『truth 姦しき弔いの果て』(2022)
堤幸彦監督作品50作目を記念しての自主制作映画とのこと。
監督・原案 堤幸彦(『ケイゾク』シリーズ、『トリック』シリーズ、『スペック』シリーズ、『20世紀少年』三部作、『自虐の歌』『悼む人』『十二人の死にたい子どもたち』『望み』他)
脚本 三浦有為子(みうらういこ)
3年つきあった男真=まこと(佐藤二朗)が事故死した。真の部屋には三人の女、元ヤンのシングルマザー栗林マロン(福宮あやの)、産婦人科のセレブ女医小林さな(河野知美)、かわいいだけの受付嬢九条真弓(広山詞葉=ひろやまことは)が別れを悼み思い出を噛みしめるかのようにやって来て鉢合わせとなる。部屋には真が描いた顔の定かではない裸婦の絵がある。それは自分だと言い合う女たちだが、よくよく聞けば、交際期間も同じだし年齢も同じ、真とは曜日を違えて定期的に逢瀬を重ねていたことになる。他にもいくつかの共通項が見つかり、罵り合いながらも変に連帯感も湧いて来る。そうして女たちは真の真実と、それに向き合う真への愛を形にしていく…。
最初は罵倒しあいながら、話題は下世話な話のマウント取りに始まる。そこで一人一人の意識の違いが出てきたかと思うと、同じ女性ならではの同族認識に落ち着く。それが真の死の意味へと流れ、人間の生殖本能へと展開していくのがきれいで面白かった。ラストをどう締めるんだろうと予想もできなかったし、その締めも良かった。
ずっと真の部屋でシーンが変わらないので、舞台演劇のようだった。それに名前の共通点には(まったく意識になかっただけに)脚本の面白さを感じた。
まあ、会話劇なんだけど、共通項があらわになっていくところなんかほんと舞台演劇っぽい。また、この三人の女優さんが個性的ですごく良く(河野知美と福宮あやのは好み)、やはり舞台演劇っぽい。舞台にしたらより臨場感があるだろうなと思う。
佐藤二朗は声のみの出演。
★★★★
ひとつだけ、「一昨日」を「おとつい」と言うのは文学を意識してる風で嫌だったな。全体のイメージから離れた表現法に思える。