消えたヘルメット | 旅ノカケラ

旅ノカケラ

@人生は先がわからないから、面白い。
@そして、人生は旅のようなもの。
@今日もボクは迷子になる。

▼某月某日

仕事中に3人の制服を着た警官がドカドカとやってきた。
そして、両手の指紋、手形を取られた。
ぼくは指紋採取を拒否できない。





と、書けば、何があったのだろう?と思われるかもしれない。
でも、事実である。


今月の初め、休み明けのことである。
ヘルメットコーナーで高価なヘルメットがなくなっていた。
バイトとはいえ、ヘルメットの販売から在庫管理、仕入れまですべて任されている。
これぞと思ったモデルを仕入れて、お客さんが選んで買ってくれたときは思惑が見事的中した思いで嬉しさが込み上げてくる。
それで、休みの間に売れたのかと思い、数人に尋ねてたが、誰もいつ売れたかわからないと言う。
試しに売上データをチェックしてみる。
売れた形跡が、まったくない。
同僚の証言によると、当日、問題のヘルメットと同じピカピカのヘルメットを持っていたお客さんとすれ違ったという。
彼はもしかしたら?と思い、お客さんのヘルメットを見ると、メーカー出荷時にシールドに貼られているヘルメットの特徴が印刷されたス

テッカーが貼っていなかったので、そのまま仕事を続けたそうだ。
展示しているヘルメットには防犯タグを付けている。
そのまま持ち出せば、警報が鳴るシステムになっている。
しかし、その日は警報システムが鳴らなかった。
誰も気を留めずに一日が過ぎてしまったということだ。
一個のヘルメットが売り場から消えてしまった。
しかし、コンピュータ上に一個存在している。
お客さんが違う場所に置いてしまうことがよくある。
くまなく店内を探しても、どこにもない。
店長に相談するが、「やられたかもね」と流されてしまう。
たかがヘルメット一個。
しかし、ヘルメットの売り上げが店の売り上げを左右するほどヘルメットの比重は大きい。
まして高額ヘルメットとなると、安いヘルメットが何個も在庫できるほどだから、何を置くか、在庫枠を調整しながら苦労しながら神経を

すり減らす。
バイトのため、ぼくらの給料はコピー用紙と同じで店の経費から支払われる。
もし、商品がなくなったら、その分、経費処理されて、バイト連中の給料が圧迫される。
それは、高額ヘルメット一個分でひとりのバイト料の何日分にも相当する額だったりする。
これは大変に気が重いことなのだ。
数日後、悶々としながら店内を整理していたら防犯タグが出てきた。
ということは、店内のどこかに新品ヘルメットに貼られているステッカーがあるに違いない。
そのことを同僚に伝えて仕事をしていたら、「出てきましたよ」と同僚がステッカーをみつけてくれた。
丸めてほかのヘルメットに押し込まれていたという。
再び店長に報告すると、「これで決まったね、防犯ビデオをチェックして確定できたら警察に届けるから」と一歩前進した。
その夜、店長以下数名の社員によってビデオ鑑賞会が開催された。
その結果、ヘルメットを持ち去ったと思われる人物が特定できた。
そして、防犯ビデオを警察に提出して今日に至ったわけである。
もちろん、問題が解決していないことと再犯防止のため、詳細は省いて書いている。


さて、冒頭に書いた指紋採取は何のため?と思っているでしょう。
物的証拠が色々残っているため、無くなったヘルメットを触ったであろうと思われる人の指紋を採って、問題の人物を探すためなのだ。
金は無くとも心は豊か(と思っている)ぼくじゃありません。念のため。