【再掲】乳癌診療ガイドライン2018年版 薬物療法編より(1/2 初期治療) | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

ご訪問ありがとうございます。

医療の進歩、最新の医療を正しく理解し
玉石混淆の情報で怪しい治療に流されない
ためには、
まず、「標準治療≒保険診療」を
知っておこうよ、押さえておこうよ、

ガイドラインをツールとして
それぞれの治療のメリット、デメリットを
主治医と話し合って
 (場合によっては、セカンドオピニオンも
  受けて)
患者自身が納得して治療選択する、
場合によっては、人によっては、
先進医療や臨床試験も検討してみる、とか

その上で、代替療法(補完療法)は、
追加で、考えようよ

というのが王道で、

年齢や基礎疾患や、癌の種類、状態や
それぞれの価値観で、
選択は変わってくるのだと思います。


「標準治療≒保険診療」を知っておこうよ
という主旨で、

標準治療(≒保険診療)とは何か、
乳癌治療の目的と概要を再掲し、

標準治療(≒保険診療)の具体的な治療手段、
各論として、
まずは最も根治の可能性が高い、
外科療法、手術について再掲し、

次に、局所進行乳癌にとって、
手術と切り離せない
薬物療法 について再掲しています。

2017年に、診療ガイドラインに基づいて
書いた記事を再掲しました。

       ⬆こちらを先にお読み下さい。

2018年に乳癌診療ガイドラインが、
私としては非常に喜ばしい方向で
改訂されましたので、
喜びとともに、確認し、
気になっていた点の最新情報を書き、
共有させていただきました。

初期治療と転移・再発後治療に
記事を分けています。
まずは、初期治療について、
再掲します。(ガイドライン再掲9)

既に、薬事承認されたり、乳癌関連の学会
で発表された情報源が確かな追加情報は、
紫字で補記します。
次の改訂時には、反映されるんじゃないかな
と思います。

※ガイドラインも臨床試験や臨床研究を
  受けて進化し続けているもので、
  ほとんど全ての乳癌を治せる、
  に至っていない段階で、
 「絶対正しい」というものではないのです。
  その時点で、「最良」と推奨の合意が
  取れている治療を、推奨度も明記して
  示され、医学、医療の進歩が反映され
  改訂され続けていて、
  患者向けのガイドラインも出されている
  のが、
  日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインです。

ー◆ー◆ー◆ー
  
(元投稿:2018/8/20)

ご訪問ありがとうございます。


で、今回の改訂の『心』

「改訂ガイドラインは、
   いくつか選択肢がある中で、
   患者さんと相談をして、
   介入を決定する際に
   参考にしてほしいツールである」

実際の臨床現場、
患者からすれば、『自分の』癌の治療、
重要なのは、
『医師の経験』や『患者の価値観』が
加味されること、

『ガイドライン』は、
あくまでベースとなるツール。

ということを前面に押し出した改訂が、

さらに、

  「今までよりも、医師・患者の
      shared decision making の重要性
     を考慮し、
     日本の乳癌診療が成熟し、
     次のステップに入ったことによる
     ガイドラインであるともいえる」
  
   「生存期間などの『益』と、副作用などの
      『害』のバランスを考慮した手法
      取り込んだ」

    「CQの投票の結果の賛成率や独自の
       メタ解析結果も記載されている。」

が、すっごく、喜ばしく嬉しく感じる、
とご紹介した、

乳癌診療ガイドライン、自分の目線で
気になるところ
  (乳癌学会として、まだ議論があったり、
  私もブログで同病の後輩患者さんから
  質問を受けたり、自分「だけ」が正しいと
  いうような方々から批判コメントを浴びたり
  した点も含む。私は初期治療は終わっている
  ので、初期治療については、医学の発展に
  期待する患者としてウォッチしています)
を確認しました。

※人(患者)それぞれ、必要な情報が違うで
  しょうから、
  ガイドラインをお読みくださいね。
  あくまで、私は自分のために確認した
  メモです。


ー◆ー◆ー◆ー◆ー


【薬物療法編】1/2  初期治療


pCRと予後の関係

pCRを得た患者の予後は、ER陰性や
  HER2陽性では良好である可能性

・ER陽性HER2陰性ではpCRが予後と
  相関しないとの報告あり。

 ⬆ 2018年12月SABCSで、各種臨床試験の
      メタ解析結果が発表され、とりあえず
      結論が出ましたね。

         (リンク貼っておきました。次に再掲しようかな)


乳房温存目的の術前化学療法

・弱く推奨。(100%)


術後補助化学療法のUFT、ゼローダ
  (経口フッ化ピリミジン)

・静注(点滴)化学療法の代わりの投与は
  行わないことを弱く推奨。(92%)


術後補助化学療法へのゼローダ追加

・アンスラサイクリン➡タキサン+ゼローダ
  は、トリプルネガティブで優位な延長。

  ※ER陽性では有意差なし。

   ⬆念のため補記
      HER2陰性の臨床試験なので、
      HER2陽性の方向けの情報ではないです。
      

術前化学療法non-pCRの術後ゼローダ

・第3層 CREATE-X  DFS、OSとも改善

再発リスクの高い症例へのゼローダ追加で
  予後の改善が期待される。

   ⬆念のため補記
      HER2陰性の臨床試験なので、
      HER2陽性の方向けの情報ではないです。


G-CSF使用のdose-dense化学療法

再発リスク高、骨髄機能十分の症例への
  原発乳癌術後補助化学療法として
  G-CSF使用のdose-dense化学療法は
  強く推奨。(92%)


タキサン追加の是非

・アンスラサイクリンにタキサンを追加する
  効果が低い症例、適応は明確でない。

・アンスラサイクリンにタキサン追加(順次)
  で有意に予後が改善。
  ただしリンパ節転移なしでは証明されて
  いない。

(後向き統計)
・HER2陰性・ER陽性、HER2陰性・Ki67低値
   などでタキサン追加効果が低い可能性。

(後向き統計)
トリネガではパクリ毎週、
  ホルモン陽性では3週毎ドセ
  が優れる可能性。


アンスラサイクリン回避の是非

・再発低リスクや心疾患の既往のHER2陽性
  などでアンスラサイクリンを含まない
  術後治療の有用性を検討中。


パージェタ併用の是非

・再発リスクの高い症例でのパージェタ併用
  の有用性は示されたが、OS延長効果は
  現時点では明らかでない。

・術前治療へのパージェタ併用は
  pCR率の改善が期待でき、忍容性も
  問題ない。

   ⬆ 喜ばしい記述!あとは認可待ち。
        ※私は、もう関係ないけど、
          後輩患者さんのために、
          喜ばしいってことです。

   ⬆  2018/10月に薬事承認されました。
          (2018/10/10 )(リンク貼っておきました)

・術後治療へのパージェタ追加は
   APHINITYの中間解析結果、
   3年IDFSは統計学的には有意に改善、
   差は僅差。OS含め、引き続き
   フォローアップデータを注視していく
   必要。

   ⬆  2018/10月に薬事承認されました。
          (2018/10/10 )(リンク貼っておきました)


特殊病態

浸潤性乳管癌以外の特殊組織型

・特定の組織型に限ったランダム化比較試験
   はほとんどない。

(このブログの読者さんにいらっしゃる)
・アポクリン癌、浸潤性小葉癌の術後補助
  薬物療法は、浸潤性乳管癌に準じるのが
  妥当。


⬇私が受けた治療はこれ。
    出来るだけの治療をしていただいて
    お陰様で、私は、目に見える転移を
    せずに(正確には、転移と判断がついて
    いない2mmの影が1つ精密検査予定ですが)
    4年が経過し、生きています。
    受けた治療には納得、満足、
    感謝しています照れ
    タイミング的に受けられなかった治療は
    残念には思っていますが、しょうがない
    ですね…。

局所進行乳癌(ステージ3)、炎症性乳癌
  ※パージェタのNeoSphere試験結果が
    掲載された以外は特に変化なし。

・まず化学療法を行い、続いて局所療法
  (外科療法、放射線療法)を行う、
  集学的治療が標準的。

・術前化学療法は
  アンスラサイクリン+タキサン
  HER2陽性であれば抗HER2薬を追加。

  NeoSphere試験結果が掲載されている。
 ドセタキセルにハーセプチン+パージェタで
  pCR率29%➡45.8%と有意に高いpCR率。
  生存への寄与は明らかになっていない。

・手術を施行した患者には
   放射線療法を行う。

・局所療法後、
  ホルモン陽性であればホルモン治療、
  HER2陽性であれば抗HER2薬治療を行う。

  ⬆抗HER2薬は、ハーセプチンに加え
      パージェタが認可されました。


BRCA遺伝子異常(トリネガが多い)

・再発高リスク

トリネガの約20%がBRCA遺伝子変異、
    特にBRCA1遺伝子変異陽性。
    BRCA1遺伝子変異陽性乳癌患者の多くが
   トリネガ。

・PARP阻害薬オラパリブ(保険適用外)の
  再発予防の臨床試験が進行中。

・進行・再発乳癌に対して,PARP阻害薬は    
   PFSの延長効果あり、
   適応拡大が期待される。

カルボプラチン併用でpCR率が上がる
  (毒性は増強) トリネガ臨床試験結果あり。

BRCA遺伝子変異はプラチナ感受性の
  重要なバイオマーカー。

  ※念のため、読者さん向けに書いておくと
    プラチナ製剤って、シスプラチンとか
    カルボプラチン。
    私は、遺伝性ではないはずだが、
    カルボプラチンが効くか、
    気にはなってはいる…。
    副作用が強そうだけど…。


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