痛くない死に方 | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『痛くない死に方』(2021)

原作は長尾和宏の著書。

 

監督・脚本 高橋伴明

 

柄本佑、坂井真紀、余貴美子、奥田瑛二、宇崎竜童、大谷直子、大西礼芳、大西信満(おおにしま)、下元史朗、諏訪太朗、田中美奈子、藤本泉、梅舟惟永(うめぶねありえい)、真木順子、亜湖、長尾和宏、鈴木秀人、東山明美、田村泰二郎、石山雄大、安部智凛(あべともり)、幕雄仁、長澤智子、他。

 

在宅医に転職してから想像以上に神経はすり減り、充分な睡眠も取れず、妻(梅舟惟永)との関係はうまくいかなくなって、ついに離婚となった若い医師河田仁(柄本佑)。末期の肺がん患者で入院しての延命を拒否し、在宅医療で終末期を過ごすと決めた井上敏夫(下元史朗)の担当につく。井上敏夫の娘智美(坂井真紀)は父親の意向をくんで「痛くない在宅」を選び、夫(大西信満)と共にかいがいしく世話をしている。しかし河田の甘い対応から、井上敏夫は苦しみながら亡くなってしまった。そんな父親の死に方に自身の選択に罪を感じた智美からは「あなたのような医者を選んでしまった私の心が痛い」と言われ、さらに井上敏夫の死亡診断が不確かであったことを自覚した河田は、在宅医療に本気で取り組み出す。

まずは在宅医の先輩である長野浩平(奥田瑛二)のクリニックに籍を置き、長野の患者との向き合い方、看護師の中井(余貴美子)や同僚らの応対などを見て学習していく。

経験を積んだ2年後、やはり末期がん患者の本多彰(宇崎竜童)の担当につく。井上敏夫の時とはまったく違う向き合い方が出来ている河田。彰の妻のしぐれ(大谷直子)の支えにもなりながら、痛くない在宅医療を目指す…。

 

自分の母親の時を思い出す。正直思い出したくないほど心の傷として残っている。それをえぐり出される感じがして、この映画はきつかった。それでも観続けたのは、私自身を慰めるための何か答えのようなものが欲しかったのだと思う。

 

終末期の過ごし方は歳を取れば取るほど近しい問題になって、自分はどうするかと考えさせられる。その上で、医者や看護師、ヘルパーをどれだけ信用できるか、信頼関係が築けるか、しょせん他人の手を借りないと死さえ受け入れられないのかとげんなりもする。

 

河田の対応は適度に距離があり、ドライ。たぶん、それが正解。患者の目にはもう「死」が見えているのだから。でもその姿が、まだ「死」が見えてない私には冷たく感じる。

 

ああ、違う、違う、映画としてどうだったかというと、とても良かった。本多が川柳を趣味にしてるのが良くて、なかなか言葉にしづらい感情が端的に映像で表現されている。

 

そうそう、この映画で「人生会議」や「リビングウィル」(尊厳死の宣言書)の存在を知った。安楽死が認められてない日本だが、このくらいのことまでは出来るのだな、と発見があった。

とりあえずエンディングノートは書いておいたほうがいいな。そして毎年見直せばいい。

 

★★★★★

 

 

 

制作 G・カンパニー

配給 渋谷プロダクション

 

 

どうでもいいけど、大西礼芳の名前がいつも忘れてしまって読めない。「あやか」。