'04秋 日光ツーリングその2 | 旅ノカケラ

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▼某月某日

つづき。

長い長いトンネルに入った。
本当に長いトンネルだった。
長い直線だからただアクセルを開けて、ライトが照らす路面を見つめ、やがてぽっかりと現れる明るい丸い出口を待つばかりだ。
そんなときはボーっとしているわけでもなく、何かが頭に浮かんであれこれ想いが巡ってくる。
そういえば、長いトンネルの入口か出口かには昔からの道があるはずだよなぁ。
トンネルに入る前には気づかなかったけれど、このトンネルが出来る前に日光と銅山を結ぶ道があってもおかしくないよなぁ。
きっと、このトンネルが出来て便利になったはずだよなぁ。
そんなことを想いながらアクセルを開けていた。

やがて、トンネルを抜けて晩秋の風景が目に飛び込んできた。
ほとんど紅葉を落としきった木々、どんよりした空の色、ぱらぱらと落ちてくる小雨。
なんだもう紅葉は終わっているのか。しかも、雨。
どこかに秋色は残っていないのかー、そんな気持ちで風景を眺めながら走っていたら細い道が山へと続く道がチラッと見えた。
あわててバイクを停めて振り返る。
もしかしたら?
戻ってみたら、道の入口に足尾へ続く道であることを示す木の表記がしてあった。
やはり、トンネルが造られる前に使われていた旧道だ。
来た道を戻ることになるが、面白そうだから行ってみよう。
旧道に入ると落葉がこんもり盛りあがって、前日降った雨で滑りやすくなっている。
走り始めてすぐに若いライダー3人とすれ違った。
高校生のような若者はみな50CCのスクーターに跨り、今にも泣きそうな心細い表情を浮かべていた。
彼らは下ってきているのだが、路面の悪さに恐々とゆっくりしたペースで走らなければならないからだろう。
彼らの恐怖は国道に出れば吹き飛び、そのあと3人それぞれに思いが残り、3人が集まれば今体験したことを長い間語り合うだろう。
恐い体験。それはマス・ツーリングの楽しさともいえる。

彼らとすれ違った以外には誰にも会わず、どんどん高度を上げて道は続く。
このままでは淋しさに包まれてしまう。
ただ自分が跨っているバイクのエンジン音だけが前に進む勇気を与えてくれるようだ。
それほどに淋しい道。
今では人の往来があったのか疑わしくなるような道。
ひっそりと道はあり、やがて人の記憶からも消え去り、道そのものも草に覆われ、ひっそりと消えてしまうのだろうか。
唯一、私は道なのだよと主張するかのように国道の標識が立っていた。
しかし、ふたたび立て替えられすに朽ち果て消えて行くかもしれない。
峠を越えてどんどん下って行くと、往来する自動車の音が聞こえ始めた。
国道が近いことはわかるが誰もいない山の中で、下の方に通っている道路が見えないため、なにか下界から孤立した場所にいるようだった。
もうすぐ戻れる。
山道は終わり、小さな川を挟んで山肌を切り開いた崖のような高い場所を国道は走っていた。
ほっとした気持ちと、今走ってきた道は新緑の時期と紅葉の最盛期はきっと素晴らしい場所なのだろうと思った。
旧道の終わりには長い長い峠道と書かれていた。

つづく・・・