2020年カナダ選手権レポートその① | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

 

木曜、金曜、土曜と現場に入っていて、ブログを書く余裕がなく、すっかり記事のアップが遅れてしまいました。

 

今年のカナダ選手権の試合は終わってしまい、臨場感ゼロですが、レポートをしたいと思います。

 

1月16日(木):

 

午後の三時ごろに会場に到着しました。カナダの代表強化合宿が開催されたりもするアリーナで馴染みがあります。家からは高速で30分くらいの距離、この日はお天気が良かったのでスイスイと行けました。


 

 

 

 

かつてはHershey Centreという名称でしたが、数年前に改名されてParamount Fine Foods Centre になりました。

 
 

 

 

アスリート・エントランスから入ってボランティア登録を済ませ、メディアセンターへと向かいます。

 

国際試合と違って何となく、雰囲気はホンワカしています。カナダの各州から大勢の選手やチーム・リーダーたちが集まって、ガヤガヤと同窓会の様に談笑しています。一年に一度の大きなイベントで、皆とても楽しそう。

 

メディアセンターは比較的こじんまりしていて、記者会見場は設営されていません。カナダのナショナルズでは会見は行われないのでこの辺りも略式です。

 

16日はノービスとジュニアのペア競技だけだったので、ジャーナリストやフォトグラファーの数も少ない。お馴染みのベヴァリー・スミスさんやカーマイケルさんたちと再会し、カナダ連盟のメディア広報部のスタッフとモントリオール・ワールドの準備についてちょっと話し合った後、会場の見回りに行きます。

 

 

 

 

この時間帯は男子の練習がありました。

 

 

 

 

ナム・ニューエン選手、キーガン・メッシング選手、そしてローマン・サドフスキー選手たちが見えます。

 

彼らがその後、裏に戻って来た時にローマン選手と遭遇したのですが、まず思ったのは

 

「顔、細ッ!」

 

でした。

 

かなり体重を絞ったようで、シーズン前半のGPスケートカナダで会った時とは印象が変わっていました。いつも表情が穏やかでニコニコしているので、「鋭い」というイメージはないのですが、さすがにこの時期になって来ると選手たちはピークのコンディションになって来るのでしょうね。

 

今大会、昨年の銀メダリストのスティーブン・ゴゴレフ選手が怪我からの回復途上のため、欠場とあって残念でしたが、トップ争いはキーガン、ナム、ローマンの三人になるだろうと思われました。

 

さて、ノービスとジュニアのペア選手たちが次々とリンク入りして、試合が進んでいきます。彼らには取材がほとんど入らないのでミックスゾーンはヒマですが、優勝ペアはスケートカナダの広報からのインタビューを受けます。この際のインタビュアーはエラジ・バルデ君が務めていました。

 

ノービス・ペアの金メダリストはオンタリオ州の

 

 

Lily Wilberforce/Aidan Wright (ON) 112.88

 

 

Photo by Danielle Earl, Skate Canada (Canadian Nationals, 2020)

 

 

 

 

そしてジュニア優勝者も同じくオンタリオ州の

 

Patricia Andrew/Zachary Daleman (ON) 148.28

 

ザカリー選手はガブリエル・デールマン選手の弟です。

 

 

Photo by Danielle Earl, Skate Canada (Canadian Nationals, 2020)

 

 

 

 

カナダはやはりペアやアイスダンスの競技の層が厚いな、という印象を受けます。

 

Dailymotion では試合の動画を観ることが出来ます:

 

ノービスペア(フリー):https://dai.ly/x7qntov https://dai.ly/x7qntov

https://www.dailymotion.com/video/x7qntov

 

https://dai.ly/x7qntov ジュニアペア(フリー):

https://www.dailymotion.com/video/x7qnx49

 

 

あ、そうそう、ジュニアの部ではSPの日にとても深刻なアクシデントがあったそうです。ケベック州代表の女子選手が六練の途中でツイストで落下したのですが、そのまま演技をやり遂げて、試合終了後に病院に運ばれました。その後の検査で手首の骨折と膝がしらの損傷と診断されたとのことで、良くそんな状態で滑ることが出来たね、と皆が話題にしていました。ペア競技、危険が伴います。

 

さて、リンク裏では何とはなしに選手たちがウロウロしています。ナム選手とキーガン選手は練習後にインタビューを受け、本当に仲良さそうに戯れていました。

 

昨年の秋に弟さんを亡くしたキーガン選手が、ナム君やパイパー・ギレスちゃんにすごく支えてもらった、としんみり語ったかと思うと、「でもこいつ(=ナム)、俺の大事なカウボーイ・ハットをわざと毎回、持って来るのを忘れて返してくれない。身代金、狙ってるだろ!」と嘆いて皆を笑わせます。

 

この二人の関係を「BROMANCE」(Brother と Romance を掛け合わせた造語)と記者たちが言うのもうなずけます。

 

今大会で試合後のインタビューを担当しているのはエラジ・バルデ君であることはすでにお伝えしましたが、彼は本当に最近、色んなところで引っ張りだこですね。

 

世界中のアイスショーに何故か登場しているのは前から知っていたのですが、彼のリズム感あふれる演技やしなやかな身のこなしがショーに打ってつけ、という他、彼の暖かい人柄よるところが大きいのでしょう。いつも踊っている様な感じで軽やかに歩き、笑顔は爽やか、誰とでも打ち解けて私たちボランティアにも名指しで屈託なく喋りかけてくれます。

 

これまで何度か大会で会っていたので少しお話をしたのですが、実は彼、私と同じフライトで日本からカナダに戻っていたんですよね。私の方は彼がいるのに気づいていたのですが、その話をするとすごくびっくりして「見かけたんなら、声かけてよー!」と、笑っていました。

 

日本でアイスショーに出た後、ナショナルズでのお役目を果たすために帰って来たのだと言ってました。「日本でよくショーに出てるよね」と言うと「今年のオフシーズンにもショーのために日本に行くよ」と教えてくれました。ひとしきり、その話題で盛り上がったのち、彼はホテルでのカナダ代表OB・OGのパーティに出席するためにまた爽やかに去って行きました。

 

ほんと、昨年だけを例に取っても、彼の出たショーを全部リストアップしたらすごいことになりそう。絶対にモントリオール・ワールドにも登場するはずです。エラジ君のファンはきっと日本にもたくさんいることでしょうね?

 

 

1月17日(金)

 

私のシフトは四時からだったのですが、どうしてもアイスダンスの試合が観たかったのでちょっと早めに着くように家を出ました。移動中に女子のSPが行われていたのですが、どうやらちょっと波乱があったようです。

 

昨年の銀メダリスト、ガブリエル・デールマン選手の調子が悪く、3位になったと聞いて、じゃあ誰が首位に立ったのか?

 

 

エラジ君、フランス語も堪能なのよ。(実はロシア語も)

 

 

答はアリシア・ピノ―選手がトップ、そして二位にはマドライン・スキザス選手。

 

 

Alicia Pineault. Photo by Danielle Earl, Skate Canada (Canadian Nationals, 2020)

 

ピノ―選手はオータムクラシックやGPスケートカナダにも出場していたので知っていましたが、スキザス選手って誰?と思っていると、どうやら昨年はカナダ選手権ジュニア部門で二位だったようです。しかしそれ以外は国際試合で実績もほとんどなく、予選会では良い演技を見せたものの、いわゆる「ダークホース」。あるいはカナダ女子のレベルを露呈している、ということかも知れません。

 

 

Madeline Schizas. Photo by Danielle Earl, Skate Canada (Canadian Nationals, 2020)

 

そこへ行くと、ジュニア女子で優勝した13歳のカイヤ・ライター選手は期待できそうかな?3ルッツ・3トウのコンビネーションを軽々と決めて、良いスコアでタイトルを獲得しました。来年はシニア部門で出場することになります。

 

 

Kaiya Ruiter, Photo by Danielle Earl, Skate Canada (Canadian Nationals, 2020)

 

 

さあ、お待ちかねのアイスダンスです。今大会ではパイパ―・ギレス&ポール・ポワリエ達が長年の苦労を実らせて、カナダチャンピオンになることが期待されている訳ですが、国内での彼らのライバルとなり得たフルニエ・ボードリー&ソーレンセン組が出られなかったのは本当に残念でした。

 

メディアセンターでインタビューを受けていた彼らを見かけましたが、ソーレンセン選手が松葉杖をついての痛々しい姿で、果たしてワールドに間に合うのか?という疑問が浮かびました。彼らの実績からすると、カナダ選手権に出場せずとも代表チームに選出されることは考えられるのですが、怪我が治らないとどうしようもありません。

 

国際試合では常にトップを独占しているギャドボワ・スクールから今大会には昨年のジュニア世界チャンピオン、ラジョワ&ラガ組、すでにベテランのスーシース&フィルス組、そして新しく移籍して来たファブリ&エイヤー組が参加しています。ファブリ選手は弱冠16才ですが、非常に大人っぽくて貫禄に満ちた様子が印象的でした。なんだかこのカップル、伸びそうです。

 

このアイスダンスでもハプニングがありました。パイパーたちの演技冒頭、彼女の髪の毛がポールの衣装のボタンに引っ掛かり、数秒間、絡まったままで滑るという珍しい出来事が!

 

 

パイパーのインスタより

 

 

ポールがごく冷静にそれを解き、後は何事もなかったかのように続けて素晴らしいパフォーマンスを披露しました。

 

その時の心境をパイパーたちが演技後、非常に面白くエラジに語っています(「髪の毛が絡まった瞬間、色んなswear wordsが頭に思い浮かんだ」):

 

 

 

 

 

また、私は彼らを取材に連れて行くためにキスクラ裏で待ち受けていたのですが、コーチのキャロル・レーンさんがやって来て

 

「God hates me, GOD HATES ME!」(神様は私のことが嫌いなのね!絶対にそうよ!)

 

と、彼女の独特の英国風ユーモアで言ってくれたのも傑作でした。ちなみにキャロルさんはCBCのフィギュア解説でもお馴染みの方です。キスクラではアクシデントを自ら再現して笑いを取っていました。

 

 

 

 

 

本当に何が起こるか分かりません。

 

 

ということでRDが終わってトップ3はギレス&ポワリエ、ラジョワ&ラガ、そしてスーシース&フィルス、というラインナップ。

 

 

さあ、いよいよ男子の競技が始まります。

 

が、

 

ちょっと長くなったのでここでいったんアップしますね。