花 214 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

はああああああああああ♡





幸せである。


実にものすごく、いや、至極幸せである。極みに至るほどに幸せである。





農業という仕事柄、あまり関係のない今日は12月30日。大晦日前日。


明日明後日の休みを確保したいらしい風間さんの、超高速タイピング音が響くここはリーフシード事務所。


そこで、すっかり俺の仕事になった納品書整理をしながら、のんきにそんなことを思う俺である。





壁には安田デザイン事務所社長兼マタギの安田さんから頂いた、我が社の社訓掛け軸が新たな仲間となり掛かっていらっしゃる。


もちろん社訓とは『ご飯を食べたらう◯こが出る』だ。


横山さんが雅紀の誕生日に禁止令が出ていた電話をしてきたのは、安田さんからこの掛け軸を預かったからだそうだ。





横山さんはこの達筆で書かれた書の掛け軸を見て爆笑、風間さんと松本さんが呆れに呆れたそれを眺めては、ほうっと幸せに浸る俺。





忙しそうな風間さんの前で少々申し訳ないが、俺は今、毎日が驚くほど穏やかで楽しくて幸せって浸っているのである。


だって………。





だってな?





まず、独り身だった俺にコイビトができたことが大きい。





ん?コイビトと言ってもいいのか?





まあ、名称は何でもいい。俺にとてつもなく愛しい存在ができた。これを幸せと言わず何を幸せと言うか。





愛しい存在とは、もちろん雅紀である。





これが俺的に大きい。ものすごく大きい。最も大きい。





しかもコイビト、愛しい存在と言っても、若かりし頃のようなふわふわきゃっきゃしているだけの存在ではない。


何というか、人生のパートナーとでも言ったらいいのか。


支え支えられ、尊敬も切磋琢磨もできる、そんな相手だ。………と、思いたい。思ってもいいよね?ね??





ああ、いや、もちろん、ふわふわきゃっきゃもしている。


何たって久しぶりにできたそんな相手だし、まだまだこの関係は始まったばかり。


ふたりきりのときに超絶甘々になることだってちゃんとある。


最後まではまだ致していないが、かなり、相当なことだって雅紀に求められるがままに結構な頻度でしているし、最後まで致すために雅紀の身体をえろえろっと開発中でもある。





だがしかし。


駄菓子菓子。


下ネタ中に出したくないよ高橋隆。





それだけではないということだ。





そんな雅紀のおかげで、俺のメンタルは随分安定した。


二宮メンタルクリニックの二宮先生にもいいですねと言われているほどに。





ただ、ここで調子に乗ってはいけない。


二度のメンタルやられを甘く見てはいけない。





ということで仕事はセーブモードのまま。


大学の仕事はもう少し休むことになっていて、リーフシードでの仕事も、相変わらずの雅紀へのキスと(キスだけで終わらないことも増えたが)こういう軽作業が主。





メンタルが安定してきたおかげで、うなされることも随分減った。


よって朝まで眠れることも増えた。


眠れるからさらにメンタルは安定し、安定するからまた眠れる。





毎日完全にとまでは言えないけれど、一時期を思うとこの短期間でよくぞここまでと言えるぐらい調子は良くなって来ている。


良きことだ。嬉しいことだ。





元上司への余計な心配がなくなったのもまたひとつの要因だ。のほほんの。安定の。





元上司については風間さんに何もかもすべて任せている。


風間さんが『もう二度とアノ人が櫻井さんにちょっかいを出すことはないので、安心してください』と言ってくれたから、俺はかなり本気で安心していたりする。


雅紀も横山さんも松本さんも、揃って『じゃあ大丈夫』って言っていることだし。





この安心感が、また俺ののほほんさをいい感じに整えてくれている。





そしてさらにもうひとつが………オレンジくんだ。





はっきり言おう。


俺はオレンジくんを疑っていた。


かなり疑っていた。


オレンジくんには意思があり、知能があるのだと結構本気で思っていた。


オレンジくんは雅紀のことが好きで、俺が邪魔なのだろうと。





恥ずかしい。


実に恥ずかしい。





クリスマス………つまり、雅紀の誕生日翌日。


俺はしばらく振りにハウスに行って、オレンジくんと対面した。





絶対、何かされると思った。





やたら落ちているオレンジくんの葉っぱは盗聴器で、オレンジくんは俺と雅紀のただならぬ関係を知り、嫉妬に狂って何か仕掛けてくるだろう。と。





恥ずかしい。


実に恥ずかしい。





俺ってやっぱメンタル相当やられてたんだな。


そんな妄想をするぐらいだったんだな。





オレンジくんは、オレンジの木だった。





ハウスに行くと聞こえていた声も聞こえなくなった。


やっぱりあの声は幻聴だったのだ。


すべては俺のメンタルがやられていたことによる妄想だったのだ。





疑ってごめん、オレンジくん。





クリスマス以降何度か赴いたときに、俺はオレンジくんに謝った。





オレンジくんの葉っぱは相変わらず不自然にあちこち落ちているけれど、オレンジくんがただの木であると結論付けた俺は、もうそれを見て驚くことも恐怖することもあまりなくなった。


たまにうなされて、その後に見つけるとちょっと驚くし、ひぃってなるが、それは時間が解決してくれると思っている。





そう。


だから平和なのだ。穏やかなのだ。幸せなのだ。俺は今。





いや、不思議なことはあった。





カラスである。





鷹匠の高橋隆さんと鷹のタカアンドトシのおかげでカラスは劇的に減った。


どうやら本当に新人さんの練習場として使っているらしく、山全体のカラスが減ってきていると見て分かる。


それでもしぶとく棲みついているカラスを、安田さんに狩ってもらったところ、しぶとく棲みついていたカラスがカラスではなく、謎の飛行生物?謎の飛行物体だと判明したのだ。





安田さんは不思議がっていたが、まあこの山には普通に宇宙人もいるし、おそらくカラス型のUFOか、カラス型の宇宙人なのだろう。


と、納得している自分がこわい。慣れってこわい。





是非とも二宮先生に報告したかったが、やめておいた。





それからここで再びオレンジくんである。





雅紀が言うには、最近、オレンジくんがおかしいのだとか。


俺には何がどうおかしいのかさっぱり分からないのだが、全体的に何かおかしいらしい。何か感じることがあるらしい。





めちゃくちゃ余談だが、雅紀に聞いたところによると、オレンジ好きな宇宙人くんたちは、何故かオレンジくんのオレンジを食べないらしい。


置いておいてもまったく手をつけないのだとか。


混ぜても器用に避けるのだとか。





何故だろう。ナゾである。





それにしても、オレンジくんは一体どうしてしまったのか。





今日も雅紀はオレンジくんを心配して、オレンジくんにつきっきりである。










月曜日からずーっと毎日今日も明日も明後日も用事があって微塵もゆっくりできないネガティブ

おうちでひとりを満喫したいネガティブしぬネガティブ

予想と違う展開だった方は米ください🌾