花 186 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

ざわざわざわざわ………





木が揺れる音が聞こえる。





薄暗い空。


重い雲。





ざわざわ………ざわざわざわざわ………





冷たい風に、揺れる山。





そしてそこに、その風を切るように裂くように響くカラスたちの鳴き声。





カアアアアアッ………





1羽の鳴き声に、応える何羽ものカラス。





カアアアアアッ………


カアアアアアッ………


カアアアアアッ………





近くで、遠くで、それはエンドレス。





………ここは?





ここは一体、どこだろう。





テンゲン山のようで、テンゲン山ではない。


だって、ソイ御殿がない。ハウスがない。見渡しても。辺りを。


木々の感じは、カラスの感じは、どこからどう見てもテンゲン山なのに。





カアアアアアッ………





鳴いた1羽が、バサバサと近くに降り立った。俺の1メートルほど先に。





そいつは俺の方を見て。そして。





カアアアアアッ………





黒いくちばしを大きく開けて、鳴いた。





その鳴き声の大きさと、鳴いてバサバサと羽を羽ばたかせた身体の大きさに、うわって。





テンゲン山に来るようになってから、カラスがちょっと苦手になった気がする。


特にアレから。





カラスに囲まれて、ジリジリと距離を詰められてから。





バサバサバサバサ………


バサバサバサバサ………





1羽、そしてまた1羽。





俺には脳内映像を現実化する能力でもあるのか。





思い出したあの時を再現するかのように、カラスが俺の近くに飛んで来る。


飛んで来ては鳴き、飛んで来ては鳴く。





カラスは増える。どんどん増える。


逃げようとするとそっちへ。


居ない方に行こうとするとそっちへ。


俺を見透かすように。俺を嘲笑うかのように。





そして俺はついに囲まれた。


完全に、囲まれた。





え、何で。





確かにカラスは賢いらしいが、俺は別に何も。





どうしよう。





どうしたら?





いくら相手が俺より小さいカラスとはいえこの数。





どうしようか考えているうちに、さらにどんどんとどんどんとカラスは増えた。


まだ増えている。増える。


もう20羽以上居るかもしれない。


そしてまだ増える。どんどん増える。


俺を中心に、カラスが。





やばい気がする。これは。





ダッシュで逃げる?


でも、どこへ?





逃げたところで、隠れるところがなければ同じ。





っていうかここどこ。


何で俺は、こんなところにひとり?


雅紀は?


風間さんは?横山さんは?松本さんは?





居ない。


誰も、どこにも。


そしてない。


何も。どこにも。





いるのはカラス。


あるのは木。





だけ。





ドッドッドッドッドッ………


ドッドッドッドッドッ………


バサバサバサバサ………


カアアアアアッ………


カアアアアアッ………


バサバサバサバサ……


ドッドッドッドッドッ………


ドッドッドッドッドッ………





少しでも動いたらやばい気がして、身動きも取れず、どうしていいのかも分からずの膠着。





そこに。


俺の目の前に。





ぼとり





音を立てていきなり落ちてきたのは、人形。





髪が抜け、ひき千切られ、顔が、主に目の部分が無惨につつかれ、腕がもげ、足が向いてはいけない方に向いた、ぼろぼろの。




ひっ………てなりつつも、何とか堪えた。声は。


だって、何がきっかけでこのカラスたちが俺に向かって来るか分からないから。





ドッドッドッドッドッ………


ドッドッドッドッドッ………





心臓がうるさい。


心臓が痛い。





この人形が、5分後の俺だとは思いたくない。





その時。





ザッて地面を踏み締める音が聞こえて、思わず反射的に振り向いた。





その、振り向いたところに。





居た。





全長2メートルもあろうかというグレーの、未知の生命体が。





それは、カラスを蹴散らしながら俺の方に一歩、また一歩と近づき。そして。





ぐぱあああああ………





未知の生命体が、喉………胸?辺りから、身体を大きく、左右に開いた。





シぬ。


喰われる。





「うわあああああああああああっ………」





恐怖でプツンと、意識が途切れた。










『これ』は『それ』じゃないか‼︎って方は米ください🌾


えーと、『花』は相葉さんの映画『それ森』のパロなので、まだ観てない方は観るとより楽しめるかと思います。

って言っても、私も観たの最近だけどね(笑)観ずに書いてたのが逆にすごいやろ←

今ならネトフリ、Amazonのプライムビデオで観られます。アマプラは追加料金無しで観れるしー。

ホラー苦手‼︎こわいの苦手‼︎でも大丈夫。私が観れたんだから大丈夫。

相葉雅紀天才‼︎ってなるから是非(笑)