2087.論語全章を読む(258)泰伯第八-20 207.舜、臣五人有り | 論語ブログ

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論語全章を読む(258

 

泰伯第八-20 207.舜、臣五人有り

 

舜、臣五人有り、而して天下治まる。武王曰わく、予に亂神十人有り。

孔子曰わく、才難(かた)しと、其れ然(しか)らずや。

   唐虞(とうぐ)の際、斯(ここ)に於て盛(さかん)と為す。

   婦人有り。九人のみ。天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事す。

   周の徳は、其れ至徳と謂うべきのみ。

泰伯第八 仮名論語1076行目です。

伊與田先生の解釈です。

舜の優れた臣に、禹(う)、稷(しょく)、契(せつ)、皋陶(こうよう)、伯益(はくえき)の五人がおって天下は良く治まった。武王(周)が「自分には国を治める優れた臣が十人おる」と言われた。

それに関連して先師が言われた。「真に有能な臣を求めることはむずかしいというが、まことにそうだなあ。堯舜時代以降は、周が最も人材に富んだ時代ではあるが、それでも十人に過ぎず、しかもその中の一人は婦人であるから、男子の賢臣は九人のみであった。

    文王(西伯)は天下を三分してその二を保有しながら、なお殷の臣として服従した。その時代これらの臣はすでにいたのであるから周の文王の徳は最上というべきである」

   *唐虞 堯は陶唐氏 舜は有虞氏

   *婦人 母(文王の后)太姒(たいじ)

 

舜には、五人の立派な臣があって天下は治まった。ということです。「論語」には書かれていませんが、普通は禹、稷、契、皋陶、伯益を指します。

舜には、商均(しょうきん)という子供がおりましたが、親には似ない不肖の子供であったので、黄河の治水に功のあった禹(う)に位を譲りました。禅譲(ぜんじょう)が二回続いたのです。

堯曰篇の首章には、

「舜も亦以て禹に命ず。」・・・「舜もまた、禹に命じた」とだけしか記していません。何を命じたか書いていないのですが、堯から舜への言葉と同じことを言ったに違いないのでしょうね。

この章は、舜、臣五人有り、而して天下治まる。続けて

武王曰わく、予に亂臣(らんしん)十人有り。孔子曰わく、才(さい)難(かた)しと、其れ然(しか)らずや。唐虞(とうぐ)の際、斯(ここ)に於(おい)て盛(さかん)と為す。婦人有り。九人のみ。天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事(ふくじ)す。周の徳は、其れ至徳(しとく)と謂うべきのみ。

 舜には五人の立派な臣があってという句に続いて、武王の「自分にはよい家来が十人いた」という言葉が出てきます。その言葉を受けて孔子が言ったのがこの章です。

武王(周)は父・文王の意思を継ぎ、天下統一を果たします。名は発。文王の死後兵を挙げ、牧野(ぼくや)の戦いで殷を破り、周王朝を開きました。この時代武王を助けて活躍したのが太公望呂尚で、彼が斉に封じられて桓公・景公たちがその子孫として出てきたわけです。

「才難しと、其れ然らずや」・・・人材は得難いと言うが、その通りだ。「唐虞の際、斯に於て盛と為す」・・・堯舜時代から後では、この武王の時こそが一番盛んであった。「婦人有り。九人のみ」・・・十人の中で内助の功のあった婦人が一人いるから、実際は九人だけなのだ。「天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事す」・・・文王は天下を三つに分けて、その二つまでを有していたが、なお殷に従って仕えていた。「周の徳は、其れ至徳と謂うべきのみ」・・・周の徳はまず最高の徳と言ってよいだろう」

 孔子が周を褒めた言葉は八佾篇にも見られます。

29頁をお開きください。5行目です。

 

子曰わく、周は二代に監(かんが)みて、郁郁乎(いくいくこ)として文なるかな。吾は周に従わん。

八佾第三   仮名論語295行目です。

伊與田覺先生の解釈です。

先師が言われた。「周は夏殷を手本として、すばらしい文化を創造した。私は、周の文化に従いたい」

 

「周は二代に監みて」・・・周は夏・殷二代を鑑(かがみ)として、「郁郁乎として文なるかな」・・・いかにも郁郁乎として文化的だ。「吾は周に従わん」・・・自分は周に従おう。

 孔子が周と言った場合には、文王・武王・そして武王の弟周公旦、この三人の人物を残した結晶として見ていたと言ってよいでしょう。

 ところで文王のよい家臣十人とは、周公旦、召公奭(しょうこうせき)、太公望呂尚(たいこうぼうろしょう)、畢公(ひっこう)、栄公(えいこう)、太顚(たいてん)、閎夭(こうよう)、散宜生(さんぎせい)、南宮适(なんきゅうかつ)、そして武王には母にあたる文王の妻太姒(たいじ)だと言われています。

ここに出てくる南宮适と憲問篇に出てくる南宮适とは同名異人ということになるでしょう。

 

つづく

                                                                         宮 武 清 寛

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