2021年5月3日(月)

バンテリンドーム ナゴヤ

ベイスターズ 2-1 ドラゴンズ

勝 マイケル・ピープルズ 1勝0敗

S 三嶋一輝 0勝2敗5S

負 梅津晃大 0勝1敗

 

青い目の侍が帰ってきた。

 

昨年苦杯をなめ続けたドラゴンズ戦。

鬼門の名古屋も、何するものぞ。

 

196cm右腕が、恐竜打線を涼しい顔でねじ伏せていく。

 

6回。

打者22人。

92球。

被安打4。

無四球にして無失点の快投。

 

余力を残して、盤石のリリーフ陣にバトンをつないだ。

 

1991年9月5日生まれ。

アメリカ合衆国テキサス州出身の29歳。

 

メジャー経験こそないが、2019年シーズンは3Aで10勝を記録。

2020年、憧れの日本の土を踏んだ。

 

外国人登録枠の関係から一軍とファームを行き来する中、本領発揮とはならなかった。

 

今シーズンも、新型コロナウィルスの影響で来日が遅れた。

 

ファームでも結果は残せなかったが、プロは一軍での勝利が全て。

 

今季初登板で、鮮やかな初勝利。

先発投手陣が早い回で降板する展開が続く中、チームの救世主となった。

 

「とにかくチームに勝つチャンスを与えられるような投球をしようと思っていた」

 

来日できない間は、打撃投手を務めて実戦勘を保つなど難しい環境で努力を重ねてきた。

 

左腕には「武」のタトゥー。

 

愛読書は新渡戸稲造の「武士道」。

 

「自分が思っていた以上に日本の文化が染みついていた」

 

チームメイトも、そして、心の底から声援を送る我らファンも、その勇姿を待っていた。

 

「ドームなので雨の心配はするな」

 

ともに雨男の指揮官からはジョークでマウンドに送り出されていた。

その期待に、十分すぎるぐらいに応えてみせた。

 

反転攻勢が始まった。

 

ここからが、横浜の季節。

 

新たなドラマが、幕を開けた。

 

星空に響け 激しく

魂がうねる音

闘え Warriors

俺達は生きる

勝利の女神 抱くため

情熱の火よ

我が道を照らせ

Wow wow wow BAYSTARS

勇者の遺伝子(DeNA)

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号45。

マイケル・ピープルズ。

 

Better to be a dead lion than a living dog

日本で活躍するために、死ぬ気で戦う。

 

I☆YOKOHAMA

今こそ、横浜一心。

 

2021年5月2日(日)

横浜スタジアム

ベイスターズ 8-7 スワローズ

勝 山﨑康晃 2勝1敗

S 三嶋一輝 0勝2敗4S

負 清水昇 0勝2敗1S

 

もつれにもつれた試合の決着をつけたのは、背番号1だった。

 

7-7の8回裏。

「手応えはありました。あとは風と、ファンの皆さんの応援が後押ししてくれたと思います」

 

鋭く振り抜いた打球は、熱き星たちの待つライトスタンド最前列へ一直線。

 

彼は誇らしげにダイヤモンドを一周した。

 

この前の打席で、チャンスで併殺に倒れていた。

その直後、チームは同点に追いつかれていた。

 

「今までの僕なら取り返してやろうという気持ちになった。でも今は一回一回割り切れている」

 

大復活を果たしたガッツマンが、今季初の本拠地でのカード勝ち越しを決めた。

 

1993年7月21日生まれ。

大阪府和泉市出身の27歳。

 

2011年ドラフト4位で入団。

新生DeNAベイスターズの一期生でもある。

 

2016年からレギュラーに定着。

2017年には全試合出場。月間MVPやゴールデングラブ賞も獲得。

19年ぶり日本シリーズ進出のリードオフマンとなった。

そして、背番号を1を与えられた。

 

ここからが、試練の始まりだった。

 

看板選手としての重圧。

有望な新人選手の入団。

他球団からのマークもきつくなる。

 

気がつけば、レギュラーではなくなっていた。

ファームに降格されたこともあった。

 

「実績にあぐらをかいていたところもあったかもしれません」

 

10年目を迎えた今シーズン。

内野手との兼務との打診もあったが、外野一本で勝負することを決めた。

 

そして、3年ぶりに「1番センター」の開幕スタメンを勝ち取った。

 

「試合に出ていなくても盛り上げてくれる選手。チームにとっても大きかった」

 

指揮官の信頼も熱い、チームの元気印だ。

 

狂い続けてきた歯車がかみ合ってきた。

 

「勝利を呼ぶ男」が、5月攻勢の先陣を切る。

 

横浜の熱い季節が、始まった。

 

今だクワ喰らいつけ

燃えろガッツマン

突っ走れどこまでも

勝利を呼ぶ男

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号1。

桑原将志。

 

GOOD TEAMMATES

チームのためにベストを尽くす。

 

I☆YOKOHAMA

今こそ、横浜一心。

 

2021年5月1日(土)

横浜スタジアム

ベイスターズ 10-2 スワローズ

勝 エドウィン・エスコバー 1勝0敗

負 高梨裕稔 2勝1敗

 

 

雨は上がり、虹が架かったスタジアム。

試合を決めたのは、背番号5の一振りだった。

 

ふがいない闘いが続いていた本拠地に、およそ一ヶ月ぶりに歓喜の輪が広がった。

 

同点の6回裏。

相手のエラーでもらったノーアウト満塁のチャンスは、2者連続三振で途切れそうになっていた。

 

ハマスタに響く「勝手にシンドバット」。

 

茅ヶ崎が生んだ国民的グループのデビュー曲に乗って、この男が打席に向かう。

 

「チャンスだったので、初球からいくぞと決めていました」

 

鋭く振り抜いた打球はセンター前へ。

 

決勝打を放った背番号5は、ベンチに満面の笑みでガッツポーズを作った。

 

「2アウトになって嫌な空気の中、よく打ってくれた。あれで流れが一気にきた」

指揮官も激賞する一打だった。

 

昨シーズン復活を果たした彼は、プロになって初めて地元の球場を貸し切って学生時代の仲間らと自主トレに励んだ。

 

そこに毎日のように妹の美穂さんが訪れ、サポートをしてくれていた。

 

彼女は日立製作所のソフトボール部の選手を、昨年で引退していた。

 

「本当にありがたかったですね。妹に喜んでもらえるような活躍をしないと」

 

悪夢のような4月は過ぎ去った。

新しい月が始まった。

 

「選手全員、スタッフ全員、そしてファンの皆さんも諦めていないと思うので、前を向いて頑張っていきたいと思います!」

 

これからが、横浜の季節だ。

かっとばせ 見せろ男意気

さあ打つぞ 勝利へ導け

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号5。

倉本寿彦。

 

PLAY FROM THE HEART

心こそ大切なれ。

 

I☆YOKOHAMA

今こそ、横浜一心。

 

2021年4月27日(火)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島

ベイスターズ 1-10 カープ

勝 森下暢仁 3勝2敗

負 大貫晋一 1勝2敗

 

 

厳しい闘いが続いている。

そして、今宵も辛い光景が繰り広げられた。

 

最下位にあえぐチームにあって、頼みの綱だった昨年の10勝投手・大貫晋一がカープ打線の餌食に。

まさかの3回途中7失点のノックアウト。

 

苦悩にあえぐ右腕に、一人の男がマウンドに声をかけに行った。

 

彼もまた、苦悩の淵から這い上がってきた選手だ。

 

1991年1月7日生まれ。

神奈川県茅ヶ崎市出身の31歳。

 

湘南の野球少年の憧れは、石井琢朗。

 

「石井さんのような選手になりたい。そして横浜スタジアムで活躍したい」

 

ハマのリードオフマンに魅了された彼は、名門・横浜高校に入学。

 

1学年下の筒香嘉智らとともに甲子園の土を踏み、全国ベスト4。

 

東京新大学野球の強豪・創価大学へ進学。

 

心で勝て

次に技で勝て

 

故に

練習は実践

実践は練習

 

同級生の小川泰弘(現・スワローズ)らとともに神宮の大学選手権に出場し、全国ベスト4。

 

キャプテンとして活躍した彼は、エース小川とともにプロ志望届を提出。

 

だが、指名は叶わなかった。

 

「もう一度、原点に戻ってやり直す」

 

捲土重来を期し、関西社会人野球の雄・日本新薬へ就職。

 

南海ホークス等で活躍した門田博光に師事し、打撃開眼。

 

再度、ドラフト指名候補となった。

 

「強打の内野手が欲しかった」

 

中畑清監督の強い意向から、2014年ドラフトで3位指名を受けた。

 

「背番号5空いてるぞ」

 

この年のドラフトは、1位亜細亜大学のエース山﨑康晃(背番号19)。2位が法政大学のサウスポー石田健大(背番号14)。

 

そして、森本稀哲が前年に退団していたことから、背番号5を彼は背負うことになった。

 

「やっと、この番号にふさわしい選手が出てきてくれた」

 

当時、カープのコーチをしていた石井も喜びを隠さなかった。

 

ルーキーイヤーから、ショートの定位置を獲得。

2017年にはチームとしてはその石井以来のフルイニング出場を果たし、19年ぶり日本シリーズ進出の原

動力となった。

 

翌年、タイガースから球界屈指の守備職人・大和がフリーエジェントで加入。

 

本職ではないセカンド守備にも戸惑い、スタメン落ち。

その不調は翌年まで続いた。

 

ファーム暮らしの長いシーズンにあって、改めて自分自身を見つめ直す。

 

そしてコロナ渦の2020年には、代打や守備固めからチャンスを活かし、今一度一軍の舞台に戻ってきた。

自身初の満塁ホームランも記録している。

 

この年のオフ、球団生え抜き最年長野手の石川雄洋が退団。

 

「チャンスはあるから頑張れよ」

 

横浜高校の4学年の先輩からからかけられた言葉を胸に、背番号5は復活を果たした。

 

栄冠掴むその日まで

恐れず飛び込めベースへ

 

大量ビハインドで出場した時でも見せたヘッドスライディングは、ファンの語りぐさ。

 

背番号5も、しばしばヘッドスライディングでナインを鼓舞する。

 

熱い心の初代キャプテンから、言葉では表せない財産も引き継いだ。

 

看板選手のフリーエジェント移籍。

外国人選手抜きでのスタート。

主力選手の故障。

 

シーズン前から、不安な要素は指摘されてきた。

 

だが、ここまで苦戦するとは誰が予想しただろうか。

 

闘いは続いていく。

やり返すチャンスは、いくらでもある。

 

このチームにはその力があるはずだ。

 

そして、我らは声援を送り続ける。

 

 

かっとばせ 見せろ男意気

さあ打つぞ 勝利へ導け

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号5。

倉本寿彦。

 

PLAY FROM THE HEART

心で勝て。

 

今こそ、横浜一心。




2021年4月6日(火)

バンテリンドームナゴヤ

ベイスターズ 7-3 ドラゴンズ

勝 大貫晋一 1勝0敗

負 大野雄大 0勝1敗

 

「チャンスは絶対来ると思っていた。先発の大貫が頑張っていた。大学の後輩の牧にも負けたくない思いもあります」

 

鬼門のナゴヤ。

天敵の沢村賞左腕 大野雄大。

 

それは昨年までの話。

 

チームを勝利に導く満塁弾は人生初の一撃。

 

「毎日できることをやっていこうと思っていました」

 

ヒーローインタビューで、背番号8は誇らしげに語った。

 

1994年1月17日生まれ。

沖縄県島尻郡出身の27歳。

 

糸満高校、中央大学、日本生命を経て、2017年ドラフト2位で入団。

 

ルーキーイヤーからチームの中心選手となり、活躍してきた。

 

昨年もその活躍を期待されていた。

 

だが結果を残すことが出来ず、先輩の梶谷隆幸にレギュラーポジションを奪い返されてしまう。

 

その中でも這い上がり、結果を残してきた。

 

シーズン最終戦では、試合を決めるサヨナラ打も放つ。

 

新たな時代の幕開けを予感させる一撃だった。

 

2021年シーズン。

開幕スタメンからは外れてしまった。

 

代打を中心に活躍する中で、開幕9戦目にして初スタメン。

先制ホームランと、守備でのスーパープレイで、チームを初勝利に導いた。

 

キャプテン佐野恵太は、入団時から彼を兄のように慕ってきた。

彼も佐野のことを自分の車に乗せて球場入りしてきた。

 

様々語り合いながら、チームを牽引してきた。

 

走攻守すべてにチームトップクラス。

 

そして、ここぞの所での勝負強さ。

 

琉球の風に乗った「島人の星」の本領発揮の時が来た。

 

横浜の熱い季節が始まる。

 

琉球の波に乗って

潮風を背に受け

冴えわたる神業

オーーー島人の星

イーヤーサーサー!神里!

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号8。

神里和毅。

 

EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT.

何とかなる事ではなく何とかなる努力をする。

 

横浜一心。





2021年4月4日(日)

横浜スタジアム

ベイスターズ 3-1 カープ

勝 阪口皓亮1勝0敗

S 三嶋一輝 0勝1敗1S

負 野村祐輔 0勝1敗

 

夜明けの来ない夜はない。

出口のないトンネルもない。

 

執念の粘りで追いついたゲームでサヨナラ負けを喫した開幕戦から9日間。

 

2引き分けを挟んで6連敗。

 

その中でも、指揮官は選手たちを責めることはなかった。

 

「悔しいです。すべて監督の責任です」

 

なんと懐の深い男なのだろうか。

 

「172勝したことよりも、184敗したことを私は評価している」

 

1998年日本一監督の権藤博は、彼を評してこう語った。

 

栄光よりも、逆境の乗り越えてきたこそがハマの番長の勲章。

 

苦しい苦しい闘いの中で、昨年のファーム監督時代に手塩にかけた若武者に、新生ベイスターズの初勝利が記録された。

 

1999年8月15日生まれ。

大阪市大正区出身の21歳。

 

北海高校から2017年ドラフト3位で入団。

 

身長186cmの長身から将来のエース候補と期待され、背番号12が与えられた。

 

この3年間、一軍では未勝利。

 

オープン戦では結果を出したが、無念のファームスタート。

だが、主力選手のアクシデントでチャンスが巡ってきた。

 

7番目の先発投手としてハマスタのマウンドに向かった。

 

5回。

打者21人。

112球。

奪三振3。

 

無失点でカープ打線を抑え、先輩たちにマウンドを託した。

 

リリーフ陣は度重なるピンチを最少失点で切り抜けて、チームはシーズン初勝利。

 

守護神三嶋一輝は、ウイニングボールを指揮官に手渡す。

 

指揮官はためらうことなく、笑顔でそのボールを背番号12に託した。

 

人生初のヒーローインタビュー。

 

「これからはツイッターで、『横浜優勝』がトレンドになるように頑張ります!」

 

倒れても、倒れても、立ち上がる。

 

やられたら、やり返せ!

 

これぞ、横浜魂。

今こそ、横浜一心。

 

闘いは始まったばかり。

 

横浜の新しい季節が始まった。

 

たたかうぞ

闘志みなぎらせて

勝利の海

行くぞベイスターズ

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号12。

阪口皓亮(こうすけ)。

 

INDEFATIGABILITY.

百折不撓。

 

横浜一心。

 

2021年3月26日(金)
ベイスターズ 7-8x ジャイアンツ
勝 中川皓太 1勝0敗
負 三嶋一輝 0勝1敗


横浜DeNAベイスターズ10年目の闘いが幕を開けた。

舞台は東京ドーム。
相対するは昨年の覇者ジャイアンツ。

初回から3点のビハインドを背負ってしまった。

だが、選手たちは必死に喰らいついていく。
すぐさま、反転攻勢。
その口火を切ったのは、今年からベイスターズの一員となったこの男だった。

1993年8月18日生まれ。
神奈川県厚木市出身の27歳。

東海大学付属相模高校、東海大学、日立製作所を経て、2017年ドラフト5位でジャイアンツに入団。

背番号はカープで活躍する兄の入団時と同じ63。
走攻守にバランスの取れた内野手として活躍。

その活躍から2年目のシーズンからは背番号51を与えられた。

しかし巨大戦力のチームにあって、出場機会が限られていく。

転機は突然やってくる。

2020年12月18日。
フリーエージェントで移籍した梶谷隆幸の人的補償選手として、ベイスターズへの入団が発表された。

「野球をやることに変わりはない」

揺れる心を新天地での決意に変えた。

オープン戦ではなかなか結果を出せずにいた。
最終盤で本来の力を発揮して、開幕スタメンを勝ち取った。

「攻めていけ!」

新指揮官の号令に、結果を出したのは彼だった。

2回表の初打席。
相対するは大学の先輩にして球界を代表する投手 菅野智之。

ノーアウト満塁のチャンスで犠牲フライ。
反撃の口火を切った。

7回表にはタイムリーヒット。

9回表には、大学の同級生 中川皓太から試合を降り出しに戻す同点打を放つ。

開幕戦での6打点は球団新記録。
レオン・リー、カルロス・ポンセ、筒香嘉智の持つ記録を塗り替えた。

最後の最後まで諦めない。
最後の最後まで闘い抜く。

守護神三嶋一輝が打たれ勝利は逃した。

「悔しい。これからも全員で戦っていくしかない」

新指揮官の初陣は飾れなかった。

25年間で172勝184敗。

豪速球があったわけでもない。
絶対的な変化球があったわけでもない。

打てるもんなら打ってみろ。

その心意気で戦い抜いてきた

「環境が変わるのをチャンスと捉え、チームのために貢献できるように頑張りたい」

期待に応えた背番号38が、新生横浜の主役に躍り出ようとしている。

闘いは始まった。

やられたら、やり返せ!

並みいる 敵をなぎ倒し
派手に決めろ 大舞台
新たな未来 切り開け
晴れ渡る 明日へと

横浜DeNAベイスターズ。
背番号38。
田中俊太。

WHERE THERE IS A WILL, THERE IS A WAY.
どんな場所、新天地でも強い意志でやっていくと言う気持ち

横浜一心。

 

【読書記録】

いつの空にも星が出ていた

佐藤多佳子

 

「幸せだった。好きなチームと共にいる喜びは、言葉では説明できないものだ。日本一の頂上決戦の場で、息もできないようなぎりぎりの空気を共有している」

 

「だって、横浜は横浜だ。ベイスターズは横浜だ。どうしたって横浜じゃないか」

 

「本当に好きなものの話は、本当に好きな相手としか、本当にはできないものだ」

 

「119球投げて、10点取られて、7回までマウンドにいられる。それを監督が、チームメイトが、ファンが許すんだ。そんな投手は後にも先にもいねえよ」

 

「青かった。青かったよ。真っ青だったよ、ドームが青かったんだよ!」

 

「あの日、息子と一緒にスタジアムに行けて、幸せだって思えた」

 

1984年10月の神宮球場。

ガラガラのレフトスタンド。

 

万年最下位、横浜大洋銀行とまで言われたチームの37年ぶりの優勝争いに、38年ぶりの日本一。

 

閑古鳥の鳴く横浜スタジアム。

出口の見えないトンネルを歩き続けるような暗黒の2000年代。

 

得体の知れない新興IT企業への球団売却。

12球団最後のクライマックスシリーズ進出。

そして、史上最大の下克上を果たして絶対王者に挑んだ19年ぶりの頂上決戦。

 

誰にも想像できないドラマを演じ続けてきたチームとファンの珠玉の物語。

 

明日が見えない苦難の中でも。

空を見上げれば、星が出ている。

希望は輝き続ける。

 

球春到来。

新たなドラマは、まもなく始まる。

2020年11月14日(土)

横浜スタジアム

ベイスターズ 5x-4 ジャイアンツ

勝 三嶋一輝 3勝1敗18S

負 田口麗斗 5勝7敗1S

 

神里和毅が強く振り抜いた打球が、左中間に飛んでいく。

 

両リーグ通じて最後の2020年公式戦は、鮮やかなサヨナラ劇で決着。

そして、ベイスターズの歴史が一つの終わりを迎えた瞬間でもあった。

 

開幕前は優勝候補の一角にもなっていた。

本気で優勝を狙えるチームだった。

 

だが、その夢は叶わなかった。

 

終了後にはシーズン終了のセレモニー。

激動の2020年シーズンを皆で振り返った。

 

世界を襲った新型コロナウィルスの影響から、開幕が延期。

ありとあらゆるものが、制限された。

当たり前の日常が、奪われていった。

 

そして、無観客試合でシーズンはスタート。

 

様々な工夫と努力を積み重ねて、少しづつ観客が戻ってきた。

熱と力がハマスタに蘇ってきた。

 

首位まであとわずかに迫った時期もあった。

だが、頂点を手にすることはできなかった。

 

優勝を義務づけられた指揮官は辞任を表明。

この日のハマスタが、5年間のラストゲーム。

 

「必ず10勝できる力がある。右の先発の柱になる」

平良拳太郎は、5回1失点の力投。

 

小さな大魔神・山﨑康晃は、約束通り一軍のマウンドに帰ってきた。

 

プロ8年目にして初勝利を記録した平田真吾は、シーズンを通してタフな場面を投げ抜いた。

 

選手会長の石田健大は、味方のエラーにも動じることなく今日も仕事を成し遂げた。

 

豪腕で強打者をねじ伏せてきたルーキー伊勢大夢。

シーズン終盤に一軍のブルペンに戻った砂田毅樹からつながれたバトンは、新守護神の三嶋一輝に託された。

 

背番号17の圧巻のピッチングが、逆転サヨナラ劇を呼び込んでいった。

 

サヨナラ劇の歓喜の後のセレモニーでは、首位打者を獲得したキャプテンが挨拶に立った。

 

「初めてタイトル獲得をできたことは素直にうれしいですが、終盤はけがで出場することができずに悔しい思いをしました」

 

だが、新キャプテンのここまでの活躍を誰が予想し得ただろう。

 

「5年間監督をした中で、一番ベストな決断が彼を4番キャプテンにしたこと。まさか首位打者を取るとは」

 

決断を下した指揮官すらも驚く大活躍だった。

 

セレモニー後には球場を一周。

ファンに感謝の思いを伝えていく。

 

シーズン終盤で一軍に復帰してきた伊藤光が、応援タオルを掲げて参加していた。

 

石川雄洋。

横浜高校出身にしてプロ16年目の生え抜きのベテラン。

 

チームの一番辛い時期に入団し、レギュラーを勝ち取っていった。

 

球団売却で明日をも知れぬ中、DeNAベイスターズの初代キャプテンに就任。

 

決して雄弁ではない。

だが、その熱き血潮でチームを牽引していった。

 

そしてベイスターズは、本気で優勝を争えるチームに成長していった。

 

だが、今シーズンは一軍で戦うチャンスがなかった。

そして、戦力外通告。

 

このままでは終われない。

彼は現役続行を目指し、退団することになった。

 

その思いを、その魂を、タオルとサインに託し、ファームで長い時間を共にした伊藤光がファンに届けた。

 

栄冠掴むその日まで

恐れず飛び込めベースへ

君の熱き血潮で

燃えろ雄洋

 

チームを去る彼の望みは、もう一つかなえられた。

長年親しんだ背番号7が、現キャプテンに託されたのだ。

 

カルロス・ポンセ。

鈴木尚典。

仁志敏久。

そして、石川雄洋。

栄光の系譜に、新たな名前が刻まれる。

 

「来シーズンは全試合出場を目標に、チームの勝利に貢献できる打席を1つでも増やしていけるよう、これからも挑戦する気持ちを忘れずに頑張ります」

 

一つの歴史の終わりは、新たなドラマのスタート。

横浜新時代が、幕を開ける。

栄光の船出の汽笛が轟き渡る。

 

蒼き戦士の闘志

果敢に突き進め

ハマの空に弧を描け

進め Shiny Road

 

横浜DeNAベイスターズ。

背番号7。

佐野恵太。

 

CONCENTRATE ON EVERYTHING AND EXERT MYSELF TO THE UTMOST.

精神を集中させ努力すれば出来ない事はない。

どんな壁にぶつかっても努力をして乗り越えたい。

 

心をひとつに。

BECAUSE WE ARE FAMILY.

 

 

 

 

2020年11月1日(日)
横浜スタジアム
ベイスターズ 6x-5 タイガース
勝 三嶋一輝 2勝1敗18S
負 ジョン・エドワーズ 0勝1敗

「今日は奥さんが来ていたので、格好いいところを見せたいと思っていました。最高です!」

ハマの蒼い韋駄天は、安堵の表情を浮かべながら、ヒーローインタビューに応えた。

どちらに転んでもおかしくない、シーソーゲーム。

最後の最後に勝負を決めたのは背番号3だった。


彼は、熱い男だ。
だが、それをうちに秘めて黙々と闘う。
その姿は、仲間たちがよく知っている。


石川雄洋。
2004年ドラフト6位入団。

チームが一番辛い時期に入団し閑古鳥の鳴くハマスタで、明日を信じて闘った同志だ。

長年親しんだ背番号7を42に変更し、並々ならぬ決意で臨んだ2020年シーズン。
一軍に昇格することができなかった。

そして、来シーズンの構想から外れている旨の報道がなされた。

その直後の試合。
ハマスタの1回裏の打席に、彼は石川の入場曲をバックに打席に入る。

その心意気に応援団が応える。

栄冠掴むその日まで
恐れず飛び込めベースへ
君の熱き血潮で 燃えろ雄洋


寺田光輝。
2017年ドラフト6位入団。

父は内科医、父方の祖父と伯父は産婦人科医、父のいとこは外科医、弟は研修医。

その中で野球の道を進んだ寺田。
三重大学中退後、筑波大学へ入学。
銀行への内定を辞退してBCリーグの石川ミリオンスターズへ。

そこからプロへの狭き門をくぐったが、一軍昇格はなく昨年オフに戦力外通告を受けた。

「はっきり言って、お前はクビになると思ってたよ。センスもねえし、能力も低い。頑張ってるのはわかるけど、無理だと思った」

ファームで長い時間をともにしていた背番号3は、後輩に容赦なくキツい言葉をかけた。

そして、涙を浮かべて語り続けた。

「俺は家族ができて、守るものができて、命懸けで野球をやってる。お前は医者を目指すんだろ。それなら命を懸けて、人生を懸けてやれよ」

寺田は、28歳にしてはじめて医師の道を志していた。

プロ野球経験者で、医師に転身した例はない。

尊敬する先輩の言葉で、前人未踏の道を歩むハラが決まった。


高森勇旗。
2006年高校生ドラフト4位で入団。
岐阜県の中京高校出身の高森は、背番号は62。
島根県の開星高校出身の彼は、背番号63。

共にハマスタで活躍する夢を見て、横須賀で汗を流した。

だが、その願いは叶わなかった。

「明日、事務所に来てくれ。スーツでだ」

2012年10月2日。
戦力外通告を受けた後、グラウンドに挨拶に訪れた高森。

泥だらけのユニフォームで迎えた彼と抱き合った。

二人とも泣いていた。
見守るチームメイトも泣いていた。

高森は現在、スポールライターなど幅広い分野で活躍している。


数え切れないたくさんの人生を背負って、背番号3は今日もグラウンドを駆け抜ける。

「残り試合、一試合一試合必死に頑張ります!」

波瀾万丈の2020年シーズンもあと僅か。

最後の最後まで、走り抜こう!


新たな歴史に
その名を刻め
梶谷隆幸
蒼い韋駄天

横浜DeNAベイスターズ。
背番号3。
梶谷隆幸。

I CAN DO IT.
不安があっても「俺はできる」と言い聞かせてプレイに臨む。

心をひとつに。
BECAUSE WE ARE FAMILY.