思い出の混ぜ棒 | みやみや珈琲日記

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毎日のコーヒータイムに、ちょっといいことを。

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ありがとうございます😊


こんにちは、みやです。


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先月大阪の実家に帰った時のこと。

「Mちゃん(私)、これいる?」と姉。

「あー、お母さんがよー使うてたやつやね。
 うん、もろて帰る。」

姉から受け取った2本の棒。

それはサイフォンでコーヒーを入れた時に使う
かき混ぜ棒。



私の母方の祖父は
大阪市内で喫茶店を経営していて、
コーヒーの焙煎もやっていたらしい。

母も若い頃、
看板娘として喫茶店で働いていたそうで。

使い込まれた方は
多分、その頃から使っていたかき混ぜ棒だと思われる。
(今度母に聞いてみよう。)

母が家でコーヒーを入れる時、
いつも最後に
その棒でくるっとかき混ぜていた。

でもその母の動作が
実はコーヒーの雑味につながっていたことを知ったのは
私がカフェに勤め出してからで(笑)

母はいつもペーパーフィルターでハンドドリップしていて、
ハンドドリップでは土手を崩さないように入れる方が
クリアなコーヒーに仕上がる。

でも母は最後にぐるっとかき混ぜていて、
土手を完全に壊していて。

若い頃手伝っていた喫茶店では、
多分サイフォンでコーヒーを入れていたんだろうなぁ、と。

きっと癖で
ぐるっとかき混ぜてしまっていたんだろうなぁ、と。

私が実家を出て数年経った頃、
私もそのかき混ぜ棒が欲しくなって、
両親と一緒に大阪の道具屋筋に買いに行った。

かき混ぜ棒はすぐに見つかったが
あまりの安さに父がこう言った。

「これ1本だけ買うのは
 ほんま申し訳ないから2本買っとき。」

さすが商売人。

「そうやね、そうするわー。」と私。

さすが商売人の娘。

結局私は1本持ち帰り、
しばらく使っていたけれど、
カフェに勤め出してから
サイフォン用のかき混ぜ棒だと知った。

家にはサイフォンがなかったから、
当然使わなくなるわけで。

引き出しにしまったままになり、
少し前に捨ててしまった。

そのサイフォンのかき混ぜ棒が2本、
私の手元にやってきた。

どちらにも思い出がある。

さてどうしたものか。

そう言えば、少し前に電動ミルが故障して、
しばらく手挽きのミルを使っている。

手挽きのコーヒーミルは
挽き具合をコーヒープレス用にしているので、
最近は
コーヒープレスでホットコーヒーを入れることが多い。

コーヒープレスは
粉に挽いたコーヒーに
お湯を直接注いでコーヒーを入れる器具。

最後に
コーヒーとお湯をぐるっと混ぜて
4分待てば
おいしいコーヒーはできあがる。

「あー、
 コーヒープレスの時に使うのがいいかも!」

このブログを書きながら思いついた。

コーヒー器具オタクの私は
混ぜ棒のために
電気式のサイフォンを買おうかと考えてしまった(笑)

危ない、危ない。

使い込まれた道具には
新品にはない
何とも言えない味がある。

ストーリーが詰まっている。

祖父も使ったかもしれない。

父との結婚を
祖父に猛反対された時も
母は喫茶店で
この混ぜ棒を使ったかもしれない。

新婚の時に買ったなら
祖父が使ってないかも?

まぁ、いい。

いずれにしても
最愛の父のためのコーヒーを入れる時に
母がずっと使ってきた混ぜ棒。

「最後にこうやって混ぜるんよ。」

実はちょっと違っていたんだけど(笑)
母からコーヒーの入れ方を教わった
思い出の混ぜ棒。

母がいい感じにボケてからは
コーヒーを自分で入れなくなってしまったので、
恐らくここ数年出番がなかったであろう混ぜ棒。

明日から活躍していただこう。

毎朝父に
コーヒーを供えているし。

思い出の詰まった混ぜ棒を
いつか母が
父のもとに旅立つ時に
持たせてあげるのもいいかもしれない。