斧となみだ(斧少女ーⅲ-) | ✴自殺したい気もちや生きにくさを、「生きる喜び」に変えていくために✴

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うつ病、統合失調症、起立性調節障害、対人恐怖症、等の体験の克服の過程で見つけた幸せと喜びをシェアします

今日、帰りの駅で、1分程度で、降りた1番ホームからとなりの2番ホームへ横移動するっていう時、
目の見えない中年の女の人がいました。

その人は、杖をついて、黄色いぼこぼこのある線をたどって2番ホームの電車に乗ろうとするのです。
しかし、うまくいきません。

早く行かなきゃということで、電車の前で、あっちを向いたり、こっちを向いたいりしています。



私は、腕をつかんで「こっちだよっ」とぶっきらぼうに言って、一緒に2番ホームの電車に乗った。

どうにか間に合い、無事に電車に乗れた。

いつもの私のようにちゅうちょして、どう声をかければいいんだろう、とか、いつ近づけばいいんだろう、とか考える暇はありませんでした。

必然的に体が動いてやりました。

彼女を電車に連れ込むと、私は何のあいさつもせず、黙ってすぐとなりの車両に早歩きして行って、
空いていた席にドカッと座った。

なぜか涙が出てきた。細い涙じゃなくって極太の涙。

どうしてだろう、よくわからなかった。

もし、泣くとすれば、あっちじゃないか。

なぜ、私が泣いているんだろう。

なぜ泣いているのか、理屈っぽく考えようとするけれど、うまく考えられない。

勝手に出てくるなみだ。



この半年間、一度も泣いていない。

赤ちゃんの時以来、泣いたのは、数に数えられるくらい少ない。

おかしな人間だ。

いや、おかしくなった人間に違いない。

斧を振り回していれば、それで充分だった。




涙が出てくると、大切な斧がどこかに行ってしまった。

それに気づいた途端、また斧が欲しい、必要なんだ、そう思った。


あの斧を振り回しているのが私なんだ。

あれが私だ、あれがなきゃだめなんだ。


                  ・・・


家に帰って、あたたかいスープを飲んだ。

焼き豆腐とにらと卵が入っている。きれいな色。

あたたかい料理とは、こんなにもおいしいんだ。


うれしいな。

素朴な喜び。


私は料理を作ってくれた人に初めて感謝した。


・・また斧がどこかに消えていった・・・。