水戸済生会総合病院 臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院 臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

医学生のしかまる先生が書いて

くれたレポートの最終回です。

今回は治療に関してです。

 

~~~~~~~~~~~~

MDSの根治が期待できる治療

法は造血幹細胞移植のみである。

全てのリスクのMDSが対象となるが、

年齢、心臓や肝臓などの臓器機能、

ドナーとのHLA適合性という基本

条件を基に検討される。

 

低リスク群では急性白血病への

移行リスクは低い。したがって、

血球減少に対する保存的治療が

中心となり、必要に応じた輸血や、

細胞産生を促進するサイトカイン

療法が選択される。

 

鉄キレート療法は、頻回の赤血球

輸血による鉄過剰症に対して行わ

れる。5q−がある低リスクMDSには

免疫調整薬レナリドミドが使用される。

 

高リスク群は保存的治療のみでは

予後不良であり、造血幹細胞移植

が施行可能であれば速やかな実施

が求められる。

 

予後を改善することが示されている

薬物治療としては現在DNAメチル化

阻害薬のアザシチジンのみが保険

適応であり、移植の適応とならない

症例や移植までのつなぎとして選択

される。アザシチジンに不応・不耐用

の場合は化学療法が検討される。

 

続きはこちら

 

 

今回も医学生のしかまる先生が

書いてくれたレポートからの続き

です。

 

~~~~~~~~~~~~

前述の通り、MDSは前白血病

状態でありAMLへの進展を

特徴とするが、MDSとAMLを

区分するのは芽球の割合である。

 

末梢血と骨髄の芽球比率が20%

未満(WHO分類第5版)ではMDS、

20%以上になるとAMLに分類され

る。

 

本例は末梢血芽球18.5%、

骨髄芽球17%と、発見時点で

ちょうどその境界域にあったと

考えられる。

 

異常造血幹細胞の遺伝子不安定

性のため、遺伝子変異の蓄積が

起こり、病期の進行や芽球の

増殖に関与するとされる。

 

血液所見と骨髄所見に加え、

骨髄染色体検査が診断・予後

予測・治療方針決定のために

重要である。MDS患者の約半数

に染色体異常が認められ、代表

的なものに第5染色体長腕欠失

(5q−)が挙げられる。本例は正常

核型であった。

 

MDSは、異形成のある系統数や

芽球の割合、染色体異常などに

よって様々な病型に分類される。

 

例えば、5q−症候群の場合はそれ

自体でMDSの病型診断に直結する。

ただし、同じ病型であっても予後を

含む病態は症例間に差がある。

 

続きはこちら

 

国際予後スコア化システム改訂版 (IPSS-R)

 

今回は医学生のしかまる先生が

書いてくれたレポートからのシェア

です。

 

しかまる先生は総合内科で実習

してくれましたが、実習期間中に

骨髄異形成症候群(MDS)の患者

さんを担当してくれたので、まとめを

作ってもらいました。

 

MDSはまとめを作りにくい領域です

が、とても良い出来だと思います。

ぜひ、ご覧ください。

 

~~~~~~~~~~~~

症例は60歳台の男性。

主訴はなかったが、前医の血液

検査でHb 10.9 g/dl、血小板5.6万

/μl、好中球数1046/μlと汎血球

減少が認められ、当院受診した。

 

そこで再度行われた血液検査で

末梢血中に芽球を18.5%認め、

その後施行された骨髄検査で芽球

を17%認めたため、加療目的に

入院した。

 

さらに、骨髄塗抹標本で芽球割合

の増加に加え、微小巨核球や

赤芽球の核辺縁不整といった

異形成を認めたことから、骨髄

異形成症候群(myelodysplastic 

syndrome: MDS)の診断となった。

 

MDSは造血幹細胞の腫瘍であり、

未熟な造血細胞に生じた異常に

よって造血細胞の異常な増殖と

アポトーシスが誘導され、その

結果以下のような特徴を持つ。

 

1)無効造血(造血細胞が成熟

 途中で壊れてしまう)

2)造血細胞の形態学的な異形成

3)末梢における血球減少

しばしば急性骨髄性白血病(acute

 myeloid leukemia: AML)へ移行

する点も重要である。

 

症状は血球減少に伴う慢性貧血、

出血傾向、易感染性があるが、

慢性の経過をたどるため本例の

ように血液検査で偶然発見される

ことも多い。

 

続きはこちら

 

だいぶにぎやかな

総合内科の朝カンファ

 

水戸済生会の採用サイトをご覧

いただくと、トップページの中段

あたりの右側に「専攻医」という

バナーがあります。

 

それをクリックすると、専攻医に

関する情報が掲載されているの

ですが、今回新たに「当院で

初期研修を終えた先生たち 

OB・OGインタビュー」という

ページを加えました。

水戸済生会の専攻医ページはこちら

 

水戸済生会で初期研修を行った

先生たちも徐々に増えてきており、

各地で活躍しています。同時に、

他施設でトレーニングを積んで

から再び水戸済生会で仕事を

する先生も出てきました。

 

そのようなOB・OGの先生たちに、

当院での初期研修の良いところ、

悪いところをインタビューしています。

 

他施設で仕事したことで水戸済生

会の良さも弱点も分かるので、

あなたにも参考になるはずです。

 

続きはこちら

 

 

現在、令和7年度採用の募集を

行っています。

募集要項のページはこちら

 

昨年同様に新型コロナウイルス

対応として始めた直接面接と

Zoomを用いたWeb面接の併用を

今年も継続します。

 

水戸済生会ではWebのみで

申し込みが完結するので、印刷

や郵送が不要です!

 

なお、直接面接はすでに定員に

達したのでWeb面接のみとなって

いますのでご了承ください。

 

もちろん、いずれの方法を選択

しても選考基準に違いはあり

ません。

 

また、Web面接では日程調整が

必要ですので、できるだけ早め

にお申し込みください。

 

続きはこちら

 

少し前のことですが、長くみていた

患者さんがお亡くなりになりました。

 

死亡確認の際に、ご家族(ご兄弟)

からこんなことを言われました。

 

「実は父親もここで(水戸済生会)で

亡くなったんです。ちょうど今の

季節でした。親子で同じ病院で

看取ってもらえて良かったかもしれ

ません」

 

当院は今の場所に移転して35年

以上経っています。その間に色々な

患者さんが入院したり、亡くなったり

してきました。

 

そういった患者さんのご家族は、良い

思いも、悪い思いもしたはずです。

そして今、当院に入院していたり

受診していても不思議ではありません。

 

あなたが担当している患者さんも、

そんな経験をした一人かもしれません。

 

家族歴を聞く時に、ご家族がどこで

亡くなったのか、病名は何だったのか、

どんな苦労があったのかなどをうまく

聞き出して、把握できると患者さん

とのコミュニケーションがぐっと深まります。

ぜひあなたも聞き出してみてください。

 

続きはこちら

 

回診での一コマ

 

水戸済生会の院外講師の先生を

紹介してきましたが、今回で最後に

なります。

 

山中克郎先生(総合内科)

総合内科で多くの著書のある先生で、

ご存知の方も多いと思います。福島

県立医大会津医療センターの総合

内科の教授としてご活躍していました

が、現在は長野県の諏訪中央病院に

戻られています。

 

当院とは2018年からのお付き合いで、

当初は水戸までお越しいただいて

いましたが、コロナになってからは

年2回ほどのZoomでのレクチャーを

お願いしていました。

 

昨年度は編集長の段取りの悪さで

レクチャーを開催できませんでしたが、

今年度は10月と2月にお越しいただ

けることになりました。

 

久しぶりに直接ご指導いただける

のが今から楽しみです。

続きはこちら

 

山中克郎先生

 

前回に引き続き、水戸済生会の

院外講師の先生を紹介します。

 

舩越拓先生(救急集中治療)

東京ベイ・浦安市川医療センター

の救命救急センターでセンター長を

している先生です。

 

数多くの著書があり、救急集中

治療や医療コミュニケーション、

医学教育など持ちネタが非常に

豊富な先生です。それに加えて

東京ベイではIVRもやっており、

編集長とはIVRの兄弟子と弟弟子

という関係からいろいろお願い

しています。

 

すごく分かりやすい内容で、

あなたのERでの悩みを解消して

くれること間違いありません。

 

続きはこちら

 

レクチャー中の一コマ

水戸済生会総合病院のお隣に

ある県立こども病院から、本年

度第1回目の超音波勉強会の

ご案内が届きました。

超音波勉強会の申し込みページはこちら

 

 

 

ご存じの方もいると思いますが、

茨城県立こども病院は小児エコー

では非常に有名で、全国から医師を

含めて小児エコーを習得したい人

たちが集まってくる施設です。

 

先月開催されたレジナビでも、

わざわざエコーを会場に搬入して、

ブース訪問者に実際の小児のエコー

を指導するほどでした。

続きはこちら

 

 

前回に引き続き医学生の

なお先生が書いてくれた

レポートからのシェアです。

 

総合内科で実習期間中に

多発性骨髄腫の患者さんを

担当してくれたので、骨髄腫

のまとめを作ってもらいました。

今回は治療に関してです。

~~~~~~~~~~~~

 

未治療の多発性骨髄腫に対する

治療は、自家移植を行うかどうか

で治療法が分かれる。

 

自家移植を行えるのは、一般的

に65〜70歳未満で重篤な感染症

や肝・腎障害がなく、心肺機能も

正常な人である。これらの患者に

対しては、効果が迅速で深い奏功

を期待でき、かつ自家造血幹細胞

採取に悪影響を与えない導入

療法を施行後、自家造血幹細胞

移植を併用した大量MEL(メルラ

ファン)療法を実施することが推奨

される。

 

一方、自家移植を行えない場合

には、化学療法が選択され、

標準治療はDLd療法(DARA, LEN, 

低容量DEX)またはD-MPB療法

(DARA, MEL, PSL, BOR)である。

 

今回の症例では、DLd療法を施行

している。70歳以上であることから

移植適応がないためである。

続きはこちら

 

未治療で移植適応のある多発性骨髄腫の治療

(造血器腫瘍ガイドライン2023より)