『兎、波を走る』レビュー(前半) | ことのは徒然

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日々の徒然に思いついたことを書き留めてます。

先月7月。
大好きな野田秀樹のお芝居に行ってきました。
NODA・MAP 第26回公演
『兎、波を走る』

 

いったん書いて寝かせたまま、

ブログにUPしそびれていたので、

遅れ馳せすぎるんですが、

レビューをUPいたします。


なんか、7月時点での書きぶりですが、

そこはご容赦ください。
備忘録的に。
ちなみに、めっちゃ長くなっちゃったので、

2回に分けました~爆  笑

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まだまだ先と思ってたら、もう7月。
ホントは仕事の原稿たまってて、
観劇とかしてる場合じゃないんだけど、
この息抜きで2ヶ月はがんばれる!と言い訳しいしい、出かけてきました。

午前納品の原稿仕上げて、
どうせ一人だからと、
手近にあるものを身につけてダッシュ!

途中、セブンイレブンで発券してそのまま劇場へ。

チケットは半券がほしいので絶対「紙」。
でもなかなか前もって行けなくて、いつもこの「行きがけに拾う」パターン。
発券機トラブルとかあったら、アウトだよなぁ、とか思いつつ、痛い目に遭わないと行動を改められない愚か者ですグッド!

一人のときは安い席、って決めてるんですが、同じ金額でも結構いい悪いに差があって、今回は残念ながらハズレ

舞台4分の1くらい見切れてた泣
でもまあ、一番後ろの席だったので若干伸び上がり気味でてへぺろ

めっちゃ安い席って、割と一人で来る芝居好きが多い気がする。若者ばっかりかと思ってたけど、意外と同世代もちらほら。うん、心強い飛び出すハート
さすがに学生じゃないんで、当日券に並ぶとかはしないけど、なんか、「芝居好きです」って感じがして、これはこれでいいなあ、って最近思ってる。

毎度のことながら、前置き長くてスミマセン。

で、見た感想はどうか、っていうと。

見終わって
「ああ、今日はもう仕事にならん。」
というのが第一声。

よかったのよ。
本当によかった。

パンフレットとかの販促物は、
きりがないので買わないことにしてるんですが、
今回は買っちゃった♪
パンフだけにしよう、と思って並んでたのに、
結局、戯曲掲載の月刊新潮も買っちゃった♪
そのくらい、すばらしかった。

なのでね、
席を立ってからもうずっと、頭の中の反芻がとまらない。
もう、こうなっちゃうと、書くしかないんです、私。
興奮が収まらないんですよ。
書くことが鎮静剤的な?

でも、もりだくさんすぎて、どこから書けばいいんだろう?

舞台装置も、ストーリーも
どうしてここまで作り込めるんだ? 
というくらいに凝りに凝ってるのに、
ぜんぜん凝った感じに見えない。
職人芸です。

 

 

  オープニング

まずは、初っ端。印象的な演出で魅せます。
床も壁も黒一色なんだけど、
舞台床の真ん中に、というか、舞台の奥行きいっぱいに
月の表面のモノクロ写真みたな、でっかいグレーの「◯」がある。

開演と同時に舞台を横切る何本もの縄が登場。
両端を役者さんが持って、縄で月の表面をこすると
ザザーッ、ザザーッって波のような音がする。
そのうち縄が波を打って、躍動し始める。

そして、舞台奥から主役登場なんだけど、
飛び出してきた高橋一生がデジタルでビビる。
動くデジタル一生が舞台奥に登場して、
そのまま舞台最前端まですうーって移動してくるんですよ?

ナニゴト?
まじでビビった。
一瞬、ホログラムかと思っちゃった。
え、もうそんな技術が???って。

実は、紙に投影された映像で、
その紙をうしろからバーンと破って本人登場。

どこまでが映像でどこからがリアルかわからない。
この作品のテーマの1つである、仮想現実と現実の問題が、
セリフではなく、演出として提示されている。
初っ端から心鷲摑みです。
この威力。すごすぎる。
とにかく、とにかく、すごかった。
 

 

  舞台装置

ステージの奥は、黒い壁で隔てられていて、その壁の奥に第2ステージがあるんだけど、その壁の開き方が、またすっごくかっこいい。壁の真ん中に「◇」の穴が空いてね、それがすーーっと大きくなる感じで開いていくの。

なんていうか、カメラのシャッターみたいな感じ?

あの仕掛けがとにかくおしゃれ。

現実と仮想空間を行き来するテーマにピッタリの近未来感だった。

 

模型の写真撮影OKだったので、こんな感じ。

 

この模型だと、壁の「◇」が少し開いていて、

奥の第2ステージがチラ見えしてるね。

 

それから、鏡をふんだんに使ったエフェクトも秀逸。

鏡の迷路に入ったような、

合わせ鏡で人物が何重にも重なって見える感じとか。

アリスっぽいよね。

同時に、無機質な空間に迷い込んだ感じがすごくよく出てて、サブテーマの「仮想空間」を彷彿とさせる効果も満点。

 

そして、舞台奥でふりこになってゆれる大きな時計も印象的。

ぱっと見は、兎の懐中時計っぽくて、アリスの世界観なんだけど、

現実の「時間」の経過を暗示するものでもあって、

後半、長年放置された北朝鮮の拉致問題とクロスしていくっていう、重要なアイテムになってる。

 

という感じで、大道具系は硬質で無機質なイメージなんだけど、

小道具は、逆に、縄とか、布とか、油紙っぽい茶色い紙とか。マテリアル感が強い素材が使われてた。しかも、カラフル。

 

そういう質感とか、色とかの対比も、もしかしたらテーマとからんでるのかもしれない。1回見ただけじゃ、そこまで分析できないけどね。なんか、意図を感じました。

 

そうそう。装置といえば、舞台には、アリスの落ちた丸い穴もあったんだけど、あれも不思議だった。舞台に直径1~2m(?)くらいの穴が開いて、役者さんがそこから出入りするんだよね。妄想の世界への入り口になったり、螺旋階段になったり、こっそり早変わりの装置として使われていたり、とにかく、便利に有効活用されてたんだけど、穴が閉じるとどこに穴があるのか全く分からないの。すごい技術だよね。どうやって開閉してるんだろう。

 

ああいう装置って、演出家のアイディアを実現させるために、プロの技術者のみなさんがいろいろ知恵を絞るんだろうな、って思うと、もうそれだけでわくわくしてくる。ああ、楽しいだろうなぁ、って。いや、ほとんどは苦しいのかもしれないけど。

でも、「んなことできるかっ!」とか文句言いつつ、なんだかんだで実現させちゃうんだろうな、みたいな。大量生産じゃなくてね。その舞台のためだけにアイディアを絞るっていうのがもうシビれます。何箇所かで公演する場合は、舞台サイズも違うだろうし、そういう調整とか、どうしてるんだろう。そういう見えないところがどうしても気になっちゃう。

 

  衣装

衣装はもう派手派手のデコデコ。ただし、主人公を除いて(笑)

おもしろいよね。舞台と主人公が地味なの。

高橋一生は兎だから白一色だし、多部ちゃんはアリスだから水色。松たか子はアリスを彷彿とさせるけどちょっとくすんだ青を基調とした衣装。

 

でも、埋もれないんだよね。

例えば、派手派手衣装の子供たちの中に、多部ちゃんが混ざってた時。

子供たちは全身カラフルな細かい柄物なの。でも、多部ちゃんはべったり水色一色だから、シンプルなのにぱっと目がいくようになってる。なるほどー、って感じだよね。

 

あとは、ライトの効果とか。

例えば、兎が軍隊で隊列組んで行進しているシーン。

全員白服。その隊列の真ん中あたりに紛れている高橋一生にちゃんと目が行くのはなんでかなぁ、と思ったら、高橋一生にだけ、うっすらスポットライトが当たってんの。

なるほどぉ。こういう使い方があるのね、ってね。

人の目の誘導の仕方。めっちゃ勉強になった。

 

で、その高橋一生の兎の衣装なんですがね。

これが、もう、めちゃくちゃかっこよかった。

欲しい。飾っておきたい。てか、なんなら着たい。

色は真っ白でシンプルなのに

デザインが凝ってる。

フード付きの白の長めのパーカーなんだけど、モッズコートみたいな感じ。

腰やら腕やらに共布ベルトがいっぱいついてて、躍動感がある。

演技で動くとさらに動きが出て、すっごく軽やかに見える。

あ、フードにはうさぎの耳みたいなのもぶら下がってたな。

 

とにかく、ちょーおしゃれ。

で、これまた高橋一生がさらりと着こなしてるから!!!

あの衣装で、高橋一生がランウェイ歩いてもいいんじゃないかと思っちゃったよ。

今回の衣装は、高橋一生が一人勝ちでしたラブ飛び出すハート

 

ということで、前半は、ここまで。

続きは、後半で!おねがい