ひらいて | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ひらいて』(2021)

原作は綿谷りさの小説。

 

監督・脚本・編集 首藤凜

 

山田杏奈、作間龍斗、芋生悠、鈴木美羽、田中偉登(たなかたけと)、山本浩司、河井青葉、木下あかり、板谷由夏、田中美佐子、萩原聖人、他。

 

木村愛(山田杏奈)は高一の頃からずっと西村たとえ(作間龍斗)が好きだった。三年になりようやっとしゃべる機会を得て親しくなろうとするが手応えが薄い。

ある日、たとえには付き合っている女子がいることを知る。糖尿病を患っているおとなしく目立たない、むしろ敬遠されている新藤美雪(芋生悠)だった。その仲は誰にも秘密にされていた。なぜ美雪なのか嫉妬心も湧き、美雪に近づき二人の間に割り込むが…。

 

思春期ならではの感情からの行動で、痛々しくも眩しかった。

愛は自己愛が強く、一番わかりやすいデフォルトな女子高生かもしれない。物語の中では、一歩踏み出した勢いに任せてブレーキが効かなくなってしまった感じだ。

美雪は病気であることで大半の人が持つであろう人生の夢を諦めているが、だからこそ他人の気持ちに寄り添うことができ、一つだけ、譲れない事を大切に持っている。優しさに溢れた子。

たとえは他人に自分の感情を悟らせず自己犠牲心が強いが、それは今を耐え、自分の味方でいてくれる人と新しい人生を歩みたい気持ちがさせるものだった。不器用で自己完結型人間なので他人は関わりにくいタイプ。

他に、愛のことが好きな多田健(田中偉登)、その多田が好きな愛の友達竹内ミカ(鈴木美羽)が絡む。おそらく、ミカが多田と体の関係に発展したのは、愛と同じような嫉妬心からだろう。非生産的な関係だが、大人になって懐かしむことができる若さゆえの典型的行動だと思う。

たとえの父親西村崇(萩原聖人)は人生詰んでる人間。これはどうしようもない。高校生ならいくらでもリスタートできるけど、親の年齢ではよっぽどの出会いがないと変われない。

つくづく人間は他人によって生かされてているのが実感できる作品だった。

 

言葉があとひとつふたつ、シーンもひとつふたつ、全体的にもうひとつふたつ、セリフが欲しかった。原作未読だけど、純文学だったらこういう作風になって仕方ないだろうことはわかる。

 

そして、芋生悠、やはり素晴らしい役者さんだと思った。こんなに各作品ごとに違うキャラクターになりきれる役者も少ないと思う。だいたい自分が出る。それを押し殺して(無意識だろうけど)作品の中のキャラクターがそこに存在する。作品ごとに印象が変わる。芋生悠自身の印象が薄い、カラーが感じられないのが幸いしているのかも(褒めてる)。


あと、今作でしっかりとHiHi Jets作間龍斗を認識(『ヴィレッジ』ではスルーできる程度だった)。これからが楽しみかも…と思ったら、『どうする家康』、今期ドラマ『コタツがない家』にも出ていたのね。どちらも脱落したやつ…。

 

★★★(★)

 

 

 

 

制作 テレビマンユニオン

配給 ショウゲート