夏野菜と人材育成 | ことのは徒然

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日々の徒然に思いついたことを書き留めてます。

実家の父が趣味で家庭菜園をしている。

夏は野菜の成長が速いので、

じゃんじゃん送られてくる。

 

 

実家のゴーヤーと

実家のモロヘイヤ。

実家のとうもろこしに

実家のピーマン。

にんじん、きゅうり。

 

今日は、実家産の緑黄色祭りだった。

 

食後は、実家のスイカ。

フルコースである。



父の農作業を見ていると、

全くの素人なので、

「育てる」というよりは

「育つのを見てる」という感じ。

野菜の成長する力に任せておいて、

いい感じのところでいただく。

 

だから、皮が硬かったり、

きゅうりみたいに巨大なオクラが送られてきたり。

 

たしかに、

売り物みたいに口当たりがいいものではないけれど、

味も色も濃い。

食べた時の歯ごたえが違う。

 

栄養価ももちろんだけど、

持っているエネルギーがそもそも違うんだと思う。

 

促成栽培の野菜より、露地物のほうが、栄養価も高くておいしい、というのは、

大人なら誰もが「まあ、そうでしょうね」ってうなずくレベルの常識なのに、

なんで、人間の育成は

促成栽培が最上級になってるんだろ、って。

改めて思う。

 

英才教育を否定するつもりはないし、

早めに環境を整えるのは大事だと思う。

 

でも、本人のペースを無視して

「無理やり成長させる」のは、本人にとっても、周りにとっても、決して良い結果にならない。色も味も栄養価もうっすい人間は、近い将来、機械に敗北してしまうだろう。

 

でも。

わかってるのに、なかなか実践できない。

 

父の作った、パプリカのような肉厚のピーマンを食みつつ、ふと、「助長」という故事成語が思い浮かんだ。

 

「社会の不安を助長する」

「国際化を助長する」

のように使われるこの言葉。

漢字からなんとなく意味が類推できますよね。

「助けてのばす(長)」的な。

辞書を確認すると、「人や物事に働きかけて、ある傾向を強めたり成長させたりする」というような定義で、良い意味でも悪い意味でも使います。

 

私は、個人的には悪い意味で使うことが多いです。

というのも、もともと悪い意味なので。

 

元となる故事を知ったとき、「ええー、そんなことある?」って思ったので、私の中では印象深い言葉の一つ。

 

簡単に言うと、作物を早く成長させたいと思った農夫が、苗が伸びるように一生懸命引っ張って成長の手助けをした結果、全部枯れてしまった、っていうお話。

『孟子』(公孫丑・上)に出ています。

 

丸1日、畑の苗を引っ張り続けて帰ってきた農夫のセリフが傑作で、こんな感じ↓

 

今日病(つか)れたり。予(われ)苗を助けて長ぜしむ。

今日はくたびれた。苗を引っ張って、早く生長するように助けてやった。

 

「オレ、今日頑張ったゼ」感がハンパない。

自分で何をやっちゃったか、全く気づいてないわけですよ。

 

で、それを聞いた息子が血相変えて畑に飛んでったら、案の定、作物は全滅してたというね。

 

いやいや。

びっくり。

はやく育てたい気持ちはわかるけど、いい大人なら、引っ張ったら絶対ダメなの、わかるでしょうよ! というのが最初の感想。

「ありえん」と。

しかも、息子の方が察しがいいってどういうこと?

愚か者すぎる。

 

ああ。でも。

自分の人生振り返ると、やってたね。

子育てで。

 

たとえば、ウチの娘は小学2年生からバスケをやっていて、まあわりと早い段階からいい感じに目立ってたので、コーチとか顧問とかからも強豪校に入れたほうがいいとか言われてね。

スポーツ苦手だった私としては、ちょっと浮かれちゃってて、

強豪校の体験練習に連れて行ったり、

プロの下部組織に突っ込んだりして、

そこでそこそこやるもんだから、

ますます『私が』がんばっちゃって、

結局、バスケ嫌いにさせちゃった。

まあ、正確には「嫌い」の直前で踏みとどまったけど、今はもうやってない。未練もないらしい。母親としても、ファン1号としても、絶対やっちゃダメなやつだった。

 

丁寧に丁寧に苗を引っ張って枯らしたおバカさんのこと、全然笑えません。

大人の方が、したり顔でそういうことをやりがちなんだろうね。

 

植物を育てるのに必要なのは観察。

水は足りているか、栄養は十分か。

逆に過剰摂取になっていないか。

 

そんなの小学校の理科で最初に習う常識。

 

しかも。

その土地の特性や気候。日々変化する環境。

発育が教科書通りに進むわけがない。

 

芽や葉の様子を毎日欠かさずひたすらよく見て、

植物の声を聞く。

それがいちばん大事なのにね。

 

知識としてはよく分かってる。

なのに。

 

よくある育児指導とかに右往左往し、

周りの優秀な子と比べて一喜一憂しちゃうんですよね。

 

そのとき、何より問題なのは、

今、自分が、ほんとうに大切にしたいと思っているものに対して『助長』をしちゃってるという認識がないこと。

 

まあ、私自身が万事そんな調子の子育てで

ほんっーーーーーとに、いろいろありまして、

紆余曲折の末、到達した結論は、

「母は偉大なる傍観者となるべし。」

 

そのための細かいコツはいろいろありますが、

とにかく、請け負います。

間違いなくこのポリシーは万能薬。