ここは砂漠、サハラ2丁目。
大富豪ケイシが操縦する小型機が、墜落した。
無事、男に怪我は無かったが、ひろーい砂漠の中、どこへ進んでいいのかも分からない。
ケイシ
「こんな広い砂漠、救助も来ないだろう・・・。
よし。どこか一つの方向を決めて進み続ければ、一番近い街に辿り着くはずだ。」
男は運を天に任せ、歩き出した。
3時間は歩いただろうか。
どこまでも続く水平線の景色は、まるで変わらない。
すると、遠くに、らくだに乗った行者を発見した。
ケイシ
「おーい、ここだ、ここだー!!」
男の大声が届き、らくだに乗った行者アエルが、大富豪のところへ寄ってきた。
アエル
「どうかしたんですか?」
ケイシ
「どうしたも、こうしたも無いよ!
飛行機が墜落して、喉がカラカラなんだ!
水を飲ませてくれ、そして一番近くの電話がある街まで案内を頼む。」
行者は無言で大富豪を見つめた。
ケイシ
「おい、聞こえないのか?
水だよ、水を飲ませてくれよ!
大丈夫、金ならたんまり払うよ!
俺は世界でも1・2番目の金持ちなんだ。」
すると、行者は、言った。
アエル
「いま、お金を持っていますか?」
ケイシ
「いや、今は持ってない。でも、家に帰れば腐るほどある!
というか、お前はひどいやつだな!
目の前で、死にかけている男がいるのに、その水を飲ませないのか?」
アエル
「あなたは、「過去のあなた」と、「今のわたし」を、会わせようとしている。
でも、それは不可能だ。
私にとって、会うことが出来るのは、今のあなただけだから。」
ケイシ
「何が言いたいんだ?サハリアン・ジョークか?」
アエル
「あなたは、金持ちだったのかもしれない。(過去)
でも、いま、あなたは、お金を持っていない。
あなたは、街に帰れば、金持ちに戻れるのかもしれない。(未来)
でも、いま、あなたは、お金を持っていない。」
ケイシ
「そんなに、お金が大事なのか、がめついやつめ!」
アエル
「お金が、大事なんじゃないんです。
人と、人の、付き合い方を、お教えしてるんです。
人と人は、「いま」でしか会うことが出来ません。
だから、私にとって、「今のあなた」がどんな人なのかだけが、重要なんです。
それなのに、あなたは、「私は金持ちだ!水を飲ませろ」と横柄に話し出す。
果たして、いま、この状況で、あなたの「経歴」や「肩書き」なんて、重要でしょうか?
今のあなたと、私は話しています。
私から見ると、あなたは付き合いたくない人です。」
男は、反省した。
確かに、行者の言う通りだ。
人と、人は、「今」でしか会えない。ということは、そこまでの肩書きや経歴なんて関係ない。
このただっ広い砂漠ですれ違えるのは、お互いの「いま」だけだ。
それまで歩んできた道のりなんて、関係ない。
足あとなんて、砂嵐が全て消してる。
「今のわたし」がどういう人間なのか・・・。
私は出会うなり、「水を飲ませろ!」と怒鳴った。
「いまの私」だけ見ると、最悪な人間じゃないか。
そして、この行者は、「いまの私」と、ここで会っている。
最悪な人間に、飲ませる水なんて無いはずだ・・・。
男が、ふと上を見ると、行者が言った。
アエル
「どうぞ、お飲みください。
いまのあなたは、とても素敵な男性です。」
ケイシ
「え?いいのか?
さっき、あんな暴言を、君に吐いたじゃないか。
私は、最悪な男だぞ?」
アエル
「それは、さっきまでのあなたです。
言ったじゃないですか。
私は、「いまのあなた」にしか興味ないって。
いまのあなたは、とても素敵な男性です。」
行者は、大富豪に水を飲ませ、らくだの後ろに乗せ近くの街を目指した。
道中、二人の会話は弾み、大笑いしながら、いろんな話しをした。
街に着き、別れを惜しむ大富豪は、こう言った。
ケイシ
「絶対に、絶対に恩返しをするから、住所を教えてくれ!!」
アエル
「だから、言ったじゃないですか。
私は、今のあなたにしか興味ありません。
ここまでの道中、あなたが話してくれた色んな話、とても楽しかったです。
素敵な「いまのあなた」と出会えたこと、感謝します。」
ケイシ
「でも、頼む!それでは、こっちの気が済まない!
せめて住所だけでも教えてくれ!!」
アエル
「私の住所は、いまです。
金持ちに戻った、未来のあなたに、何かを期待はしていません。
私は、あなたになんて言いましたか?
人と、人は・・・?」
ケイシ
「今でしか、出会えないから・・・・。」
大富豪が振り返ると、行者はもう地平線の彼方へ歩き出していた。
(イラスト:えもりあけみ さん⇒HP )
街に帰った大富豪は、考え方が一変した。
彼の経営する世界一のIT企業の入社試験から、「経歴」や「肩書き」を書く欄が消えていた。
入社式、5,000人の新入社員の前で、彼はこう言った。
ケイシ社長
「私は、ここに集う5,000人の君たちの過去に、興味はありません。
そして、君たちの未来にも、実は期待はしていません。
私が出会えるのは、常に、「いまのあなた」だけだからです。
私は、とある砂漠で、人生観を変える出来事に遭遇しました。
『人と、人は、今でしか出会えない。』
砂漠から帰った後、周りを見渡せば、「肩書き」や「経歴」だけで、社交している人ばかりであることに気づけました。
わたしは、もう今では、「会っている瞬間の相手」がどうなのか、だけしか見なくなりました。
これは、非常に楽な生き方でした。
昨日まで大げんかをしていた、大っ嫌いなライバル会社の社長でも、
今日会ったトキに、とても良いやつだったら、笑い合います。
昨日まで、一番の仲間だった人でも、今日会ったトキに嫌なやつなら、話しません。
金持ちでも、貧乏でも、強盗でも、犯罪者でも、ライバルでも、仲間でも、親友でも、他人でも、
「会っているその瞬間の、その人」が、どうなのか、だけが重要です。
こうして、私の判断は、「いまのその人が、どうなのか」だけに変わりました。
全ての執着を捨てて、「今で会えば」、全てが楽になったのです。
我が社に来てくれた君たちも、すれ違う人生の、いまだけを大切に、この会社で輝いてほしい。」
拍手が鳴り止まぬ会場の後ろのほうで、ターバンを巻いた怪しい男が、つぶやいた。
アエル
「良い事、言えるようになりましたね。」
そこは砂漠、サハラ2丁目。
今日も、一期一会の人の出会いが、交差する街。
えもりさんの過去の作品(しゅんかんかねもち⇒ここ)
↓最近、「今、目の前のその人」と付き合えるようになってきました。
本当に、関係ない。
その人の過去。または、未来、肩書き、経歴、所属。
今まで僕は、誰と話してたんだろう?
人と人は、今でしか会えないのに。
例えば先日、ホテルでたまたま会って10分ほどしゃべった、おっちゃん。
普段は、めちゃくちゃ性格悪い人なのかもしれない。
みんなに、嫌われている人なのかもしれない。
でも、その10分間、めっちゃ楽しかった。それでいい。
「課長」だから、あいそ笑う。
「仲間」だから、うなずく。
そんなことしていると、おかしな事になるって、気づけますか?
聞いてるそのトキ、つまらなかったら、社長だろうと、ツッコむ!
逆に、
「ライバル」だから、にらむ。
「嫌いなやつ」だから、けげんな顔をする。
そんなのも、関係ない。
嫌いなやつだろうと、「めっちゃおもろいジョーク」を言っちゃってる瞬間に遭遇したら、
もう、こらえずに、笑おうよ。
「こいつのこと、嫌いだから、我慢して、笑うまい、笑うま・・・ぷぷぷぷぷ!!」
目の前のその人の、「いま」だけをみて、付き合ってみてください。
とても、人生、楽に、なります。
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