていました。

 

女子・男子・ペア・アイスダンスの4種目のそれぞれ一日目、二日目の試合後、つまり計8回の会見があったことになります。

 

 

 

 

その度に上位3選手、あるいは3チームを羊飼いの様に集めて、エスコートするのですが、順位はすんなり決まるとは限らないので、スコアをずっとフォローしながら「多分、この顔ぶれになるだろう」という見当をつけ、それらの選手を見失わないようにしないといけません。

 

この時の我々の交信は例えば

 

「え、○○選手が結局3位に入ったじゃない。どこに行った?2階のスケーター・ラウンジにいる?」

「○○は見つかりました。でも△△は更衣室からまだ出て来てないんで、連盟の人に声かけてもらいます!」

「□□はミックスゾーンで記者につかまっているけど、切り上げさせて連れていきます!」

「△△がバーチャル取材に応える時間ってないですよね?」

「ないない!早く連れて来て!」

 

などといった感じになります。

 

と同時に、順位が決定するとプレスセンターの方では机の上に置くネームプレートを用意して、席に合わせて並べます。

 

 

 

 

 

ようやく記者やフォトグラファーが集まっているところに選手たちが入場。一日目の場合は会見場でまずスモールメダルの授与が行われます。二日目の場合は表彰式後に会見が行われるので選手たちはすでにメダルをかけています。

 

そして三人(三組)揃っての撮影会が始まります。

 

その時、選手たちは数いるフォトグラファーのリクエストに応えてあっちを向いたり、こっちを向いたりするのですが、シングル男子と女子の場合は日本人選手が多かったので、田中宣明カメラマンが指揮を執っていたのが面白かったです。

 

 

 

 

 

「はい、まずはデイビッド(カーマイケル)さんの方を見て。それからロビン(リトス)さん、次はジョージ(ロサーノ)さん。最後は僕ね、良いお顔ちょーだい」

 

などと表情を和ませるような言葉を使い、本当に上手に選手たちの目線を上下左右に動かします。

 

何度も繰り返すようですが、田中さんはまさにどんな大会にも足を運び、特に日本の選手に関しては小さい頃から全員を撮り続けているわけですから、彼・彼女たちから絶大な信頼を得ているのです。私もおそらくこれまで手伝った大会で、最も多く、お会いしているカメラマンさんだと思います。

 

大会後は日本に戻り、仙台で「ノッテステラータ」のメディア公開日の撮影を経て、20日からは埼玉ワールドへと向かわれると聞いています。どうかお体にお気をつけて!

 

 

 

 

 

こちらもすでに少し書いた気がしますが、今大会では日本の選手たちが記者会見での最初のコメントを英語で発する、ということが決まりのようになっていました。それぞれが考えたセンテンスを私がチェックさせていただき、会見の冒頭でしっかりとマイクの前で言う、という流れでした。こういった訓練はとても大事だと思います。

 

今後、どんどん国際大会で、簡単なもので良いので英語を駆使した発言ができるようになったら良いですね。

 

島田選手が一生懸命、英語のセンテンスを復唱しているのを田中さんがニコニコと見守っている光景も心が温まりました。彼女は何と、真面目なのでしょうか!

 

ではこのあと、3月4日のアイスダンスFDと男子FSの模様を記事にして、2023年世界ジュニア選手権のレポートを終える予定です。