私たちは、極めて「成長（グローイングアップ）」している（多重知能における何らかの知能が高度に発達している）けれど、少しも「目覚め（アウェイク）」ていない（少しも「悟り」を得ていない）という人々をたくさん生み出してきたのです。
他方、私たち人類は、「目覚め」や「悟り」は得ているけれど、他のさまざまな領域においてかなり未成熟であるという人々も生み出してきました。
真に包括的で、欠けたものがなく、本当の意味で全ての領域にわたって成熟した人間ーそんな人間を生み出すための実践方法を知らなかったのです。
ケン・ウィルバー
現在も調査や研究が進められていますが、人間の成長や発達には、少なくとも2つの種類があり、それらは非常に異なる性格のものであることが明らかにされています。
このことが意味するのは、精神的／霊的（スピリチュアル）な領域への関わり方にも、大きく異なる2種類のものがあるということです。
奇妙なことに、この2つのうちの片方は、ごく最近になってようやく発見されたものであるため、この2種類の成長を「両方」含んだ道は、今まで1度も生まれることがありませんでした。
これから見ていくように、本書では、成長を目指すこの2種類のアプローチをそれぞれ「グローイング・アップ」（成長）の道と「ウェイキング・アップ」（目覚め）の道であると呼びます。
そして、同じくこれから見ていくように、この両方のアプローチを結びつけたアプローチは、世界中のどこにも1度も生まれたことがなかったために、言うなれば欠陥を抱えた人間たちが、人類の歴史全体を形づくってきたのです。
私たち人類は、どちらか片方の成長だけに焦点を当てて、他方については、基本的に腐るがままにしてきたのです。
言い換えれば、私たちは、極めて「成長（グローイングアップ）」している（多重知能における何らかの知能が高度に発達している）けれど、少しも「目覚め（アウェイク）」ていない（少しも「悟り」を得ていない）という人々をたくさん生み出してきたのです。
伝統によっては、このような悟りのことを、「究極のアイデンティティ」の実現であると呼ぶこともあります。
そこでは、個としての自分が、全世界、全宇宙、全生命と文字通りひとつであることが体験されるのです。
もし、みなさんがこうした話を聞いて「ちょっとついていけないなあ」と感じても、どうかもう少しだけ我慢して、この話に少しでも意味を与えられないか、考えてみてください。
こうした悟りを自分自身で体験してみたいとは思いませんか？
実際、本書の目的のひとつは、こうした体験が、自分にとってどんな意味をもちうるのかを効果的に理解するということなのです。
他方、私たち人類は、「目覚め」や「悟り」は得ているけれど、他のさまざまな領域においてかなり未成熟であるという人々も生み出してきました。
例えば、性ー心理の領域においてひどく未熟である（それゆえに、自分の生徒の弱みに付け込んで性的な関係を持とうとする）かもしれませんし、道徳の領域においてあまり発達していない（例えば、ナチス党員の多くはヨガや瞑想に熟達していました）かもしれません。
性差別主義者（セクシスト）や人種差別主義者（レイシスト）であるかもしれませんし、同性愛嫌悪（ホモフォビア）や外国人嫌悪（ゼノフォビア）の傾向があるかもしれません。
権威主義的であるかもしれません、厳格な階級主義者であるかもしれません。
こうした人たちは、確かに「世界とひとつ」になっているのかもしれませんが、その世界の中で生きていく能力が未熟なままなのです。
ときに、機能不全を起こしていたり、病理的であったりすることさえあります。
にもかかわらず、私たちは、これまで一度たりとも、ウェイキング・アップ（目覚め）の道（自分自身の究極のアイデンティティに目覚める）とグローイング・アップ（成長）の道（普段の生活という面において、自分の多重知能の全てを最大限に成熟させる）の両方に取り組むことのできる本格的な実践体系を手にしたことがありませんでした。
言い換えれば、部分的であったり、断片的であったりせず、真に包括的で、欠けたものがなく、本当の意味で全ての領域にわたって成熟した人間
ーーーそんな人間を生み出すための実践方法を知らなかったのです。
その結果、文字通り半端な人間だけが生み出されてきました。
ケン・ウィルバー『インテグラル理論を体感する 総合的成長のためのマインドフルネス論』より一部引用
英語ですが日本語字幕を入れるとなんとなく理解が出来ます。
画面をクリックすると出てくる歯車みたいなマークをクリック→字幕→自動翻訳→日本語を選びます。
シャンタンさんが生前おっしゃっていました
。
「今生きている目覚めた人につながることはとても大事だよ。肉体を持っている人のエネルギーは天に還った人とはちがうからねぇぇぇ」と。
貫井投稿