花 71 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

相葉くん運転の軽トラで、ソイ御殿から出発後、先に病院に寄った。


走ったせいでずんどこが少々復活したのと、雨だからってのとで、お天使自らが何と車で乗せて行ってくれた。





このお天使は顔がこんなにもお天使なのに、見事なハンドル捌きも然り、何て男前なんだろう。


俺が女子ならうっかりほろっと惚れてしまうと本気で思う。





『健一さんとこがいいよ』





ギックリ腰なんてものが初めてで、病院ってどこがいいんだろうって調べるより先に、相葉くんがそう言った。


そこは相葉パパンの同級生がやっているという、ギックリ腰常連パパン御用達の『オカモト整骨院』。





驚くべきことに相葉くんは、教えてくれただけでなく、連れて行ってくれただけでなく、付き添いまでしてくれた。





岡本先生は、本当に『あの』相葉パパンと同級生なの⁉︎


ってぐらいイケメンで、少し長い髪を後ろで縛った、色気ダダ漏れの先生だった。





そしてすごいたまたまなんだけど、岡本先生が相葉くんを見つけて、おう、雅紀。元気か?なんてやり取りもあったり。


親子で整骨院をやってるのかな?


相葉くんと同年代ぐらいの先生の息子さんに、相葉くんは『圭人〜』なんて声をかけたりしていた。





相葉くんも自分から声をかけたりするんだ。なんて思ったのはここだけの話。





そして俺は、ベッドでの診察後、先生にもみもみと電気じりじりをしてもらった。





さすが相葉パパン御用達。





ずんどこがちょっと楽になった気がする。





2日後また来るよう言われて、オカモト整骨院を後にした。





お天使はさらに男前に、大学の研究室の方まで俺を乗せて行ってくれた。


調子に乗って、研究室覗いてく?って聞いたら、今日はいいって。そこは振られたけども。





相葉くんは、行きに比べて増えに増えた荷物もテキパキとおろしてくれて、おうおおうってきゅんきゅんしてた俺に最後、また来るよね?ってちょっと上目遣いに確認してから帰って行かれた。





天使よ。


また来るよね?って何だ。また来るよね?って。





キミは俺に来て欲しいのかい?


キミは俺に会いたいのかい?





くはは。まじで。もうかわいいんだけど、まじで。





天使よ。お天使よ。


もちの心が何かで膨らんでいくのが見えるかい?


俺には見える。見えている。





だがしかし。


駄菓子菓子


たかはしたかしの駄菓子菓子。





この膨らみは、一体何の膨らみなのだろうか。





その後膨らんだもちは、もうスウェットのままでいいやって行った研究室の、3日ぶりの森田さんと大野さんによってしおしおと萎んだ。





研究室に行ったものの、森田さんに今日はいいから帰れって言われて3日ぶりの我が家。マンション。





玄関開けた瞬間思ったよね。





せまっ‼︎


うちせっまっ‼︎





いや、ソイ御殿が広すぎるんだけどね。


ここだって別に一人暮らしするにはそんなゲキせまってわけでもないんだけどね。





けどもだけども思ったよね。


せっまっ‼︎





しんって静かなマンションに、ずっとそれが当たり前だったのに、たった3日で何かものすごく寂しさを感じて。





「あ、二宮先生んとこ電話しよ。んで、ワイシャツ洗ってスラックス干して、もらっちゃった着替えしまって………って、これ本当もらっちゃっていいのかなあ。総額いくらだよ、これ。お礼しっかりしないと。あ、しまった。相葉くんの好きな甘いもの聞くの忘れたー。しまったなあ。横山さんに聞けば良かったあ」





ぶつぶつぶつぶつ。





うるさいぐらいの独り言をぶつぶつ言いながら部屋に入る。





ウソみたいな3日間だったな。


何かめちゃくちゃ楽しかったな。





相葉くんとふたりも何やかんや楽しかったし、風間さん、横山さん、松本さんが来ても楽しかったし。





時計を見たら、病院が混んでいたこともあって、もうすぐお昼だった。





今日もリーフシードでは、にぎやかなお昼休憩なんだろうか。





今朝まで俺もそこにいたのに、今はぽつねんな俺。





「また来るよねって言ってくれたし‼︎」





とりあえず二宮先生のところに電話‼︎って、持ったままだったスウェットやリカバリーウェアが入った紙袋をでんでんって置いて、スマホどこやったっけ?ってあちこちゴソゴソしたときだった。





ひら、はらり





葉っぱが1枚。


床に。





「ん?相葉くんとこからついてきた?」





腰に負担をかけまいと、ぐぬぬって膝をついてぐぬぬって拾ったその葉っぱは。





一体いつどこで拾ってどこに潜んでいたのか。





オレンジの木の、葉っぱだった。