6月14日(日)
芝居小舎 【帰ってきたオトウサン】
http://shibaigoya.web.fc2.com/
ワッハホール(ワッハ上方5F)
15:00
【作】北野ひろし
【演出】芝本正
【出演】芝本正、小西由貴、松田勲、松のりひこ、柳沼周平、安積艶香、関本聖、古トシキ、大島忠雄、中谷昌代、伊藤一荘、眞砂享子、永田哲也、他
【あらすじ】
えっ うそ~~~!
オ・・・・・オトウサンが帰ってきた?
「しかし、とりあえず今日のところはお帰り下さい。」
「帰るって、どこに?」
「黄泉の国へ・・・・」
【感想】
導入部、入り乱れる登場人物が各々のオトウサンに対する思いを口にするシーン。
正直に驚いた。
芝居小舎らしくない照明転換であった。
スリリングな演出に・・・・・進化した!と思い胸がときめいた。
しかし、脚本に・・・・・・・・正直に愛が感じられない。
ごめんなさい。
これは全く僕の私見。
情けないほど矮小な経験でモノを言わせて貰うのだが、後半オトウサンを責めるのだが・・・・どんでん返しを差っ引いても非常に不愉快な気持ちで一杯になった。
答えはわかっている。
『演技が上手過ぎるのだ』
軽くない。
シャープでない。
重く鈍器のような演技にコメディが緩く拒絶するのだ。
これがもし、導入部のテンションのまま走りきったなら問題はなかったと思う。
いや、
思うどころか、大傑作になったと思う。
しかし僕は 【磯川家】 【柿食う客】 のスピードに慣れきってしまっている。
演出のテンポにどうしても疑問が残る。
ただ何度も言うが、ファーストシーンのスピードはスタイリッシュだった!
そして、そのスピードになるシーンが幾つか挟み込まれてもいた。
だが全体的となると・・・どうしても遅くなりがち。
芝本さんも小西さんも、まだまだ身体にキレがある。
動けなくはないはず。
だからこそ勿体無い。
全体的に流動的にスピードアップを図るべき。
この作品は芝居小舎にとって、その歴史的胎動であると僕は思いたい。
またキャスト的には、やはり 【松としひこ】さんが大分ぬきんでている。
脚本を読んで自分のキャラクターをあそこまで作り込むのは凄い。
多分、チャップリンを模倣ではなくモチーフににしたのは一目瞭然。
また色々なギミックが上手い。
喋り方から、ちょこまかとした歩き方、また手を魚のようにひらひらとさせる仕種。
ドラムも演技もそつがなく上手い人です。
後、【柳沼周平】さんは自らの好青年をかなぐり捨てての田舎者を好演されていた。
やりきった感満載の演技。
このような側面も見せるのだ。
やっぱ積み重ねる人は違うな~♪
【安積艶香】さん。
ああ、やっぱりこの人いい。
いつも思うが、まったくブレてない。芯が通っている・・・というか、ブレる必要がないのだ。
シャン!と背筋が通ったSキャラ!
完璧に自分のモノにしている。
上手いよなぁ!
【中谷昌代】さん
この人もカメレオン気質。
なりきる、コトが大前提であるのがいい。
盗賊だろうが、漁師の嫁だろうが、小学生だろうが、不倫OLだろうが、
リアル。
仮面をかぶれる・・・といったものではなく、なりきる情熱が凄い。
【伊藤一荘】さん。
若いのに若くない演技だったのは演技か?
妙齢の『艶』があるのだ。
なんというか中年のギトギトさというか、腹黒さというか・・・・
これが演技なら凄い。
【古トシキ】さん。
この方は観る度に成長しているように感じる。
ステップアップしているのが分るからこその配役なのだろう。
よく見ている。
流石だ。
何にしろやはり演技の層は厚い。
だからこそ、この脚本と演出が・・・と思う。
一番、ドタバタとなるべきお父さんの帰還を描いていないのが、どうしても納得いかない。
一番美味しいのだ。
大トロなのだ。
いや、中おちなのだ。
何故、そこでドタバタせずに事が終わったシーンから始まるのか?
勿体無い。
本当に勿体無いお化けが出る。
いつか、
いつかリメイクしたこの作品をキボンヌ!