花 252 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

オレンジくんは、オレンジくん本体だけでなく、オレンジくんの葉っぱにも何かがある。





さすがにあの、葉っぱを見たときの森田さんの反応は過剰反応だと思うが、常にあちこちに、こんなところにまで?というところに落ちていることや、オレンジくんの感情を表すように葉の色や形状が変化していること、一瞬で俺の足元一面に現れ、そして消えたことなどを踏まえると、何かあると思った方がいいのだと思う。


だから雅紀とは筆談ならぬスマホ談。


あの葉っぱは本当に、色んなところに落ちているから。


あの葉っぱが想像する、想像をこえる葉っぱだった時のために。





もちろん今でも頭の片隅にないわけじゃない。


オレンジくんにはただのオレンジの木だろ。という思いが。





けど、なんだよ。


だけども、なんだよ。





ただのオレンジならそれでいい。それに越したことはない。それなら万々歳。





けど、ただのオレンジじゃなく、もし俺の命を狙うオレンジなら。





目の前で宇宙人なんか見ちゃうとな、そんなこともあるかもしれないって思うんだよ。


だって本当に宇宙人が居るぐらいなのだから、他の何があったっておかしくはない。





この世に真理なんか存在しないのだ。


あるのは目の前の真実だけなのだ。





宇宙人が存在し、動くオレンジの木が存在しているのだ。


あり得ないがあったのだ。


だからあり得ないはあるのだよ。あるものなのだ。





雅紀に連れられて病院に行き、手足を消毒されガーゼを貼られた。


そして数日間は毎日消毒に来て下さいと言われた。





消毒が痛すぎて涙が出た。


頑張ったね、しょーちゃんって、雅紀が帰りにコンビニでカフェラテを買ってくれた。





でも、フィナンシェを買うのは、今日は諦めた。


俺のズボンが破れている上にあちこちに血がついていて、お店に入るのが憚られたため。


明後日森田さんのところに行ったら買おうと約束をして、俺たちはソイ御殿に戻った。










「にいちゃん、大丈夫か?今日はどないしたん。あんままーくんに心配かけたらあかんで?」
「あ、はい。すみません。雅紀を大学まで送って頂き、ありがとうございました」
「うわ、櫻井さんその足‼︎だいぶ派手に行きましたね」
「ええ、だいぶ派手にやっちゃいました」
「櫻井さん、そろそろお祓い行った方がいいんじゃない?」
「………え」
「え?」
「お、お祓い?」
「お祓い」
「そういうこと言うたるなよ、松潤。にいちゃんがびびってまうやろ」
「そうだよ、松潤。しょーちゃんの小心がもっと縮むじゃん」
「………え」
「ん?」
「ぶふっ………」
「まーくん、それはちょっとひどくない?」
「え?そう?」
「………俺、そんなお祓いした方がいいぐらいヤバい小心者ですか?」
「にいちゃん‼︎ちゃうちゃう‼︎ちゃうで‼︎しっかりしぃや‼︎色々まざってんで‼︎」
「そうですよ。櫻井さん気を確かに」
「え?どうしたの?しょーちゃん」
「お祓い行くなら紹介するから」
「ちょっと黙り、松潤‼︎」
「行くならオレ、一緒に行くよ?しょーちゃん」
「まーくん‼︎」





お祓いだの小心が縮むだの、何やらひどい言われようのもちであるが、何かちょっと久しぶりなこの感じ。





かいよう病発生から横山さんと松本さんがあまり来れなくなって、静かなことが増えていたソイ御殿がぎゃいぎゃいぎゃい。





やっぱりソイ御殿はこうでないと。





って言っても、まだかいよう病警戒期間中だから、きっと今日は特別。


きっとこの前の、パワハラ上司と同じ。


俺のせい。





いや、俺のため、だ。


………俺の。





「ご心配をおかけしてすみませんでした」
「ええねん、ええねん。にいちゃんが無事ならそんで。なあ?」
「足は痛そうですけどね………」
「あ、ちなみに手もあります」
「うわ、ほんまや。どんなコケ方したらそんななんねん」
「えーと………全力で走って全力で躓いて、一瞬宙に浮きました」
「まじか」
「まじです」
「うわぁ………」
「櫻井さん、ここ。この神社とかどうですか?」
「………え?」
「ほんまに行かせる気や、松潤」
「………俺そんなにおかしいですか?」
「いやいやいや‼︎ちょっ………そんな泣きそうな顔しないで‼︎ほら、こういうのが気持ちの切り替わるきっかけになるかもだし‼︎」
「ほんまかいな」
「うわー、松本さんが櫻井さん泣かせたー」
「ちがっ………。ヨコ‼︎俊介‼︎」
「明日行ってみようか、しょーちゃん」
「………え?」
「謎にまーくんノリノリだし」
「………やっぱり俺は、お祓いした方がいいぐらいヤバい小心者………」
「にいちゃんちゃうて‼︎色々ちゃうで⁉︎」





おかしい。





信じられないことがたくさんあって、恐怖でいっぱいだったはずの今日なのに。


なのに俺は今、気づくとしっかり、通常モードに戻っていた。




持つべきは仲間。





そんな風に思ってもいいだろうか。





結局その日は遅くまで、5人でぎゃいぎゃいぎゃいぎゃいと、賑やかに過ごした。









ついふざけてしまう💧

昨日はたくさんの米🌾ありがとうございました🌾