eCO2を超えるCO2RE:傷跡治療 | 美容外科開業医の独り言

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新しいフラクショナル炭酸ガスレーザーのCO2RE,最近ますます使用頻度が増えています。

現在、ニキビ跡の治療においてはCO2RE単独、もしくはeCO2と併用することも多くなりましたし、リストカットや線状の傷跡で盛り上がるのあるタイプなどにも多用しています。
旧世代のレーザーヘッド(エンジンみたいなもの)を搭載するeCO2は熱作用が強く、色素沈着や不均一性のリスクを有しますが、CO2REはこれが改良されています。
もちろん熱作用を上手く利用したい時もありますし、なによりeCO2の経験が非常に多い私としてはオリジナルの設定や感覚的な微調整が安全に出来るという意味では、まだまだ良き治療のパートナーとなっているeCO2ですが、CO2REのデジタルハイテクな能力を見せつけられると、安全性や一定の結果という意味ではちょっと心を奪われているかもしれません。
マニュアルで感覚的に使いこなすeCO2と、誰もがハイテクの技術で安心して使いこなせるCO2RE、これが差と言えばいいでしょうか(今までフラクショナル炭酸ガスレーザー使用経験がなく新しく購入するドクターなら、CO2REの方が圧倒的に優れものではありますが、腕に自信のあるドクターならeCO2もあり、です)。

このCO2REの特徴は、fusion modeという皮膚表面をしっかりアブレージョンしながらeCO2と同じようなフラクショナルに照射もできる(2つのレーザーパターンを一瞬で照射する)ということです。プロ向けに書くと、同類の機種でアンコア(ブリッジセラピー)がありますが、このTotal FXという手法をデジタル的に制御したようなモードです。
このfusionモードは削る力が強く、傷跡などが少し盛り上がっていたり、凹みの縁が角張っている場合に便利です。全体をこれで削ると負荷が大きいので、全体にはdeepモードという通常のフラクショナル炭酸ガスレーザーの機能を用いますし、熱効果を高めたい場合には代わりにeCO2を使います。

同じフラクショナル(アブレイティブ)レーザーでも、到達する深さ、熱拡散、照射時間、密度、ビーム特性、照射パターンなど複数の設定と、それで得られる効果、作用機序が違うことが分かってきており、やはりレーザーメーカー各社も(多分)それを認識した上で照射モードをオリジナルに作ってきています。
サイトンやデカ社のように照射時間やワット数のコントロールを変えるパルスモードを複数用意したり、シネロンキャンデラのようにデジタルでレーザーを制御し、また照射パターンを新しく開発したりと、優秀なメーカーの技術者はやはり優れているなと感じます。

ちょっと今回もマニアックになりすぎました....

新しい相棒を使いこなせるようになり、フラクショナル炭酸ガスレーザーは1台から複数台所有する時代なのかもしれないと感じている今日この頃、乙女心オタク心が揺れ動きます。





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