2017年ヘルシンキ・ワールド男子SP雑感そしてFS応援は全開モードで | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...




いやあ、すごいものを見せていただきました。


午前は男子のSP、そして午後からはペアのフリー。しのぎを削り合って、火花を散らし合って、会場の観衆も巻き込んでの大燃焼。


まずは結果が決まったペアから。


優勝したスイ・ハン組。素晴らしいフリーでの踏ん張りでした。スイ選手の両足首靭帯損傷というとてつもない負傷と手術とリハビリから立ち直してきたチームです。根性が違います。ショートの素晴らしい演技からもう優勝は間違いないだろうと思われましたが、二位に入ったサフチェンコ&マソー組の驚異的な追い上げにそれがひっくり返されそうになった。それでも結果的にはフリーも首位で終えて、完全優勝。見事でした。スイ選手の髪型がちょっとだけ気になったけれど(あれで前が見えるのだろうか?)、まあそれも今となっては微笑ましい。

二位のペアもアリオナ・サフチェンコ選手がGPフランス杯後の
練習中に足を骨折した
ため、グランプリ・ファイナルは欠場。練習再開は今年の一月でしたが、それでもワールドにしっかりとピークを合わせて怒涛の巻き返しを見せました。彼女の方はかつて別のパートナー(ロビン・ソルゴズィー選手)と何度も世界王者に輝いている大ベテラン、若いマソー選手をよくぞここまでリードして、五輪挑戦への準備を整えて来ました。来年は手ごわいぞ。

負傷と言えば三位のタラソワ&モロゾフ組、彼女は大会練習中に転倒し、その上をモロゾフ氏のスケートの刃が当たってしまったために膝辺りを14針も縫う大怪我を負っていたのです。それを微塵とも感じさせないド根性の演技でこれまた見事に表彰台。このペアの投げ技は独特の、一瞬スローモーションかと思われるほどの高さと飛距離が魅力です。

なんだかここまで書いて気が付いたらほとんどスポ根漫画か格闘技ドラマの筋書きの様です。


カナダのペアもしかし、こっそり健闘して最高の三枠を確保したのです。私の大好きなイリユシュシキナ&モスコヴィッチ組が6位、そしてデュアメル&ラドフォード組が7位に入ったため、合わせて13位以内の規定を満たしたからです。本当に良かった。エリックさん、ゆっくり怪我を直してください。


さてさて、男子SP


女子の時も書きましたが、


甘くないわ、ワールド。


何だかんだ言って、他の大会とは雰囲気が違う。


そんな中、首位を掴んだハビちゃんには腰を抜かしました。


と言うのも、先週、見に行ったシミュレーションでは正直なところを言いますと、決して調子は良くなかったのです。表情は沈んでいたし、なんとなく、太ももの辺りを気にしていたのでもしかすると何か故障を抱えているのかな、と気になりました。

しかしフタを開けてみると、今日の見事なスペイン舞踊。

スタート位置に着いた時の静かなまなざしが王者の貫禄を漂わせていました。





すごいわ、ハビエル選手。まさしくチャンピオンのプライド、そして落ち着き。


CBCのインタビューでは

(SPを首位で終えてフリーでは)皆に追われる立場になった今、どんな感じですか?

との質問に


確かに追われるのは初めて、というのは本当ですね。でもいずれにしてもやることは同じ、クリーンなフリー・プログラムを滑るだけなので、それさえやったら、

it's gonna be really hard for the other skaters to beat me
他の選手たちは僕を破るのがとっても難しいと思いますよ。


と、冷静に、しかし適度な自信を漲らせて答えていました。


ベテランと言えばパトリックも秀逸なSPを披露してくれました。今シーズンこのビートルズ・メドレーは彼にとって、オズモンド選手と同じく、「当たり」のプログラムなのでで安心して滑ることが出来ているようです。

選手紹介で顔が大写しになった時、「良い表情をしているな」と感じたのでそれを日本で見ているNちゃんにメッセージで伝えたのですが、予感が当たりました。

それにしてもいつ見ても絶品としか言いようのないスケーティング。ジャンプの基礎点でどうしようもない差をつけられなければそれを補って余りあることを証明しましたね。でもフリーでは同じことをするのが難しいかも知れない。いずれにしても、この時期にとうとう100点越えを果たした彼はとっても嬉しそうでした。


で、二位の宇野選手は本当に強い。若さゆえのスタミナと勇気、技術と比類なき音楽性(カートさんは彼のことをランビエールやバトルに例えてたけど)。

このショートを滑る宇野君を見て、心打たれない人がいるだろうか、と思わされます。

なんちゅうか、もう、

「そこをこう、そうそう、そうやって腕をしならせて、そしてそこでクイッと頭を上げて!」

と、こちらが思うまさにその通りに動いてくれる小気味よさ。




フリーも期待しちゃいます。


さて、大会前は最も注目された一人、ネイサン・チェン選手

強心臓の持ち主、17才の若さで今シーズンは驚異的な快進撃を見せてくれていましたが、ここに来て

「やっぱちょっと緊張したかも」

という感想を漏らしています。


ボーヤン・ジン選手に続いて鮮やかな四回転ルッツ・三回転トウのコンビネーションを決め、次の四回転フリップも決めていたのに、最後のジャンプでまさかの転倒、とても残念でした。


でもでも、さすがひょうひょうとしたネイサン。その後のツイッターで自ら


「アクセルって、難しい」



と呟いて、大反響を巻き起こしています。

なかなかオモロイわ、この子。




一方、ネイサン君と首位を争うと思われた羽生選手は意外なミスが響いて5位発進ですか。


いやね、選手紹介でリンクの真ん中に出てきた時からえらく表情が硬いとは思ったのです。でもそんなのは後から言うことであって、良い感じに気合が入っている、って思うことも出来たんですよね。

ただ名前が呼ばれる前にも、やたらプーさんがボード際に置かれていない、って気にしてるな、というのは思いました。


ところでCBCの放送を見ながらこの記事を書いてるんですが、羽生選手の演技への導入部分でこんな可愛らしい一連の写真:






愛が感じられます。


さて、プリンスの音楽が流れ始めて、カートさんたちが

Appropriately dressed to skate to the musician, Prince.
Carries himself like a Rock God, he owns the stage.

プリンスの曲に合わせて滑るのに相応しい衣装、
ロックの神のように振る舞い、舞台を我が物にする



といつものごとく、彼のスター性に感嘆する。

そしてもちろん、途中の4Sのミスについては残念がっていましたが、トリプルアクセルへの難しい入り方やその後のスピンへの移行については絶賛。

He can jump, but man, he can also skate.
ジャンプも得意だけど、いやあーもう、スケーティングも見事。



演技が終わると




Is he in Japan or is he in Finland?
これって日本、それともフィンランド?


舞台裏ではCBCの取材も受けていましたね。すっかり英語でのインタビューもお手の物になっています。





ここで羽生選手がブレンダさんからのクワッド・サルコウのミスについて聞かれて、

「フリーではあともう二回、(4サルコウを)跳ぶ機会があるので、それが嬉しいです」

という主旨のことを言ったのがカートさんのツボにはまったみたいです。

スケーターにとってはジャンプへの思い入れは特別なもので、決めることに命を懸けているみたいなところがある、自分のアイデンティティの一部のようなものだから、ワールドで成功したらものすごく気持ちが良いんだ、と。

私もこの羽生選手の姿勢が大好きです。サルコウがなかなか決まらないから、じゃあそれは外して別の物を入れようか、ってなりそうなんだけど、それだと


羽生結弦じゃない。



そうなの、そうなの。




微笑んでいるけど


心の中は



久しぶりのピカチュウ登場なのだ。



私もこうなったらとっておきの応援道具をご紹介しましょう。


出し惜しみをしていた私が悪うございました。


フリーが終わり、エキジビションを準備する頃には


この画像がピッタリでありますように。






金色の光を抱くスワン、見せていただきましょう。



では羽生選手、あとはよろしくお願いいたします。