◆アナザーストーリー「ラスベガスVS.MITの天才 全米を騒然とさせた頭脳戦」 | ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

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いつしか食べ歩きがライフワークになってしまった今日この頃。
美味しかった店はもちろん、雰囲気の良かった店を紹介していきます。
2023年12月に外食記事 4000号を達成しました。
ちょこちょこ地域別索引も更新中。
現在、「いいね」返しが出来ません。

▼写真AC:⭐︎AKA⭐︎さん提供のフリー素材


1992年8月26日、アメリカ・ラスベガスを震撼させるギャンブル投資会社が誕生した。

視点1 MIT卒業生ジェームス・マッサーと学生たち


全米屈指の名門校マサチューセッツ工科大学で、学内に募集チラシが貼られた。
「ブラックジャックチームに入って、1万ドル稼ごう」

首謀者のジェームス・マッサーは、MITの卒業生でエンジニア。
エドワード・ソープ著の『ディーラーをやっつけろ』のガイドブックを参考にした。
ルーレットは運任せだが、ブラックジャックは数学理論を武器に、確率から配られたカードから残りのカードを予測することができる。
著者のソープ自身が、実際にカジノに乗り込み、週末2日間だけで投資した10,000ドルを2倍以上にしたとされている。
集まった学生を前にマッサーは説明した。

この必勝法を『カードカウンティング』と言う。
これは違法ではないが、店側は入店拒否する権利がある。
学生たちは、正体がばれたらセキュリティー責任者(警備員)からつまみ出されてしまう。

資本金を集めて多くの学生をカジノに送り込み、多くのリターンを獲得することができる。
授業のない週末、飛行機でボストンからラスベガスへ飛んだ。
カジノ現場は雑音が多い。
さらにドリンクを運ぶ女性店員がウインクしてきたり、ディーラーやセキュリティーが話しかけてきたりする雑念に惑わされずに集中するのが大事。
特訓をパスした10名。
ロシア生まれのセメオンもいた。


木曜日の夕方、ミラージュホテル。
学生は仲間を恋人役として誘い、チャンスが来るまで少額で参加。
プレイヤーが有利な立場になると、決めてあったポーズ。
高額を賭け、ディラーがバーストしため学生の勝利。

儲けが3万ドルを越えた時、セキュリティーが声をかけてきた。
「スイートルームを用意してます」
注意されるのかと思いきや、上得意客に選ばれていた。
部屋代、ルームサービスの食事代もタダ。
こうして、ブラックジャックチームは10万ドルもの大金を手にした。

こうしてマッサーは計画通り大金を手にし、会社として申請した。
しかし、上場する必要は無かった。

視点2 カジノの反撃・カードカウンティを見つけ出せ

ブラックジャックチームは、50人のメンバーを送り込んできた。
プレイヤーはどうしても負けることがある。
大人数を送り込んで、補填する必要があった。
人数を増やすと、プレイヤーの質が劣化し、ボロが出てきた。
セキュリティーは、不審な動きをする者をマークし「砂漠で死体になって見つかるぞ」と脅かした。
学生たちは不振に陥り何週間も誰も勝てなくなり、100万ドルを失った。

さらにマッサーは軍資金12万5000ドルを入れたバッグを大学内に置き忘れた。
大学内の警察に届けられ、何とか取り戻した。
11月ごろ、終わりにしようと仲間に相談した。

作家のリチャード・マンチキンはこう分析した。
「学生たちは、チームにいなくても自分一人で出来る。儲けを分け合う必要がないため、ノウハウを得たメンバーから去って行った」
こうして投資会社は自滅した。

しかしこれで終わりでは無かった。
セメオンたちはそれぞれ少数精鋭のチームを結成。
MGMグランドパレスホテルでは、ボクシングの試合がありセキュリティーの目がそちらに向いていた。

カウントするメンバーと別行動して、合図によりここぞというタイミングで隣の席に座る。
決して会話せず、カウンターが「スイーツ」「フットボウル」などの暗号で、プレイヤーはベットするタイミングを計った。
「スイーツ」は「16」、「フットボウル」は「11」の意味。
監視カメラは音声を記録していなかった。

カジノのセキュリティー:ジェフ・ボイルズ。
セキュリティーの現場責任者であるビットボスを長年務めてきた。
「ネコとネズミによる、追いつ追われつのゲームなんだ」
ジェフは自らカードカウンティングを別のホテルで夜な夜な実践し、プレイヤーの立場になり攻略法を考えた。
ただ、ホテル同士連携することはなかったため、プレイヤーは他のカジノに移れば良かった。
一部のメンバーが去っても、他のメンバーが入れ替わり立ち代わり入って来て、マークが薄くなっていった。

視点3 攻防戦の意外な結末

カジノだけでは手に負えなくなり、探偵(覆面エージェント:グリフィン調査会社)会社に依頼した。

1993年、ディーラーが大負けした時のテーブルのビデオを徹底分析した。
総指揮のボブ・グリフィンは変装を見破り、怪しいメンバーを判別出来、仲間のポーズも読み取った。
メンバーを尾行し、仲間とカフェやレストランと落ち合うまで距離を置いて監視。
本当の身分証明書を提示しなければならないことがあり、本名がわかった。
カジノに電話をかけ、館内放送で本名を呼び出して揺さぶりをかけた。
学生は「見つかった」と感じ、テーブルから立ち去った。
グリフィンが「見えない敵のような存在」の圧力をかけた。

ボブは学生を分析した結果、ある事実に着目した。
彼らの住所はみなケンブリッジ周辺で、学生だと気づき、MITにたどり着いた。
優秀な学生たちはみんな学位を持っていた。
学生だとの報告に、カジノ側は喜ぶどころか怒りが増すばかり。
ボブはブラックジャックチームのマニュアルを入手し、MITからイヤーブック(学生アルバム)を入手した。
クオリティの高い写真が掲載されていた。
それまでカジノの監視カメラの画質の粗い画像しか無かった。
学生の写真を掲載した『グリフィンブック』というブラックリストを作成し、全世界のカジノに配布して、注意喚起することが出来た。

カジノは次々と名簿のメンバーを見つけ、入り口で該当者に声をかけた。
学生たちは賭けをする前に、店から追い返された。
MITブラックジャックチームはラスベガスから一掃された。
天才たちの物語は終わりとなった。


やはり、店側が負けることのないカジノ。
ラスベガスは「眠らない街」「夢の街」として、今も膨張し続けている。
日本がカジノを導入したがる理由が見えてくるようだった。


『オーシャンズ13』の記事はこちら(2021年10月23日)
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http://ameblo.jp/miyacar/entry-12705361880.html

では、明日。