ツヅミグサ | もとろーむの徒然歳時記

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道端でまだまだ咲いているタンポポ。

 

この時季なら西洋タンポポが多いと思いますが

 

少しカメラに収めてみました。

 

タンポポという名前は不思議なひびきです。

 

もちろん日本語でしょうが、見た目から

 

何かに似ているからとか、

 

その語源には以前から興味がありました。

 

「大日本国語辞典」には

 

ツヅミグサはタンポポ(蒲公英)の異名と出ています。

 

古名をツヅミグサと言うことがある。と書かれていますが、

 

肝心の植物図鑑類にはそういう

 

別名は見つけることが出来ませんでした。

 

 

この花は万葉集にも枕草子や源氏物語にも登場しません。

 

いつ頃から人前に登場し、

 

いつ頃からタンポポと

 

呼ばれるようになったのか分かりません。

 

牧野富太郎博士は語源を、フランス語に由来すると主張されています。

 

タンポポの語源はおそらくタンポ穂の意で、

 

球形の果実穂からタンポを想像したものであろうと書かれています。

 

タンポとは布で綿をくるんで丸めたもので、


拓本などに用いる道具の事です

 

 

牧野博士は晩年この説に固執しておられたと、

 

中村浩博士は著書の中でそう書かれています。

 

中村博士は牧野説には納得されておらず、

 

由来については「柳田国男とその原郷」という本の中に、

 

鼓を打つ時のタン、ポンポンという音からの連想に由来し、

 

あの茎の両側を細かく裂いて水につける

 

反り返り、

 

放射状に広がった両側が丁度、鼓の形になったからだ。とあり、

 

実験したところ、

 

実際に鼓の形になったということから、この説を支持されています。

 

これを根拠に中村博士はタンポポの語源の由来は

 

その古名ツヅミグサから出たもので、

 

鼓の音のタン、ポンポンに由来し、

 

子供の遊びで先ほどの鼓の形を作って興じ、

 

タンポンポンとよんでいたものが、いつしかタンポポになったものだろうと

 

結論付けられています。

 

 

元来、西洋タンポポという種類はありますが、

 

日本タンポポという種類はありません。

 

日本産のタンポポという言い方になると思いますが、

 

それだと約20集類ほどあります。

 

 

タンポポは外側から内側に向かって

 

毎日少しずつ開き、

 

午前日光が当たって開花し、日没とともに花をとじるので、

 

西洋では「牧童の時計」と呼ばれているそうです。

 

この花の若葉は古くから食用とされていました。

 

若葉をゆでて水に浸し、アクを抜き、お浸し、和え物、等にして食べるそうですし、

 

フランスでは

 

西洋タンポポのとくに大きい変種を栽培して

 

サラダ用にしているそうです。

 

漢方では開花前に採って乾したものを

 

「蒲公英」(ほこうえい)と言って

 

解熱、発汗、健胃、強壮薬にするとありました。

 

 

 

タンポポはキク科ですが、

 

属名はタンポポ属でTaraxacum (タラクサム)といいます。

 

ギリシャ語で意味は、

 

不安を治す、ということで薬用植物とされています。

 

西洋タンポポの学名を

 

Taraxacum Officinale(タラクサム・オフィキナーレ)といい、

 

示種名は薬用になると言う意味です。

 

西洋タンポポは、

 

肝臓病、胃病、貧血症に効果があると言われています。

 

ちなみに西洋タンポポの英名は、

 

ダンデライオンである事は良く知られていますが、

 

これはライオンの歯という意味で、

 

フランス語と英語の合成語だそうです。

 

私はダンデライオンはタンポポの花がライオンのたてがみに似ているのだろうと

 

思っていました。

 

ライオンの歯なんですね。

 

これは花ではなく、葉の形からつけられたそうです。

 

知りませんでした。

 

 

日本タンポポで言えば、

 

関東地方に多い黄色のタンポポを

 

Taraxacum Platycarpum(タクラサム・プラチカルプム)といい

 

示種名は果実が扁平拡大しているという意味です。

 

何故ここに使われているのかよく分かりませんが。

 

関東から西の方ではシロバナタンポポ、

 

その学名はTaraxacum albidum(タムラサム・アルビズム)と言います。

 

関西から四国、九州に至っては

 

関西タンポポ、Taraxacum japonicum(タムラサム・ジャポニクム)で

 

これは日本産の意味です。

 

本州中部から北海道にかけては

 

エゾタンポポ、学名はTaraxacum hondoense(タムラサム・ホンドエンセ)で

 

本土産という示種名がついています。

 

ざっとこのように分類されますが

 

現在は西洋タンポポが帰化して、

 

ほとんどの地域でこの西洋タンポポが栄えているといいます。

 

確かに関東でも日本の関東タンポポを探すより、

 

西洋タンポポを探す方がはるかに簡単です。

 

大抵の場合、見られるのは西洋タンポポです。

 

日本タンポポが駆逐されつつあるというのは、間違いではないようです。

 

 

 

最近、日本タンポポと、

 

西洋タンポポの交雑種が増えていると聞きました。

 

一説にはタンポポの約8割が、

 

西洋タンポポかその交雑種、ハイブリットのタンポポで、

 

見分けるのが難しいそうです。

 

日本タンポポと思っていたのも、

 

実は

 

このハイブリットだったのかもしれません。

 

日本タンポポの環境適応性の高さと

 

西洋タンポポの一年を通して花が咲かせられるという能力を持ったなら、

 

日本タンポポはいずれ、

 

駆逐されてしまわないか心配です。