7月27日(日)
May 【チャンソ】
シアトリカル應典院
14:00

作・演出/金 哲義
キャスト/ 柴崎辰治/木場夕子/田中志保/斉藤友恵/金 哲義/尹 千紘(オリゴ党)/野村侑志(オパンポン創造社)/片岡 雅(雅番外地)/有馬ハル(オリゴ党)/中村大介(Blue,Blue.)/西銘あつし(肝劇場)/宇仁菅 綾(ババロワーズ)/木下聖浩(ボーダレスアクターズ)/市川 亨(客演)/斉藤清士郎(劇団猫の森)/川村伸彦(ババロワーズ)/滝澤晴世/滝澤せのん/門脇モンブラン(ストロベリーソングオーケストラ)/石川 晃(Djamra)/権田 裕一郎/ほか/金 民樹(劇団タルオルム)/林 寛子(劇団タルオルム)/姜 愛淑(劇団タルオルム)/洪 京枝(劇団タルオルム)
僕は何も知らない。
いわゆる韓国、朝鮮人という人種が迫害されてしまっているという事実。
ぬくぬくと日本で日本人として生きているから、そういった疎外感を詳しく分からない。
・・・・しかしこれでも昔は社会奉仕の精神を持つボーイスカウトに入っていたので、そうした事例に触れる事は少なからずあった。
・・・・・が、
実際に社会に出て仕事をこなす内に、『あそこには行くな』 とか 『○○は○○人やから』 とか 『関わんな!』 など、差別的なコトが日常的にまかり通る事が多々あった。
僕的には人種を差別する事はナンセンスだと感じている。いや思っている。
人種は個性でありながら、個性は人種すら超越したものだ。
古くは『はだしのゲン』などで朝鮮人を差別するシーンがあった。
子供ながら僕はしないように(差別を)しようと思ったものだ。
さて余談が過ぎた。
劇場に入るや熱気に唸る。
コリアンな熱気というか、外界よりも温度が2、3度ほど高いような熱気。
しかも後から後から人が入ってくる。
開場して、開演時間を過ぎても入場が止まらない。
結局、20分押しで舞台が始まる。
物語は外国で生きる外国人が持つコンプレックスと、突出する禍々しいまでの気概!
それを恐ろしいほどまでに濃縮したプライドでブレンドさせたものを抜き身で披露させたような舞台。
この作品を友達に「どうやった?」と聞かれ一言で表すならば 『クローズZERO の叙情的な舞台版!』 と答えるだろう。
面白かった。
青春活劇として、喧嘩、恋、プライド、を ぐちゃまぜにして良質な部分のみを取っている舞台。
血がたぎった。
燃えてくる。
青春を謳歌するのではなく、青春に巻き込まれ、ひいこら背伸びをして何とか、何とかしようともがいている姿が何とも清々しい。
自分にも似た思いが蘇る。
高校デビューという言葉が指し示す生まれ変わりたい衝動。
リセットの最上級。
新しい船出。
そこに辿り着くための背伸び。
主人公であるチャンソの、いじらしいほどの無能ぶりが僕と重なり胸が痛くなる。
どうにかしたい、どうにかしたいという幼い衝動は、世界からいとも簡単に隔絶され拒絶され切り離される。
そうしたどうにもならない情熱を持て余した若者が実に丁寧に描かれている。
そしてその対比として出ている先生方の強烈さは、作品を通して鉄壁の存在感であった。
いや、先生なくしてこの世界観は皆無であったろう。
日本の中に在って、外国人として生きるしかない韓国人。
「喧嘩にだけは絶対に負けるな!」
と、脳髄にまで叩き込まれる姿は昭和初期の日本帝国軍人と変わりはない。
ただ、彼らはここ日本で生きる為に必要な【誇り】を見失わぬように叩き込んでいるのだ。
近い将来、彼らが大人になって子供ができて育てていく時に同じ思いが胸の中に去来するかも知れない。
このチームは最高だ。
僕が感想に俳優のことを語らずに作品のコトだけを語っている。
生きている。
生きているのだ。
ヒョン・チャンソ、ホン・テス、チャン・グンソン、キム・ウォンド、カン・ジョンファ、コ・ヨンエ、キム・チュンジ、リュ・ソナ、ムン・ファヘ、カン・ミヘン、リ・ユオン、ファン・ギドク、キム・ソンス、大山誠治、畑原丈一郎・・・・・・・他
彼らが生きている事を実感した。
舞台を借りた青春劇を心の底から楽しんだ。
願わくば彼らが、これからは【国】を背負いながら生きるのではなく、【人生】・・・・同じ時間を生きる人間同志として僕らが付き合って貰えたらこんなに嬉しいことはない。
PS
最後に観劇後、May座長の 【金哲義】さんに挨拶に行く。
「面白かったです!これからも頑張って下さい」
と、伝える為だ。
すると・・・・・
「どこかでお会いしましたっけ?」と、全力で思い出されようとされる。
っすみません!ただのお客です!すみませんでした!!
何とも、爽やかで、誠実な方なのだと思いました。
これからも頑張って下さいませ!