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あさま山荘事件の陰で① / あさま山荘事件の陰で②/ あさま山荘事件の陰で③

 

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父が突然、死に支度をするために家に帰ってきたのには訳があった。
 
山の中にライフル銃を持った犯人が隠れているとの情報があり、佐久署の警察官が山入をすることになっていたのだ。
 
実行すれば身を潜めている犯人と銃撃戦になり、命を落とす可能性が高い。
 
 
だから署長は「その前に死に支度を・・・」「せめて、最後に家族と食事を・・・」と、悲痛な想いを署長命令として下したのだろう。
 
 
 
食事を終えた父は、またすぐに現場に戻った。
 
 
 
そして、突入の直前。
 
署長は、目の前に並ぶ署員を前にこう命令したという。
 
 
「俺が『撃て』と言うまでは、決して撃ってはならない」
 
 

署長の命令に「はい」と署員一同。

 

 

 

そして署長は、こう付け加えた。

 
 
 
「俺が先頭を切る」
 
 
 
その言葉に署員全員が瞬時に、署長の意図を察した。
 
 
―――(署長は、自分が撃たれた後なら、警察官が発砲しても正当防衛になると考えているんだ・・・)
 
 
 
すると、次々と声が上がった。
 
 
「署長!指揮官がいなくなっては困ります」
 

「自分に先に行かせてください」

 
「署長がなくなってはまとならない。自分たちにまかせてください」
 
 
すると署長は、優しい声でこう言ったそうだ。
 
 
「心配するな。俺は戦争で、いっぱい弾を潜り抜けてきた人間だ。俺が先頭に行く」
 
 
 
署長の運転手として現場に向かった父はある意味で秘書のような役割。
 
常に署長の隣にピッタリとくっついていた父は、署長のあまりにも勇敢な姿に圧倒され、言葉にならなかったという。
 
 
―――私の父は、決して人前では涙を見せない人。自分の親が亡くなっても泣かないその父が、このときの話をするときはいつも涙ぐむのです。

 
 

 

☆「あさま山荘事件」の記事については、これまで私が両親から聞いてきた話を忠実に書き記します。

 

「あさま山荘事件」⑤に続く

 

 

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