前記事に続き、二日目のレポです。
シンクロ・ワールドが開催されたハミルトン市はダウンタウンが特に一方通行の多いことで知られています。
二日目は前の日よりも少し近めの駐車場に車を停めようと思い、会場の方まで行きました。ところが何故かナビが「ここで右に曲がれ」 というストリートがことごとく反対方向の一方通行で、曲がれない。
さんざんそれを繰り返して、その度に私は一人でナビに向かって悪態をつくこと20分。なんとか会場の地下駐車場に停めて現場に着いたのは試合開始30分前でした。
大会の手伝いをする時は遠征のことの方が多いため、オフィシャル・ホテルに泊まり、シャトルで会場に向かうのでこういう事態が起きにくい。私は時間に遅れるのが大嫌いなのでえらくストレスを感じました。
まあそれはさておき、今日はフリープログラムを23組が滑るので、けっこう長い時間、ミックスゾーンに詰めることになります。グループの間、間に製氷が入るので、全部で4時間ほど?
さあ、ファンファーレが鳴って、試合が始まりました。
観客もものすごいボルテージです。7年前のように満席、ということはありませんでしたが、おそらくシンクロに非常に精通した人達ばかりだったのではないでしょうか。とにかく技にも詳しく、リフトが決まったり、インターセクションやツイズルが上手く行くと惜しみない拍手と歓声を送ります。
足を踏み鳴らす人、鳴り物を鳴らしまくる人、とにかくすごい熱気でした。こんなに温かい雰囲気の中で演技が出来ると絶対に選手たちも盛り上がりますよね。皆、ミックスゾーンで声を揃えてその楽しさを語っていました。
フリー・プログラムはショートよりもたくさんの技が入り、とてもスリリングです。なにせ16人ものスケーターが一斉にフォーメーションを組んで交差したり、ターンしたり、リフトをしながらリンクを行き交うわけですから、ちょっとしたミスで大きく崩れることもあります。
ところでシンクロスケーティングの足の動きはアイスダンスに似ているのかな?個々の選手のスケーティング・スキルが問われる競技です。よく見ているとトップレベルのチームはやはりスピードが違うし、メンバー一人一人の滑りが滑らかでエッジワークも巧みです。
全く同じ動きを皆で合わせるわけですから、ひと滑りの距離が足らないとか音楽に遅れるとかが許されない。正確に、全ての角度と速度が揃うことが求められるので、かつてはこの競技が「プレシジョン・スケーティング」と呼ばれていたのも頷けます。
で、前日のSPで少し残念な演技をしてしまったチームが、フリーで大きく挽回したケースも多々ありました。
オランダやオーストラリア、フランスなどがその例です。そして日本の神宮アイスメッセンジャーズも!
SPは「Back to the Future」、そしてフリーは「Avatar」の曲に乗せて、とても技術的に難度の高い演技を披露してくれました。
ミックスゾーンで取材を受ける小暮桃子さんと柚本恵里佳さん。(上がSP後、下がフリー後)
Photos by Skate Canada Media Team, used with permission
フリー後は皆さん、とってもエモーショナル。
そして元気!
どのチームにも言えますが、衣装と色がマッチしたマスクがとても素敵でした。
ついでに(マエストロ小澤征爾もびっくりの)白髪頭のアタクシも登場。柚本さん、小暮さん、そして関口知代コーチとご一緒に。
さてさて、試合に戻りますが、初日レポでも言った通り、SPが終わった時点でトップの4チーム、特に1位と2位、そして3位と4位は本当に僅差でした。
1 Team Helsinki Rockettes FIN 82.76
2 Team Les Supremes CAN 81.51
3 Team Nexxice CAN 77.65
4 Team Marigold Ice Unity FIN 77.48
5 Team Miami University USA 71.77
そしてフリー次第では順位が入れ替わることも予想される、と書きましたが、その通りのことが起こったんですね。
フリーでは強豪のマリーゴールド(フィンランド)が巻き返し、2位に浮上しました。
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そして首位だったロケッツは後半、まさかのアクシデントで選手が二人お互いの足を絡ませて転倒。このセグメントでは5位となり、総合でも二つ順位を落として3位になりました。
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SPでは3位だったカナダの「ネクサス」は4位に落ちましたが、同じくカナダの「レ・スュプレーム」が2位から順位を上げて優勝!
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フリーでは「ホワイト・クロウ」などの曲を使ったプログラムを見事に滑ってかなりの点差で勝ちました。
ホーム・アドバンテージと言いましょうか。7年前の大会でもカナダのもう一つのチーム、「ネクサス」が優勝したのでした。
表彰式で面白かったのは通常のフィギュアの大会とこれまた違って、表彰台のサイズの大きさが半端じゃないこと!
何せ補欠も入れると20人もの選手が乗るのですから、試合後にリンクの上で組み立てるのもひと苦労です。フォークリフトを使っていたそうです(私は裏にいたので見ていませんが)
そしてメダルの数も多いのでカナダ連盟のオッチャンたちが駆り出されて、棒(専用のものがあるのか?)にぶら下げて持っていました。
そしてこれも遠すぎて写っていませんが、国旗はカナダのマウンティー(王立騎馬警察官)が3人、独特の真っ赤なユニフォームを着て登場して、掲げられました。
せっかくなのでISUの動画 からスクショしてこちらに載せます。
二日目の舞台裏の模様は以下のISU作成の動画でどうぞ。
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以上、2022年シンクロナイズドスケーティング世界選手権のレポでした。