2878.徳(7)道に志し、徳に據り | 論語ブログ

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徳(7)道に志し、徳に據り

 

子曰、道に志し、徳に據(よ)り、仁に依り、藝に游ぶ。

   述而第七     仮名論語817行目です。

   伊與田覺先生の解釈です。

先師が言われた。「人として正しい道を志、これを実践する徳を本とし、仁に心から離れないようにする。そうして世に立つ上に重要な芸に我を忘れて熱中する。

   *芸、当時は礼楽射御書数の六芸をいい、芸に游ぶというとは仕事に熱中すると解してもよいと思う。

 

孔子の言った言葉です。正直に生きる事。人に尽くす事。人をいたわること。そして一生懸命勉強する事。この四つが立派な人間をつくるんだ。と。

「道に志し、徳に據(よ)り、仁に依り、藝に游ぶ」・・・道に志すというのは、人として正しい道を踏み行うことです。徳によるというのは、人格を磨くということです。そして徳の実践はすべて仁を拠り所にするという事です。芸に游ぶというのは、当時の教養とされていた六芸(りくげい)を身に付け悠々と生きなさいという事です。

人の上に立つ人は、知識や技術を身に付ける事は大切なことです。しかし、もっと大切なことは、徳を磨くことです。徳が磨かれていなければ、どうにもなりません。人は付いてこないでしょう。仁に根差していなければ何にもならん。という事でしょう。仁あっての義、仁あっての礼、仁あっての知、仁あっての信、徳はすべて仁がベースなのです。

学問分類のひとつに、「本学」と「末学」というものがあります。科学・文学・生物学・会計学などは、時代に応じた学問であり実仕事にもつながります。そうした学問は時代の流れ・変化によって概念やパラダイムが変わっていく学問です。時務学とも言い、これを「末学」と言います。技術や技能に関わるものです。

「本学」は徳性を養う「人間学」です。人間如何にあるべきか、人生如何に生きるべきか、といった学び、人に対する思いやり、愛情、困難に立ち向かう勇気、謙譲の心、礼節などの学びです。「本学」は時代が変わっても変わることのない人間そのものに関する学問です。だから、いつの時代、今の時代であっても紀元前の書物が読み継がれているのです。

四書五経の一つ「大学」の冒頭に「物に本末あり、事に終始あり。先後するところを知れば、則ち道に近し」とあります。解釈は、物事には重要な部分と枝葉抹消があり、始めと終わりがある。何か物事を始める上で、何を先に行うべきか、何を後に行うべきか、その順序を認識して行えば、間違えが少なく、大きく道を踏み外すことはない。という意味です。それは、その順序を認識して行えば、間違えが少なく、効率良く、より早く、より正確に成し遂げられる。と考えられます。そして、物事は「本」だけで成立するものはなく、始めたら最後「末」までやり通さなければ成立しないということ、枝葉抹消が不要とか、終わりを疎かにしてよいのではなく、枝葉抹消や終わりも重要であることを認識しなければなりません。これは「末」という文字から感じられるものが、あまり良いイメージでない方もおられるのではないかと思いますが疎かには出来ないということです。

物事の順序や構造を理解することが重要と言っているのだと思います。

この章の、「道」「徳」「仁」は本学の分類になります。「藝」は下記の六芸に分類され末学と考えられます。

孔子の時代には、官吏や知識人としての君子たちは、一般教養として「礼・楽・射・禦・書・数」という六つの科目、つまり「六芸(りくげい)」を身に付けることを目標としていました。今風に言えば「礼・楽」は徳育、「射・禦」は体育、「書・数」は知育に相当するのではないでしょうか。

現代の中国の山東省曲阜には六芸城というテーマパークがあります。

六芸城は曲阜市街東部の春秋路東に位置します。中米合弁で建設された大文化観光地だそうです。1992年に建てられ、敷地面積は13ヘクタール、建築面積は2万5000平方メートルにおよぶようです。

六芸城は、この「六芸」(礼・楽・射・禦・書・数)を元に建てられ、現代のハイテク手段を駆使してつくった大型文化スポットです。「孔子列国行」、「礼庁」、「書庁」、「禦庁」、「楽庁」、「射庁」、「数庁」などの見所からなっています。

中国の伝統文化を理解すると同時に、現代芸術も楽しめるモダンな文化観光施設です。ということですが、私たちは、ここで昼食をとったり、前回訪れた時には夕食をとったりという食事の場としてしか利用していませんが、多くの観光客や外国の賓客が訪れているようです。私が訪れた時も地元の人が賑やかに結婚披露宴を行っていました。

 

つづく

 

                                                                                            宮 武 清 寛

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