人の名誉欲を利用して大儲けした天才の話! | 最近の古いモノは!

最近の古いモノは!

「最近の若い者は…」とよく言われますが、
そう言う「古い者」はそんなに立派だったのでしょうか?このブログでは過去の新聞記事等をベースに、「古い者」の昔を検証してみます。
「最近の…」と言われたら、「あなたの時代はもっと悪かった」と言ってやりましょう。




1980年代の事件





肩書こそが全て!


新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


このブログを書き始めて、
今年で8年目を迎える。

最初に書いたのは2015年9月
そして今年は2023年。

年が経つのは早いものだ。


まあ何も野心もなく、
自分が好き勝手に書いているだけなので、
全く苦にはならないないが、

それでもそこそこ長く続けてこられた。


これもご覧頂く
皆様のおかげです


全く好き勝手に書いているとはいえ、
誰も見てくれなければさすがに気が滅入る。


しかし…それほど多くの人ではなくても、
見てくれる人がいればやる気になる。


そういう意味でご覧頂いている方一人一人に

厚く御礼申し上げます。


ありがとうございます。





ところで新年を迎えると、
新たな目標に向かって一歩踏み出そうと思う。


今年こそ…

そう思いながらも
毎年挫折している


毎日日記をつけようか?
ジョギングしようか?
週に2日の休肝日を作ろうか?




色々考えるのだが、
ここ数年、全て挫折している。



今年こそ何かをやり遂げたいものだ!




ところでそのような願いが叶って、
社会的に成功した人は何を思うのか?


例えば仕事がうまくいって金もたくさんできて、
大きな家に住み、高級車に乗って、
美人の奥さんと幸せな結婚をして、

そうすれば後は何を望むのか?



それは…



肩書だ!



人は肩書を好む。


この肩書とは、
言い換えれば名誉だ!

人は名誉を欲するのだ!



金ができてもそれだけではダメだ!

肩書が無いと!



まあ年中金が無い筆者にはわからない心情だが、

成功した人はそういうもののようだ!


そしてそういう心情をうまく突いた

事件があった!





198011月26日の新聞に以下の記事が載った。

---------------
「博士売ります」ご法度
--------------ー



記事によるとこういうことだ。

特許権や商標権、意匠権などを扱う会社
「特許大学」の社長を務める(66)

「博士」と紛らわしい肩書「特許博士」を作り、
特許庁に商標登録を申請した。


特許庁では本当の「博士」と間違えるとして、
その申請を却下

しかしM社長は申請却下に関わらず、
「特許博士」を一般に販売し始めた。

それも1件100万円~200万円で。


その肩書とは
「特許工学博士」や「特許医学博士」など
頭に「特許」と付けただけの肩書で、
それを乱発して、10億円以上を荒稼ぎした。


被害に遭った人は
本物の博士号と勘違いした人も多く、

中には取得するために
わざわざ論文を提出した人もいた。



もちろんこのような「博士」は偽物である。

「博士」とは学校教育法に基づき、
博士課程修了者かそれと同等の学力を持つもの。
彼らに与えられるものだ。


もちろん「特許大学」にはそんなものはない。

一応、詮衡委員会にかけられるが、
それもいい加減なもの。


因みに”詮衡”委員会とは
「選考」の誤記ではない



事実、このような名前の委員会を内輪で作り、
それでカモフラージュしている。


確かに詮衡には
人物の適不適・能力などを調べて、選び出すこと。
という意味があるが…。



因みにM社長

「正式な博士とは一切言っていない」とし、
問題無いとしている。


文部省の方でも

「学校教育法違反ではあるが、罰則規定がない」とし、
処罰は難しいと考えている。


こんなのは完全に詐欺だと思うが、
処罰は難しいようだ。

なんか釈然とせんな!
 

 

 


----------------------
社長  問題ないよ
 

社長  こっちは何も言っていない。
 

社長  本当の”博士”とは
 

社長  全く言ってない
 

社長  ”博士”じゃなく、特許博士”
 

社長  そう言っているのだから、
 

社長  全く問題ない!
 

社長  勘違いする?
 

社長  それはそっちの勝手だよ。
 

社長  こっちは誠心誠意
 

社長  嘘偽りなく言っている。
 

社長  特許博士”って
 

社長  それなのに間違えるって
 

社長  それは相手の勝手だ!
 

社長  えっ”特許”って何だって?
 

社長  うちの会社の名は”特許大学”
 

社長  そういう社名なんだ。
 

社長  特許権や商標権、意匠権を扱う
 

社長  だから社名は”特許大学”
 

社長  その”特許大学”が出すから
 

社長  特許博士”
 

社長  極めて合理的だろ?
 

社長  えっ?高い?
 

社長  1件100万円は高すぎる?
 

社長  それは見解の相違だ。
 

社長  こっちは真剣に検討し、
 

社長  ”特許博士”を授与している。
 

社長  ”詮衡”委員会にもかけているし、
 

社長  えっ”選考”の間違い?
 

社長  違う違う。
 

社長  こっちは詮衡委員会。
 

社長  うちではこれが正式名称。
 

社長  確かに”選考”には”選ぶ”
 

社長  そういう意味があるが、
 

社長  ”詮衡”にもそういう意味がある。

社長  なら問題ない
 

社長  因みに文部省も不適正とは言いながら
 

社長  罰則規定はない、と言っている。
 

社長  なら全く問題ない!
 

社長  経済的に成功すれば
 

社長  次に必要なのは名誉
 

社長  つまり肩書だ!
 

社長  それを与えているのだから
 

社長  むしろ感謝すべきだ!
 

社長  に(ドヤッ)!
----------------------

 

 



とは全く言っていないが、
どうやら反省ゼロなのは事実のようだ。



しかしうまい手を考えたものだ。

金を荒稼ぎして、罪に問われないとは…

コイツ天才じゃねーか?









新規事業!

ところでこの”特許博士”で荒稼ぎしたM社長は
新たな事業を開拓していた。


それは肩書を増やすこと!



その対象は…

爵位だった!



日本の貴族の爵位は
戦後には廃止された。


日本国憲法第14条第2項には…

------------------
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
------------------
と記されている。

 



しかしM社長はこの爵位に目を付けた。

元々の爵位は
公爵
侯爵
伯爵
子爵
男爵


の順になっていた。

だからこの人はそんなに偉くない。



ところでM社長はこの爵位を
以下の7階級に改変した。

新公爵
新侯爵
新伯爵
新子爵
新男爵
功爵
博爵



????????


旧爵位に”新”を付けただけ、
後は「功爵」と「博爵」って…

ナメとんか()!



こんなのに騙されると
思ってんのか()?




と…思ったら…

そこそこ騙されていた。


因みに金額は”新男爵”が500万円
”新公爵”ともなると1億円もの値になったが、

”功爵””博爵”なら100万円とお手軽。

だから”功爵””博爵”は結構売れたようだ。


記事によると100ほどに売れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・!



ヲイヲイ…マヂかよ!

これは騙された方が悪いな!

 

 

 

 


----------------------
社長  ビックリしたよ
 

社長  こっちも半信半疑だったけど
 

社長  こんなにうまくいくとは
 

社長  逆にビックリした

 

社長  確かに”特許博士”ではうまくいった。
 

社長  10億円以上売り上げたし、
 

社長  荒稼ぎだった
 

社長  勢いに乗って新規事業に踏み出し
 

社長  それが爵位”だった。
 

社長  名誉と言えば爵位!
 

社長  そう考えたら…
 

社長  これがドンピシャ
 

社長  戦前の爵位を使用し、
 

社長  それに””を加えただけ
 

社長  それだけじゃー能が無いと思って
 

社長  新爵位を2つ作った。
 

社長  ”功爵””博爵”
 

社長  まあ考えるのも面倒くさくて
 

社長  適当に作ったんだけど
 

社長  これが当たった
 

社長  売り方が良かったようだ。
 

社長  他の爵位を高く設定して、
 

社長  新しく作った2つを低めにする。
 

社長  まあ低めと言っても
 

社長  100万円だけど!
 

社長  ”新公爵”は1億円だから
 

社長  それを見ると安く感じるんだろうね。
 

社長  しかしツイてないのは
 

社長  売り出したと思ったら
 

社長  警察に止められたこと
 

社長  それでこれからって時に
 

社長  おジャンになった
 

社長  でもそんな短い間でも
 

社長  100人くらいに販売した。
 

社長  ほとんどが100万円コースだけど
 

社長  それでも1億円以上
 

社長  ぼろ儲けだ!
 

社長  もう少し時間があれば
 

社長  ”特許博士”以上の利益が見込めた。
 

社長  まあ仕方がない。
 

社長  でも正当な商取引だから
 

社長  これは返す必要はない。
 

社長  詐欺でも立件できないようだし、
 

社長  やはり…みんな…
 

社長  肩書が欲しいんだな!
----------------------

 

 




とは全く言ってないが、
大儲けしたのは事実だ。


しかしコイツは商才あるな!



因みに詐欺では立件できなかったようだが、
犯罪法では立件できるようだ。

軽犯罪法第1条第15項には
----------------------
官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号
若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、
又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服
若しくは勲章、記章その他の標章若しくは
これらに似せて作つた物を用いた者

--------------ー-------

を処罰することができる。



では…その罰はというと…
昭和31年(1956年)の判例では…

科料900円




えっ


物価があるとはいえ、
そんな程度か?


やはりコイツは商才がある。


天才だな!

 

 

この人のように…!