1970年代の事件
◎カラ出張!
多様性の時代!
世界が狭くなって、
ヒト・モノ・カネが広範囲で移動する。
それが現代だ!
当然、そうすると多文化が出会う。
ある文化と別の文化が、
全く異なる場所で出会う。
そこにはこれまで想像だにしなかった
新しい機会が待っている。
ところで多様な文化がぶつかり合うと、
色々なトラブルもある。
例えばキリスト教国にとって、
クリスマスとは厳かに暮らすもの。
家庭でみんな集まるが、
ドンチャン騒ぎなどもっての外。
クリスマスはキリストの降誕祭。
よく間違えている人がいるが、
キリストの誕生日ではない。
キリストが処刑された後、
再降臨した日なのだ。
※キリストの誕生日は不明。
だから真のキリスト教徒は
この日を静かに、厳かに暮らす。
しかしほとんどが真のキリスト教徒ではない、
我ら日本人は…
ドンチャン騒ぎをして過ごす。
しかしこれは問題なのだろうか?
確かにキリスト教徒からすると、
「それっ、違うぞ!」

そう思うかもしれない。
しかし日本人でも
来日外国人の振る舞いを見て思うだろう。
「それ違うぞ!」
このようにある国の人から見ると、
全くおかしいことでも、
別の国の人には普通だったりする。
それが多様性だ!
多様性とは…自由である。
ある事柄に対して
自由に利用してイイ。
それが多様性なのだ。
そしてそのような多様性を満喫した学生が
以前いた!
ところで話は変わるが、
同じ言葉でも全く違う解釈をされることがある。
例えば「カラ」という言葉で
あなたは何を感じるだろうか?
ああっ、KARAね。
そう思ったあなた。
間違ってはいない。
しかしここでは別の意味がある。
例えば中世の日本では…
唐物(からもの)といえば
大変高級なモノを指していた。
つまり唐=中国のものであり、
当時の舶来品だ!
メチャクチャ高価!
当時の日本では「カラ」とは
良いイメージしかなかった。
しかしそれから数百年を立った日本では…
「カラ」とは悪いイメージでしかない。
何度も言うが…
このKARAは良いイメージしかない。
しかし別の「カラ」は最悪のイメージだった。
カラ出張…
この言葉に良い意味がある人は少ないだろう。
この「カラ」とは…
「空」を指す。
つまり「空気」「虚空」のような
「中身のない」「空しい」モノを指す。
それが転じて「カラ出張」とは
実体のない(つまり行っていない)出張を指す。
だから「カラ出張」とは…
嘘偽りなのだ!
当時、日本ではカラ出張が注目されていた。
もちろん悪い意味で…だ!
この時に問題になったのは
1979年の大平政権の時、
問題になったのは日本鉄道建設公団(鉄建公団)
鉄建公団は鉄道の新規路線を
建設するか否かを調査する業務を行う。
新規路線が建設された場合、
その保有をし、国鉄に貸し付けて
鉄道の運営を行っていた。
現在はその業務の一部を
鉄道建設・運輸施設整備支援機構が引き継ぐ。
その鉄建公団ではカラ出張が横行していた。
例えば会計検査院の報告では
1978年度の実績として
全旅費が約10億円だったのに対して、
カラ出張費は約2億円だった。
つまり全体の2割がカラ出張だった。
※具体的には全旅費10億1586万3305円で
カラ出張旅費は2億1696万5460円
そして他でもカラ出張が発覚し、
メディアでは公費天国と批判されていた。
このカラ出張は
行っていないのに行ったかのように見せかけた。
だから問題だった。
しかし実際に行ったのなら
それほど問題視されることはない。
そして当時の公務員とは違い、
当時の学生は賢明だった。
彼らは多様性を大いに発揮し、
カラ出張を回避していたのだ。
1979年10月31日の新聞に以下の記事が載った。
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就職前からカラ出張
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「就業前から」…とはどういうことか?
記事によるとこういうことだ。
1979年当時はイラン革命の影響で
第二次オイルショックが起きていた。
そのため必ずしも年によっては
就職状況は良くなかった。
しかし全体的にいうと
売り手市場が続いていた。
つまり企業は学生に来て欲しい。
学生が企業を選べる時代だった。
そこに目を付けたのが
就職活動中の主に北海道の学生だ。
彼らは東京の企業に面接を受けるのに
わざわざ飛行機に乗ることになる。
その旅費や宿泊費は
企業持ちだった!
そして彼らはわざわざ東京へ行くからと
数社面接を手配してその全てから
旅費と宿泊費を貰っていた。
東京の学生ならまだしも
北海道の学生なら旅費もかかる。
その分、金も高い。
事実、数社受けることで
10万円以上の儲けになる。
うーむ!頭がイイ。
でもこれはカラ出張ではなく、
正当な要求ではないか?
なぜなら実際に面接を受けるのだから。
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学生 正当です。
学生 これは正当な要求です。
学生 だって事実、面接しますから。
学生 今、話題のカラ出張って
学生 実際には行っていない。
学生 出張します、と書面上では言っている
学生 でも出張していない。
学生 これは問題でしょ。
学生 実際に行ってないのに旅費を貰う。
学生 これは嘘ですから
学生 嘘はいけません。
学生 その点我々は違います。
学生 実際に面接してますから
学生 実際に北海道から東京まで行って
学生 面接をして帰ってくる。
学生 北海道から日帰りは難しいですから
学生 宿泊費も貰う
学生 これは正当な要求です。
学生 何も相手が嫌がっているのに
学生 不当に要求しているのではありません。
学生 こっちが面接をしたい
学生 相手も面接をしたい。
学生 そのニーズが合致して
学生 面接の手配をされた。
学生 ウィンウィンです。
学生 確かに傍から見ると、
学生 旅費の二重取り
学生 そう見えるかもしれません。
学生 まあ二重取りどころか
学生 五重取りくらいしてますが、
学生 それも問題ないでしょ。
学生 だって相手企業からすると
学生 面接したい学生の旅費を提供する。
学生 それだけですから。
学生 その学生が自社の面接以外で
学生 何をやっていようと
学生 関係ない!
学生 だから…
学生 カラ出張ではない。
学生 正当な要求です。
学生 国民の税金でカラ出張している
学生 公務員とは違います!
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とは全く言っていないが、
反省していないのも事実だ。
確かに公務員のカラ出張も問題だ。
でもお前ら学生も…
チョット姑息じゃねーか?
◎カラ出張もあった!
ところで先の学生の言い分は…
自分たちはカラ出張ではなく、
正当な要求だっといっていた。
それはカラ出張は出張の必要が無く、
事実、行ってないケースも多かったが、
自分たち学生は面接の必要があり、
実際に面接に行っていた。
何社か同じ日に集中させたけど、
それは何回も行くのが面倒なので
やむを得ない!
そのようなことを言っていた。
つまり…公務員はカラ出張だが、
北海道の学生はカラ出張ではない。
そう言いたいようだが…
必ずしもそうではない!
実は…
学生の中でもカラ出張はあった。
彼らの中には大学院が決まっていながら
就職面接を受けた人物がいた。
当然、就職する気はなく、
面接を受ける必要もない。
しかし友人たちがうまくやっていたので、
ついついやってしまったという。
でも…お咎めは無しだ。
そりゃーマネするわ。
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学生 就職?
学生 しませんよ。
学生 だって大学院行くし、
学生 就職は2年後
学生 だから就職はなし
学生 それは決めている。
学生 でも面接は受けるよ。
学生 企業の就職面接
学生 えっ?予行練習?
学生 なるほど
学生 2年後に就職するための
学生 面接の予行練習?
学生 なるほど…
学生 でも考えたこともない。
学生 ではなぜ?
学生 金だよ
学生 ちょっと小遣いが足りなくて
学生 バイト代わりにチョットね
学生 まあ5社程度ピックアップして
学生 同じ日に面接を受けると
学生 10万円ほどすぐにね。
学生 旅費だけで3万4千円(往復)
学生 その他にも宿泊費が1万円ほど
学生 まあ実際に旅費はかかるけど
学生 1回分ね
学生 それ以外の数社の旅費は
学生 全額懐に入る、
学生 5社面接だと4社は
学生 旅費全額入るから
学生 それだけで14万円弱
学生 宿泊費は友達の家に泊まるから
学生 まるまる手に入る
学生 でも俺はいい方だよ。
学生 これを何回も繰り返し、
学生 50万近く稼いだ猛者もいる。
学生 それなら俺なんて
学生 カワイイものだ!
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とは全く言っていないが、
実際にそんな奴らがいたのは事実だ。
今も売り手市場かもしれないが、
こんな舐めた奴らはいないだろう。
当時は公務員も学生も
カラ出張が大流行だった。
ところでここで筆者は反省する。
これはもしかして
多様性の一環ではないか?
だってそうだろう。
多様性とは自由であり、
就職面接はその企業に入る奴だけ
受けるのではない。
金儲けのために
就職面接を受けてもいいはずだ。
大体、公務員のカラ出張とは違い、
学生は法律違反をしていない。
面接を受けるとは言ったが、
入社するとは言っていない。
なら…多様性の一環として…
認めてやろう。
当時の学生たちを!