今日は最近ロベルト・シューマンについて感じていることを
書こうと思います。
以前の印象
ブラームスの曲が好きで調べだした
シューマン夫妻やブラームスらの人物像や音楽。
シューマンについては
精神的に病んで亡くなった人
というイメージがありました。
と言うのも、
ずいぶん昔、
年上の友人が
久しぶりにでるピアノの発表会に
シューマンの〇〇という曲を弾くと話された時
その曲の穏やかな美しいイメージ(曲名忘れました)から
シューマンがお似合いですね
と友人に言うと苦笑されたんです。
何かまずいこと言いました?
と尋ねると
精神科の病院で亡くなった作曲家よ
と言われ、
嫌な思いをさせてしまった、と謝りました。
実際のシューマンは?
クララの伝記や娘の回想録を読み進むうちに、
シューマンとメンタルの結びつけかたに
違和感を感じるようになりました。
恐らく双極性障害があり
梅毒の進行による精神障害の症状が出たのは事実。
川に飛び込んで自殺しようとしたのも事実。
精神科の病院に入院したのも事実。
でも、
そこから一般的に広まったイメージは
事実とは異なるように感じます。
残された文献で知ったのは、
・子ども大好き
クララが子供の頃や、後年は我が子たちにお話を作って聞かせたり、
一緒に散歩したり、ふざけたり。
我が子の演奏を聴いて、ご褒美をあげ、
話も聞いて
ピアノを教えるクララに助言して教育に積極的に参加。
子どものためのピアノ曲も作ってますよね。
育児日記もつけていて、子煩悩ぶりがわかります。
・優しくロマンティスト
・文章では雄弁だが実際は内気で無口
・知的
クララへのラブレターでよくわかります。
曲もロマンティックで
話術より、曲や文筆で内面が見えたようです。
ショパンやブラームスも彼の音楽評論が有名ですね。
クララにサプライズパーティ
人生の後半は梅毒の脳や神経への進行で
幻覚・幻聴など様々な症状。
落ち着いて穏やかに過ごせる時と、
ひどくて何もできない時を繰り返しながら悪化。
そんな辛い中でも、
一緒に祝えた入院前、最後のクララの誕生日。
ロベルトは、
F.A.E.ソナタの共作で有名なディートリヒに協力してもらいながら、
こっそりサプライズを用意します。
配達が手違いで1日遅れるも
クララが部屋に入ると、
花で飾られた新しいグランドピアノが。
ロベルトが結婚前の1840年にピアノをプレゼントした時と同じように
その時に贈られたロベルトの詩で合唱が始まります。
クララは伴奏用にピアノを持ち込んだと思っていたら、
ロベルトがクララのために買ったものでした。
暮らしに不相応な高価な買い物だとクララは心配するのですが、
ロベルトの幸せそうな顔を見て、
確かに自分の欲しかった物だと、受け取ったのでした。
皆が帰った後、
夫婦2人きりでピアノを奏で、
新しいことを弾いて試したりして
長い時を過ごしたそうです。
、、、泣ける。
精神障害の症状で苦しみ、
指揮の仕事もメンバーらから追い出しにかかられたり
嫌な経験もしながら、
妻を喜ばせるために、
こんなに凝った準備とプレゼントをするなんて。
クララ、夫への愛
クララは、
ロベルトのような素晴らしい人と結婚して子どもたちに恵まれ、
世界一幸せな妻、幸せすぎて怖い
などと書いています。
他にも、
ロベルトの才能を一番理解しているのは自分である
ロベルトのような稀に見る天才の作曲を
そばで見て経験できるのは何物にも代え難い幸せ
といったことを繰り返し書いています。
双極性障害の影響か、
曲作りをするときは、すごい勢いで何曲も作るので
余計にその才能に圧倒されたのではないかと想像します。
その集中力とのめり込みかたが
ロベルトのメンタル疲労、悪化の原因と
クララや当時の人々は考えていたようで、
原因が梅毒とは知らず
精神障害の症状が出てしまうのは代償と納得していたように思われます。
(入院し亡くなる前には医師は梅毒が原因だとわかっていたようですが、
その話は20世紀まで公にされませんでした。)
シューマンの入院
夜も寝られず、幻を見、音楽が頭の中で鳴りっぱなし。
クララが片時も目を離せない状況まで進む様子が日記に書かれています。
ロベルトは幻覚でクララを傷つけてしまうのを恐れ、
自分から離れてほしいと何度も言います。
クララが医者と話すため隣の部屋へ行き、
長女にロベルトを任せたわずか数分にロベルトは家を飛び出し川へ飛び込みます。
長女は、機会があったにも関わらず一生母の元を離れず結婚せず、
弟妹らの面倒を見たり、ピアニストである母のマネージャー的な役割をしたのは
両親揃っての愛を一番受けた娘であると共に、
この出来事の自責の念的な思いがずっと心から離れなかったのでは、、、と想像してしまいます。
もちろん彼女のせいではないのですが、責任感が強かったのか、と。
精神科の病院へ入院を決めたのもロベルト本人。
幻覚幻聴でクララや子どもらに
危害を加えることを恐れて決意したのです。
入院のための持ち物を、
冷静な頭で黙々と用意していたそうです。
自殺未遂から入院が決まり家を出る時まで
刺激しないように(幻聴などで発作的行動を恐れ)
クララは医者からロベルトに会うことを禁じられていました。
花束だけことづけてロベルトに渡してもらい、
窓から
家を出る姿を胸の張り裂ける思いで見ていたそうです。
すると、ロベルトは
最初花束に意識がいっていなかったのですが、
ふと気づいて香りを嗅いだ後、
花を抜き取って、
病院まで同行する人たちにあげたそうです。
、、、
こういうエピソードを日記で読んでいると、
ネガティブ的なイメージは違うと痛感するのです。
自分で精神障害の症状をわかって
そのためにどうすればいいか考えて行動している。
症状が出ないときは、
人を喜ばせることが好きで愛情深い。
入院直前の症状が出ているような時でさえ、
いただいた花を皆に渡す配慮は
持って生まれた優しさが見えて心を打たれます。
追記2025年10月28日
花を手渡した理由については別の解釈があります⬇️
もちろん伝記ですから、
日記も良い話をたくさん引用しているでしょうし、
彼の短所もいろいろあるでしょう。
でも、それを差し引いても、
ブラームスとクララの仲を疑って川に飛び込んだり心を病んだなどと事実と違う噂が立ち、
ネガティブなイメージが実際より強いような印象があります。
シューマンの最後の言葉や様子についてはこちらに書きました⬇️
認知症
ここから
少し話がそれます。
高齢化社会で、
認知症の病気も身近なものとなってきました。
脳障害が出るという意味では
ロベルトの症状と近いものもあると思います。
認知症を考えると余計に
イメージづけの怖さを感じるもかもしれません。
脳に障害が起こると誰にでも起こる症状。
私の両親の世代だと、
症状に対してネガティブな形容詞や名詞が使われ、
そうなることを恐れ、
そういう症状が出ても認めることは恐怖で
そう言われることが自分を全否定されるようで
本人は病気を認めないし、
周りも病気を理解しづらいことがあるような気がしています。
どんな病気でもそうですが、
偏ったイメージを持たず
学んでいかないといけないなぁと
本を読みながら
自分の意識の持ち方を振り返りました。
アンソニー・ホプキンス主演の映画「ファーザー」。
以前にも書いたのですが
認知症に自分がなったような感覚で見えるので病気が理解しやすいです⬇️
クララの伝記はロベルトのお葬式が終わったあたりまで来ました。
やっと許可が出て病院へ駆けつけたクララ。
最後まで2人が愛し合い心を通わせている姿、、、涙、、、。
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お読みくださりありがとうございました。


