2877.徳(6)徳の修まらざる | 論語ブログ

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徳(6)徳の修まらざる

 

子曰わく、徳の修まらざる、学の講ぜざる、義を聞きて徙(うつ)る能(あた)わざる、不善の改(あらた)むる能(あた)わざる、是れ吾が憂(うれい)なり。

 述而第七 仮名論語80頁6行目

 伊與田先生の解釈です。

先師が言われた。「徳が身に付かないこと、学が究められないこと、正しい道を聞いても行うことができないこと、悪い行いを改めることができないことの四つ

が、常に私の心をいためるこのである」

 

「子曰わく、徳の修まらざる、学の講ぜざる、義を聞きて徙る能わざる、不善の改むる能わざる、是れ吾が憂なり」・・・先生がおっしゃいました。徳が身につかない事、学問が進まない事、正しい事を聞きながら実行に移せない事、善からぬ事と知りながら改める事ができない事、この四つが私の憂える所である。と。

孔子は「四優」、つまり四つの心配として、これらの事をあげているのです。

1.德の修まらざる、人間の向上という事をおざなりにしていないだろうか。

2.学の講ぜざる、学問の習得を怠けていないだろうか。

3.義を聞きて徙る能わざる、それが正しい筋道だと知りながら実践しないような事はなかったか。

4.不善の改むる能わざる、過ちを知りながら改めずにいなかったか。

大聖人孔子にして、このような憂いがあったんですね。孔子にこんなことを言われたら、周りにいた弟子たちはどう返事したらいいのでしょうか、「そうですね」とも言えないし、「ご謙遜を」とも言えないし、さぞかし身の縮む思いがしたのではないでしょうか。

この「心配」が孔子自身の反省なのか、それとも弟子たちに向けられたものなのかという事で、古来、「学説」が分れています。中国南宋時代の儒学者の朱子は、孔子自身の行動についての憂いであったとしています。それに対して、江戸時代中期の儒学者の荻生徂徠は、門人の行動についての心配であったとしています。

普通には朱子のように、自らの憂いとして読んでおり、またその方がおだやかですね。

この章では、「徳・学・義・善」について実践が足らないと仰っていますが、今回のシリーズは「徳」なので、德の修まらない事の憂いを考えてみたいと思います。

孔子は、「徳」によって国を治める徳治政治を説きました。「徳」で国を治めるためには、国のトップである君主や有力家臣に「徳」がなければならないと考えた孔子は、「礼」や「仁」を説いて歩いたのです。

「徳」は人間として一番尊いものだというものですから上に立つ人には必ず必要なものとされています。だから、徳を高めなくてはいけません。技術(孔子が教えた六芸)は教えることができますし、習うことが出来ます。しかし、「徳」は教える事も習う事も出来ません。自分で覚り修養というか小さな陰徳を実践しなければいけません。

それでは、いわゆる「人徳」のある人の特徴について考えてみましょう。

1.いつでも誰に対してもやさしく穏やかに接する。

相手によって態度を変えたり、その時の気分や機嫌の良い悪いや好き嫌いによって人への対応が変わる事がありません。そこには人一倍強い自制心があるのです。

2.自己犠牲の精神があり、人のことを優先できる。

たとえ不快な時でも感情を抑え、穏やかに接するのは、相手の気持ちを配慮しての事です。自分は我慢してでも人の為になるような言動をしようという自己犠牲の精神が強いのです。

3.責任感が強く困難に負けない

どんな大きな困難にも自分が矢面に立って向かって行きます。責任感の強さと、困難に負けない精神力、最後には責任を自分で負うことができる潔さを持っています。

4.人の悪口を言わない

あえて文句や悪口をいわず黙っている。言えば周囲は不快な気分になります。

5.福祉の心を持っている

困った人がいれば無償で助けてあげたり、それに対して見返りを求めません。損得に関わらず助けが必要な場になれば自然と体が動きます。

6.人任せにしない

やりたくない。面倒くさい事も人を当てにしない。人に任せる場合はそれを気遣い何があっても責任逃れはしません。

いかがですか。

基本的に「人徳」のある人はできる人・好かれる人と捉えてもいいのではないでしょうか。大切なのは人徳のある人は人間関係の悩みが他の人と比べて少ないということです。人間の悩みの殆どは対人関係なので、とても生きやすいといってもいいのです。

これらは、孔子のいう「徳」に一致するものではないかも知れませんが皆様の参考になれば幸いです。

 

つづく

                                                                                            宮 武 清 寛

                                                                                              論語普及会

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